HATSUのつながりから共同創業へーHATSUチャレンジャー廣田 諒さんインタビュー
HATSUの第5期のチャレンジャーである廣田さんにインタビューをしました。廣田さんはすべての海と「繋がる」Be-connというアプリを開発しています。(Be-conn の詳細はこちら)2023年11月には、HATSUの起業家同士で株式会社オケアノースを協同創業しました。(オケアノースの詳細はこちら)今の事業に至るまでの経緯やHATSUで得られたこと、起業での学びについてお話をお伺いしました。
最後は心が踊るかどうか。事業を固めるまでの経緯
ーーーどのような経緯で起業に至ったのでしょうか?
新卒でIT会社に入社した後に、海と人々をつなぐ事業に関わりたいと思い、最初は転職を考えていました。ですが、自分に合う企業が見つからなかったので、起業することにしました。起業する前に公益財団法人澤田経営道場に2年間所属し、座学や経営者との公演などを通じて様々な経験をしました。その後半年間は、起業準備としてプログラミングの学校に通って、起業したという流れですね。
個人事業主として事業を始める選択肢もありますが、海の事業は費用がかかるので、法人化一択でした。起業の半年前に事業を固めて、ちょうどその時期にHATSUに入りましたね。
ーーー事業内容はどのように固めていったのでしょうか?
色々な方に相談しても最終的にはやってみないとわからない、まずは思ったことに挑戦してみようと、とにかく動いてました。初期は紆余曲折しすぎて、観光×カメラマンの事業や自警団アプリなどに手を出していましたね。
ーーー色々あったアイデアの中から、今の事業に決められたのはどのような理由でしょうか?
好きじゃないとやっぱりやめるんですよ。わくわくする、心躍ることって大変でも辛くても頑張れる。なので、動いてみて、本当に好きなのかどうかを確かめていくのが良いのかなと思います。
ーーーBe-connについて詳しく教えてください。
Be-connは海の情報を取得・共有ができる海のプラットフォームSNSアプリです。ユーザーはライブカメラの映像や投稿で「いま」の海を知ったり、日々の海での出来事を日記のように残すことができます。ユーザーは無料で利用することができ、特に海に関わる測量会社や行政などが必要としているデータを提供して、それに対して費用をいただくスキームを考えています。
例えば、実際に連携した喜界島はサンゴの状況が不明確であるという課題がありました。サンゴの研究をする前に、海藻や砂や衛星でビーチの状況から海の中を想像するんですが、細かい情報がわからないんですし、研究者が圧倒的に足りない。そこで、Be-connで一般市民や旅行者も研究の成果を出せたら、研究者が楽になり、突発的に必要なモニタリングにも対応できることを目指しています。
HATSUで得られた様々なつながり
ーーーなぜHATSUに参加しようと思われたのでしょうか?
海の領域は行政主体の所が多いので、神奈川県のプログラムであるHATSUとの親和性が高かったというのと、自分の地元が鵠沼海岸だったので、というのが理由ですね。
ーーーHATSUに入ったことによってできたことを教えてください。
3つあって、一つは美化財団とつなげてもらい実証実験ができたこと、起業家仲間ができたこと、共同創業者と出会えたことですね。周りの人に相談してもわかってもらえないことが多いので、近いフェーズでの同じ経営者が近くにいることは、とても心の支えになっています。
美化財団との実証実験は、海岸に来る人たちの海岸清掃や海岸美化への意識を高めることを目的としていました。美化財団が実施している日々のパトロールで海岸の様子やゴミの状況に関する情報を、ビーコンで動画・写真で投稿するという取り組みを行いました。
あとは、昨年2月頃に口座残高が3、4万になったときが一番きつかったんですが、そのときにHATSUのコミュニティマネージャーの方に相談に乗っていただいたのも、とても助かりました。
最終的には観光庁案件の補助事業を受託することができることになり、今はこの事業を資金の基盤に事業開発ができています。
ーーー2つ目の会社であるオケアノースの共同創業者の方もHATSUでのつながりなんですよね。
そうです、共同創業者である宇都宮一馬さんも、HATSUのコミュニティマネージャーの方に紹介してもらいました。クラウドファンディングを実施し、起業に至りました。このように親和性の高い方とつなげていただいたり、気にかけてお声かけいただけたりするのがうれしいですし、とにかく色々な方々にお世話になって助けてもらって生きれているなと思いますね。
「わかりやすさ」の重要性を学んだ経験
ーーー起業を検討している方や挑戦している方に伝えたいことはありますか?
わかりやすく伝えることの重要性ですね。海洋プラスチックゴミから作られたサンダル(以下、「OKEANOS」という)のクラウドファンディングのクラウドファウンディングが予想を超える結果になったんですが、なぜうまくいったかというと、「海洋プラスチックゴミをサンダルにする」というコンセプトがわかりやすかったからだと思ってます。
最初の事業は、一時間の説明でも理解してもらいにくく、そうすると広まりにくいんですよね。この経験を通して、コンセプトや「三方良し」をわかりやすく伝えることが大事だということを学びました。
ーーー三方良しというのはどのようなことでしょうか?
OKEANOSで例えると、買い手良しは「環境問題に貢献できて、おしゃれかつ足のフットケアや本来の歩き方のサポートをしてくれること」、世間良しは、「海洋プラスチックゴミの問題解決につながること」、そして、売り手としての自分たちは、ビジョンである「海と人との架け橋となる事業をつくる」ことに共感してもらいサンダルを購入していただくと、プラスチックやゴミが減り、お金が生まれ、新しい雇用が生まれる。この三方良しを意識し続けることが大切だと思います。
ーーー最後に辛いことをどのように乗り越えてきたのか、アドバイスがあればお願いします。
最近はうまくいかないことが当たり前になって、何かいい意味での諦め、落としどころを見つけるという感覚を持てるようになりました。
例えば、断られた場合も相手にも事情があることなので、相手の立場を想像して、その理由に気づけるかどうか。そして、うまくいかないということは、三方良しでないと割り切り、次回につなげることを意識しています。うまく行くときって本当に全部スムーズに行くなと思っていますね。
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廣田さんへのお問い合わせ
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