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第19話 北海道栗山町ー 一期一合 ー

栗山のお酒をひとりで呑む。
ひとりで呑む酒にも、慣れてきた。
ひとりで呑む酒が、日常になった。

10年前、飲めなかった、お酒。

7年前、飲めるようになった、お酒。

5年前、みんなで飲んでいた、お酒。

1年前、ひとりで飲むことが多くなった、お酒。

自分も成長し、時代も変わる。

一期一合。人生の旅に、盃。

◆北の大地に、日本の酒

由仁から、栗山へ。

由仁で見た景色も秋っぽかったが、栗山は町の名前から秋である。

町名の由来はアイヌ語のヤムニウシ。栗の多いところの意だそう。

ここ、栗山には、酒蔵がある。

秋の食材に、合う、日本酒がある。

ここ、北海道で日本酒というとなんだか珍しい感じがする。

北海道は、元々稲作がうまくできなかった。稲作に適した土地がなかった。

水もよくなかった。

お米と水を必要とする日本酒は、北海道には適していなかった。

でも、時代は進み、人々の努力、土地の改良により、北海道は稲作に適した土地になった。

ここ、栗山の小林酒造は明治に創業。
時代は開拓の時代。
創業時は道内に酒造者は極めて少なかった。

夕張川の水利に富む栗山の地で、酒造りが始まった。

北海道の酒造りの先駆者として、小林酒造は歩む。

「うまい酒」「やすい酒」造りをモットーにして、本州の酒に負けない努力が払われた。

こうして、北海道の土地にも、お酒の文化、「仕事の後の一杯」が生まれた。

北海道の発展に、お酒はあった。


◆お酒香る場所歩いて

小林酒造の建物、小林家の建物を少し散歩。

明治の時代にタイムスリップした気分になる。
そして、ほんのりお酒が香る。

令和の時代に足りていない「落ち着き」がここにある。

お酒の「しっぽりさ」が、ここにある。

秋の時期だけかもしれないが、小林家の玄関には、栗山らしく栗も置いてある。

この雰囲気、この文化、この環境にて、ここの日本酒は作られた。

日本酒は、素材や作り方だけでなく、文化も影響する。

明治から変わることのないものと、さらに良くするために変わり続けたもの。
それらが合わさって、いまの小林酒造がある。

明治にタイムスリップして、それから、ここのお酒を買う。

家で、開拓時代の北海道と今の北海道に想いを馳せて、昔の自分と今の自分を見つめ直して、しっぽり栗山の酒を呑む。

ひとりで呑むことが多くなったこの一年。

次の一年は、みんなと栗山のお酒を飲みながら語り合える日が来ることを待ち望む。

栗山町、ありがとう。

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