見出し画像

1歳6ヶ月健診での保護者の思いと専門家として思うこと

乳幼児健診での保護者の思いや、心理士として何ができるかについて書いていきたいと思います。

1.1歳6ヶ月健診とは

 健診は、身長・体重測定、内科・歯科健診、保健指導は必須です。市町村によって異なると思いますが、栄養指導、歯磨き指導、発達相談(言葉の相談など)は希望者に行います。その中の発達相談に私は関わっています。

2.健診での相談例と保護者の思い

 言葉が遅い、動きが激しい、癇癪がひどい、人見知りが激しい等、様々な相談があります。

相談の最後に、保護者の方から「何か言われるんじゃないかと思ってたけど、今日はお話し聞けてよかったです。」「病院を勧められるんじゃないかと思っていました。少し様子を見てみます。」と語ってくれる保護者の方がいます。

この言葉を聞くと、保護者の方がどんな気持ちで健診に来られたんだろうと考えさせられます・・・。

3.心理士として大事なこと

 1歳6ヶ月健診での心理士の役割は、病院受診を進めることよりも大事なことがあると思っています(もちろん、明らかに発達障害が疑われる場合や保護者の方が診断を疑っている場合は専門家として、病院受診を提案する時はあります。それが、のちに家族が安定すると思っているからです)。

最も大事なことは、まずはご家族が相談できる人が家族以外にもいることを知ってもらうこと、自分一人で悩まないでほしいということを伝えることだと思っています。

保護者の方には安心してほしいけど、私は、簡単に「大丈夫ですよ」とは言いません。「大変ですよね」と共感だけすることもしません。共感だけは、一瞬は楽になるかもしれないけど、家庭に戻った瞬間からご家族は悩んでしまうことを知っているから、共感だけで相談を終わりにしません。


4.健診業務ができるようになるまでの経験

 健診で、子どもの発達状況に適したアドバイスをするためには、たった15分の間に、子どもの発達状況を把握し、保護者の方がご家庭でできることを探さなければなりません。

私は、まだまだ足りないと思っていますが、この仕事ができるようになってきたのは、年間150例以上の保護者と子どもに会い、色々な考えを持つ保護者の方、子どもに触れていること、0歳から18歳と幅広い子どもと関われる機会をもらえているからがだと思っています。


5.予後を見通した提案

 専門家は、一般的な予後、その子の予後を保護者の方に伝えることができます。例えば、落ち着きのない子がいたら、集団に入ってからみんなと一緒の行動ができないことが多い場合は相談してほしいとか、2歳になったら2語文が徐々に出てこない場合はもう一度相談してほしい等、保護者の方が何を見たらいいのかを具体的に知らせることが大事です。

6.心理士の役割

 1歳6ヶ月健診の心理士の役割は、発達の状況を短い時間の中で的確に見ることです!それができれば、ただ単に共感する、病院受診を勧めるのではなく、ご家族が相談できる場、その後相談できる場所があることを伝えることができます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?