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ピボットで掴んだ事業アイデアとその実現|チャレンジャー5期生 小平裕さん(株式会社Safamii)

令和4年度のHATSU鎌倉チャレンジャー募集にあたり、元チャレンジャーを招いたランチ会を開催しました!
今回はチャレンジャー5期生で株式会社Safamii代表取締役小平裕 さんからチャレンジャー期間中のピボット経験と、HATSU鎌倉の活用方法についてお話をうかがいました。


事業開発の経験から起業!そしてチャレンジャーに

-- これまでの経歴について教えてください

元々新卒でリクルートグループに入ったのち、2016年頃、ビザスク(スキルシェアプラットフォーム)に入社しました。まだ少人数規模でしたので文字通り何にでも取り組ませてもらえる機会がありました。
後半の2年間は新規事業の立上げやスケールを担当していました。プロダクトをどう作っていくのかの設計や企画を始めとして、エンジニアさんと一緒に試行錯誤したり、自身も営業として顧客先を周った経験は、まさに今活きている経験だなと思います。

--HATSUチャレンジャーに申し込むまではどのような経緯があったのでしょうか

当初は企業から受託で開発やコンサルティング、コミュニティ支援の仕事等をしていました。仕事をする中で既存の事業に加えて何か新しい事業を作りたい思いをずっと持ち続けていました。
関心として#まちづくり、#地域資産の活用、#癒し、というキーワードはありましたが、とはいえ具体的になっておらず。何かに挑戦したい気持ちを持ちつつ、日々の忙しさに追われて時間が過ぎて行ってしまいそうな焦りも感じていました。そんな時にHATSUの運営スタッフにチャレンジャーについて教えていただいて申し込みをしました。

--今はどんなサービスを提供していますか

癒しやリラックスに繋がるような「チルスポット」をアプリ上でデータ提供するサービスを開発しています。ユーザーは公園、植物園、図書館...等と約30を超えるカテゴリから検索したり、マップ上から癒しスポットを見つけることができ、自分のパーソナルな癒しの空間をカスタマイズすることができます。そのほか、癒しに繋がるイベントを紹介したり、ストレス状態などの可視化を通して、ユーザーの気分に合わせたスポットを提案する仕組みを開発しています。

Safamiiデモ画面

日々のストレスが溜まってきた時に「ひとりになりたい」「少人数で落ち着きたい」と思う時は誰しもあると思います。あるいは不安で孤独を感じているような時に、落ち着いて自分に向き合いたい時ってありますよね。ただ思いのほか、「静かな場所で落ち着ける場所」が分からなかったり、知られてなかったりすると思うんです。

ストレスが多い社会ですので、世の中にはメンタルチェック・ケアサービス、瞑想アプリ、遠隔医師かかりつけサービスなど、素晴らしいサービスが沢山出てきています。

最終的な解決は彼らの出番かと思いますが、孤独や不安を抱える人のまず初めの一歩に寄り添い、静かな環境で自分の内面を見つめ直せる機会を提供するプロダクトを目指しています。


チャレンジャー期間で行った大きな事業転換(ピボット)

--チャレンジャーに申し込んで下さったときは違うサービスでしたよね。ピボットにはどんな経緯がありましたか

はじめは観葉植物や花の育て方で困ってる人と、植物の知見を持っている人をマッチングさせるビジネスをやろうとしていました。個人的に花業界に繋がりがあった事から花卉園芸業界に関心を寄せていました。植物を「育てたり、観賞する」経験と「癒し」をリンクさせるようなサービスを作ろうとしてたんです。

以前から「癒し」は、自分の中で一貫したテーマではあったのですが、具現化するサービスの内容が今とは違っていました。

これまでも小さなピボットはいくつかあったのですが、大きな転換点はユーザーヒアリングを通して、マニアしか使わないサービスであることがわかったからです。アンケートでは「お金を出さないのであれば使う」人が90%程度と、一定のニーズはあることは分かっていました。しかし、ヒアリングを通して突き詰めてみると、実際に使うユーザーがとても少ないことがわかりました。また今後事業を継続しスケールを考える上で、得られるキャッシュがコストに対してかかりすぎることもあり、ピボットする判断になりました。

--事業の方向性を変えるときに、場所に着目したきっかけは何でしょうか

正直なところ、ピボットを決めたときは落ち込んでいました。「これまでやってきたことは何だったんだろう」とか「散々、花農家さんに話を聞いていただいたのに申し訳が立たない」など色々と半年強やっていた事を思い返していたんですね。
そんな時、私はメールやSNS、都会の喧騒から逃れるように静かな公園や寺院、カフェなどに行って今までの事を内省することがよくあって、自然に囲まれた場所で自分と静かに向き合うことで少しずつ前向きになれたんです。実体験を通して自分が落ち着けるような体験が得られる「場所」が本当に大事だと気づきました。リラックスできて心を落ち着ける場所は、実はみんなあんまり知らないのではと思い、そこから事業を深堀りしていったことが今につながります。

