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「成長フェーズごとに一気通貫で支援してくれるプログラムが揃っているのが良かった」 ライフログアプリ事業(HATSU起業家支援プログラム体験談)

エグゼヴィータ株式会社 代表取締役 多田 洋史さん

ライフログを記録することで自身が変わることのできた経験を踏まえ、人の行動を自動で記録・解析することで、データドリブンに行動変容を促し習慣の改善をサポートするAIの開発を行っている。

鎌倉で起業するメリットとデメリット

起業してからよく聞かれる質問の一つとして「どうして鎌倉で起業したんですか?」という質問があります。鎌倉が好きだからというシンプルな回答だけだと面白くないかと思いますので、起業するときに考えていた理由を簡単にご紹介します。

もちろん、このメリットは全ての起業家に当てはまるわけではないので、必ずしも都心での起業を避ける必要はないと思います。あくまでも、事業形態と進捗に必要なタイムライン、チームの強みなどを考慮して選択することが大切かと思います。

余計なノイズが入りづらい

これが一番大きな理由です。我々はAIとアプリを開発しているスタートアップなので、創業初期はプロダクト開発に集中する必要がある、つまり、起業からしばらくは進捗が見えづらく耐える時期 が続くと考えていました。その状況で過多な情報はノイズになる可能性が高いと思っていました。特に都心では情報へのアクセスが容易な反面、情報の波に飲み込まれないためには相当な自制心が必要となります。

私の場合、起業初期の最大の敵は なんとなく不安でイベントに出まくることによる時間の浪費だと思っていました。一方、鎌倉に本拠地をおくと、都心まで1時間という絶妙な心理的ハードルが発生するため、本当に必要なイベントや打ち合わせを自然と取捨選択することができます

実際に、鎌倉で起業してみて、狙い通り都内に住んでいたら時間的・距離的に行けるから行ってしまっていたであろう不必要なイベントに参加せずに済み、プロダクトに向き合う時間を確保するためには効果抜群でした。

一方、情報が自然と手に入りにくいので、とにかく自分で動いて情報を取りに行かないと、旬な情報にアクセスできなくなります。また、一定のメンバー数が揃わないと事業化が難しいビジネスだと、人との出会いが少ないことは致命的になるかもしれません。

この問題を解決するには「いかにアクティブな起業家コミュニティに入り込むか?」が重要です。この点、後で紹介するHATSU鎌倉やSHINみなとみらいといった縦にも横にも層の厚いコミュニティがあることが、神奈川の強みだと思います。

交通の利便性

これはもはや周知のことかと思いますが、今のリモート会議が普及している状況では、都心にオフィスがなくても打ち合わせや面談に困ることはありません。また、鎌倉は都心まで約一時間、東京・品川・渋谷・新宿と主要駅に一本、グリーン車を使えば移動時間をカフェ利用くらいの金額で作業時間に変えられます。

ですが、特にエンタープライズ向けBtoBビジネスなど、顧客と直接会う機会が多い事業を検討されている方は、都心か横浜あたりに拠点を構える方が良いかもしれません。鎌倉から都心まで一時間ですが、その一時間が壁となることもあるかと思います。

メンタルを維持しやすい

起業初期は将来への不安や減り続ける貯金額から、メンタルが揺れ動くことは皆さんご存知のことかと思います(笑)そのようなときに、気軽に海岸を散歩したり、神社にお参りしてみたり、江ノ島に行ってみたり、サーフィンをしてみたりと、気分転換に困らないことは、かなり大きなメリットでした。また、この後で紹介するHATSU鎌倉など地元のコミュニティがとても温かいので、困ったときにふらっと立ち寄れる場所があるのも良いです。

プログラムに参加してよかったこと

鎌倉で起業する際に最初にしたことが、HATSU起業家支援プログラムへの応募でした。これは、以前から知人経由で紹介を受けていたという理由もありますが、先程の「情報の少なさ」をカバーするためには必須のアクションでした。プログラムへの応募当初は、主に情報へのアクセスを主眼に置いていたのですが、結果は想像を遥かに超える、メリットだらけなプログラムでした。

縦にも横にも厚いコミュニティ

アクセラレーションプログラムといえば、基本は期間限定のつながりで終わってしまうケースが多いのではないかと思います。一方、神奈川県には起業前から起業後にかけて、フェーズごとにHATSU→SHIN→BAKと、一気通貫で支援してくれるプログラムが揃っています。これはなかなか他にはない構成ではないでしょうか!

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/sr4/venture.html

そして、各プログラムが非常にアクティブに動いており、SHINで活躍されているHATSUの卒業生の方がゴロゴロいらっしゃいます。(これは本当に神奈川県さんの努力がすごいと思います)そういった一歩先を行く先輩起業家の皆さんから得られる生の情報はめちゃくちゃ役に立つものばかりで、起業初期には非常に心強かったです。「HATSUチャレンジャーです」とお伝えすると、あっという間に身内として温かく迎えてくださります。これは層の厚いエコシステムの構築と好循環が生まれているからこそ享受できるメリットかなと思います。

豪華すぎるメンター陣

チャレンジャーに参加して一番ハッピーな誤算だったのが、メンター陣の層の厚さでした。県が主導するアクセラなんて…と思っている、そこのあなた。ぜひ一度、下記のメンター陣をご覧あれ(笑)
参考:https://note.com/hatsukamakura/n/n90cad6c9cdcb

ビジネスからマーケティング、デザイン、チームビルディングといった事業立ち上げに必須のサポートをしてくださるメンターの皆様はもちろん、個人的に特筆すべきだと思うのは、士業関係のメンター陣の厚さだと思っています。よほどの経験がない限り、普通は法律や税務に詳しくない状態で起業すると思いますが、それでも、手元資金が心許ないゆえに自力で進めないといけないのが起業初期の泣きどころ。

