食卓

昼なのに
暗いです
食卓は

ビニールクロスの
テーブルで
水玉どんぶりぬるま湯
はって
干したきのこを戻して絞り　
切って刻んで
人参あぶらげと
甘く炊く。

プラのボウルに
たまご割り入れ
卵液溶き混ぜ
菜箸で。

樹脂加工のフライパンに
油ひいて
うすく焼き
バットに上げる調理中。

黒トラキジねこ
脚にまとわりつくの
「危ない！」
と、座敷に投げた。

塩茹でえんどう4っつ
小皿に並べ
ひと休み。　

食卓で
ねこの毛が付く
布張り椅子に腰掛けて
母のてづくり
10ねんものの梅酒を
ちびちび

砂糖、酢、塩、
の加減思いつつ
官能小説の頁をくる。

「詰まらないなぁ」
と、大あくび。

ぢっとした空気を
放とう
窓を開け。
見える景色は工場の
高い煙突
錆びたトタン屋根。

藍染めの
姉さんかむりを
解いて拭う
首筋の汗。

足で扇風機の
「スイッチをオン!」

小説閉じて、
ほおづえついて、
半裸の女性の表紙を眺め
娘の胸の弾力を想う。

8月28日の食卓は、
思春期の
少女の胸の弾力と
乾物特有の
うまみです。