--癒しの場所に着目したあと、具体的にどのような進め方をしていったのですか

人に話すと「そういう場所を知りたい」と皆さんのフィードバックは好印象でした。ただ、それだけではWEBメディアと変わらないしインパクトは強くない。「癒し」をキーワードに、場所を知るだけでない日々の生活にまで癒しやリラックスを浸透させるにはどのような機能や価値が必要か考えるにあたって、アンケートを使って意見を集めました。あえて全く自分が知らない人に対して意見を聞いてみたかったので、事業について意見を募集できるプラットフォームサービスを活用しました。

メンターの相談でHATSUをフル活用

(参加者より)
--事業をゼロから一人で立ち上げるより、チームなどを作って事業を固めてから相談した方が良いのでしょうか

必ずしもそんなことないはないと思います。チームがあれば勿論良いですが、むしろほとんどは立上げ時は1人なのでは、と思います。それに対して、企画、設計などのビジネスデザインに加えて、営業、事務や手続き周り、法務、税務、必要な人はweb/アプリ開発と全てこなさなければならない上、サービスが立ち上がるまでは事業内容が変わる可能性が高く、少ない資金で糸口を見つけないとならない、と1人ではバランスが取れない状況に直面する事の方が多いかと思います。

立上げ時期だからこそのギャップに対して人を採用したりするよりも、行政や地域、共感してくれる方々の協力を得ながら、コミュニティ内に分散された知見を活用して進めていく方がいい場合もあるのではないか、と思っています。

その点、HATSUは多様なメンター(専門家)に相談にのってもらうスタイルが魅力的でした。私もメンターとの相談会をフル活用しました。会計や法律の専門家の方に気軽に相談できる環境はとてもよかったです。
それに、コミュニティマネージャーの方々に県内の先輩起業家や、コミュニティ内でユーザーヒアリング先をアレンジしていただけた事もHATSUならではでした。

--コーチングができるスタッフもいるので、気持ちの面でメンタリングを受け付けていたりもしますね。メンターとの相談で特に印象に残っていることはありますか

特に松本純さん・善積真吾さんのメンタリングがとてもありがたかったです。マーケットがニッチ過ぎる点や事業計画の甘さや、ユーザー理解の浅さなどを指摘いただき良い意味でも厳しいフィードバックをいただくこともありました。

アドバイスを受けてちょっとずつ良い方向に変わってきてるところに対して、松本純さんからはスケールする可能性あるよね、といったポジティブなコメントをもらえたときのことは嬉しくてやはり印象に残ってます。5ヶ月間継続して見て下さるので、前回までの流れで状況の整理もでき、相談がしやすかったです。

HATSU期間のメンターやユーザーからいただいた個人的な最大の学びは、BtoCは特に「共感性の高い分かりやすいプロダクトをつくるべきだ」という事と、「市場が伸びている領域を攻めるべき」という事です。

私はまだまだこれからという立場でしかありませんが、いずれこの学びを良い形でメンターやコミュニティに返していけるように頑張りたいです。

–HATSUにおすすめの人やタイミングはありますか

やはりアイデアがあって、それを実現したい人が一番フィットするのではないでしょうか。自分は何がやりたいのかといった原体験が明確にあったり、具体的にやりたいことがある人の方がたどり着くスピードは早いと思います。メンターに何もない状態で相談するよりも、何か「こういうことをやりたい」という気持ちさえあれば、それに応えるようにアドバイスをしてくれますので。アイデア段階の人は一番フィットするのかなと思います。

 一方で、事業が進んでる段階の方でも、事業の成長にとって良いことが沢山あると思います。やはり鎌倉という街には渋谷や六本木にはない独特のコミュニティがありますし、そんな鎌倉ならではの地域コミュニティとのネットワークが活用できたり、行政がすごく力を入れてくださっているので場を提供してくれたり、先輩起業家と繋いでもらえたり。立ち上げフェーズであっても良い環境なのではないかと個人的に思っております。

チャレンジャーはHATSU鎌倉の拠点利用が可能です

Safamiiのこれから

--Safamiiの今後について教えてください
現在サービスの開発を進めており、2022年7月中にα版のアプリリリースを予定しています。先行体験の予約を受け付けておりますので、ご希望される方はお問合せください。



令和4年度チャレンジャーを募集中!

令和4年度チャレンジャーを募集中です!(締切 06/19 23:59)
募集要項については下記をご覧ください。