その点、HATSUでは、士業メンターの皆さんに定期的にメンタリングをしてもらえたり、勉強会を開催していただいたりと、定期的に困りごとを相談できる環境があり、非常に心強かったです。(しかも、スタートアップ関連業務に精通している第一線の方ばかり!)こんな良いプログラム、他にはなかなかないと思います。

そして、ビジネスサイドについても、百戦錬磨の支援仙人・廣川さんをはじめとした、豪華なメンターの方々に毎月のように事業相談ができたことは、間違いなく事業の推進に大きくプラスとなりました。

心理的安全性の確保

起業初期の何者でもないフェーズでは、心細くなったり目にみえる進捗が生まれず焦ったりする時期がどうしても生じてしまいます。そんなときに、少し先をいく起業家やメンターの方に、第三者目線で話を聞いてもらえるだけでも気持ちがラクになることがありました。しかも、HATSU・SHINのコミュニティには、頑張っている起業家を全力で応援してくれる気質があるため、精神的に救われることも多いと思います。

これは私のバイアスかもしれませんが、多くのアクセラレーションプログラムではDemo Dayなどのコンテスト形式を採用して競争原理をベースに鼓舞することが多いと思います。私もそういったコンテストは大好きなタイプではありますが(やるなら一番を取りたいタイプ)、HATSUのように起業家に寄り添ってくれるコミュニティに属しながらレジリエンスを高めておくことは、コンテストに臨む際の心の余裕につながる気がします。

HATSU鎌倉チャレンジャープログラムのデメリットになりそうなこと

いいことばかり書いてると運営の回し者っぽくなるので(実際、回し者なんですが笑)、プログラム期間を通して感じた学びやデメリットもコメントしておきます。

受け身の姿勢だと得られるものがかなり少ない

HATSUのプログラムは、受け身の姿勢だと得られるものがかなり少ないです。大規模なアクセラのようにみっちりとプログラムが組まれるわけではないので、座っていれば知識が得られるわけではないと思います。

コミュニティからメリットを享受したいのであれば、自身からも一定の貢献が必要になるかと思います。といっても難しい話ではなく、積極的にイベントに参加する、チャットツールで発言するなど、ある程度の時間を確保する用意があれば十分かと思います。

スピードが落ちる可能性がある

都内のアクセラに比べると、どうしてもスピード感が落ちると感じることがあります。これは焦燥感に駆られないという点でメリットとも言えますが、ランウェイが限られている起業初期にゆっくりと過ごしてしまう功罪はあると思います。

この辺りはJカーブを掘って事業を進めるスタートアップか、受託や副業をしながらブートストラッピングで進めるのかでも取るべき戦略が異なると思いますので、ご自身で判断されてください。ちなみに、HATSU鎌倉はどちらの進め方でも受け入れてくれる稀有なコミュニティかと思います。まだ、どちらで進めるか迷っているという方にも良い選択肢かもしれません。

プログラムを卒業して

我々のチームは、昨年多くの方にサポートいただいた結果、ありがたいことにいくつかの重要なマイルストーンをクリアすることができました。まだまだ走り始めのチームなので、ナイナイ尽くしの毎日ですが、今年もいくつかのマイルストーンをクリアすべく精進していきます。

今年のマイルストーンの一つに、神奈川モデルのネクストステップであるKSAPへの参加がありますので、まずは採択いただけるように頑張りたいと思います。(もし、KSAPへの応募を検討されている方がいれば、採択に向けて一緒に頑張りましょー!!)

最後に

色々と書いてきましたが、結論、鎌倉は良いところで、HATSUは素敵なコミュニティだということです。先日、鎌倉の某起業家の方が「鎌倉駅で降りたらウェルビーイング」ってコメントされてましたが、本当にそんな感じです。

鎌倉で起業しようかなとか、HATSUに参加してみようかなって方に何かアドバイスできるとすれば、2〜3日、できれば1週間くらい過ごしてみて、鎌倉やHATSUの雰囲気を知るのが良いのではないかなと思います。大したことは言えないですが、私でよければ相談にも乗りますので、お気軽にご連絡ください!

締めの言葉の代わりに、私が尊敬する偉人の言葉を置いておきます。皆さんの心の着火剤になれば幸いです。

It is difficult to say what is impossible, for the dream of yesterday is the hope of today and the reality of tomorrow.

Robert H. Goddard

では、またどこかで!

【HATSU起業家支援プログラム募集|締切7/23】

“社会性と経済性の両立を目指す起業家支援プログラムに挑戦しませんか?——令和6年度「HATSU鎌倉(湘南・三浦半島エリア)」チャレンジャー募集

【イベントでぜひHATSUを知ってください】

【募集関連イベント】5週連続開催!起業家支援プログラム卒業生のAfter HATSU @オンライン

【HATSU起業家支援プログラム体験談(note)】

▶「起業するためにHATSUへの応募は必須のアクションだった」
データドリブンなライフログアプリ事業

「起業家もメンターもスタッフも社会課題解決マインドを持っている」
汚泥と合成洗剤を分解する浄化槽の開発事業

「HATSUで”グッドバイブス”な起業家になりたいと思えた」
三浦半島での地域資源と遊休クルーザーを活用した観光事業

「研究で失敗したときメンターに励ましてもらい新たな仮説発見につながった」
ペットの歯周病早期発見と予防事業

「心が踊る事業なら諦めない。HATSUのつながりから共同創業へ」
海のSNS型プラットフォームアプリ事業

「思いを形にする事業づくり。専業主婦を経て起業」
多種多様な聴き手に話をきいてもらえるWEBサービス事業

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