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生まれたての小鹿

著者:六甲茂子(ロコモコ)

いよいよ11月ですね。私の職場も今日から全員出勤となりました。少しずつ以前の姿に戻りつつあるホノルルです。

以前の姿と言えば、先日オフィスが入っているビル全体の避難訓練がありました。昨年はオンラインで行われたのみだったので、実際に訓練に参加するのは2年ぶりになります。

この訓練、「近々訓練があるよ」との連絡はあるものの、いつ行われるかの詳細は伏せられているため、非常ベルが鳴ると、かなりギクッとします。

非常ベルと共にエレベーターが止まるので、皆2カ所にある非常階段を使って、ビルの前にある公園に速やかに移動しなければなりません。

各オフィスには誘導係と最後の見回り係、人数チェック係が定められていて、その役になると特別のベストとヘルメットを着用、出来れば選ばれたくありません。幸いわたしの職場では毎年同じメンバーが買って出てくれるので安心です。

この訓練、かなり厳しい人数チェックが行われるため、サボったり、途中で離脱することは不可能かと思われます。妊婦さんや高齢の方々、階段を降りる事ができない方々は、前もって名前と会社を登録しなければなりません。80代の人々もこぞって訓練に参加しているため、中年の私が歳を理由にサボる事はできないのです。

私の会社はビルの16階にあります。こう言うと、大したこと無いように聞こえますが、ビルの天井はかなり高く、吹き抜け部分は階数としては2階分ですが、実際には5階分ぐらいはあると思われ、多分普通のコンドミニアムの25階分ぐらいはあるのではないでしょうか?

その非常階段を後ろから急かされつバタバタと降ります。後ろからどんどん来るのでテレテレ降りる事もできません。特に今年はリモートの会社も多かったので、人が少なく、前がつっかえる事もなく、全速力で降りる羽目になりました。

ほうほうの体で屋外にまろび出ると、会社ごとに決められた待機場所へ。待機していたらだんだん脚がガクガクしてきました。

膝が笑うって言うけど、まさにそんな感じ。プルプル細かく震え、一歩踏み出すとクニャッと脚の力が抜けます。ころばないように脚を踏ん張り、まるで漢字の「人」の字のように足を開いて平静を装いましたが、今にも崩れ落ちそうでした。

ふと周りを見ると、わたし以外にも「生まれたての小鹿」が大量発生してました。皆の脚が微妙に人の字になっており、一同ロボットのように粛々とオフィスに戻ったのでした。

因みにわたしの場合、このプルプル状態は二日半も続き、運動不足を実感いたしました。まあ、階段を駆け登るよりは良いですけどね。

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