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映画 アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発 [感想,批評,レビュー,あらすじ]



戦争犯罪の加害者は命令に従ったという意識のみ

 アドルフ・アイヒマンはSS親衛隊の将校であり、階級は中佐である。戦後、アルゼンチンで逃亡生活を送っていたが、ナチハンターの活動、イスラエルの組織であるモサドの尽力により、逮捕された
 逮捕が戦後であり、メディアで報道された為知名度が上がったらしい。ユダヤ人を強制収容所へ輸送した罪に問われて処刑になった。多くの映画でも題材に使われている著名な人物である。私のnoteでも記事にしたミュンヘンも、アドルフ・アイヒマンを捕まえるためのモサド等の活動が描かれている
 SS親衛隊員はナチス党の組織であるので、SS親衛隊員は政党に仕えていると考えても間違ってはいないだろう。ホロコーストは国主体、つまりナチス党が主導になって進められた作戦なので、アドルフ・アイヒマンは組織の中で上層部に従ったのみである。当人に積極的にユダヤ人を迫害に加担したいという思想があろうかなかろうが、上層部の指示には従わなければならない
 アドルフ・アイヒマンは逮捕され尋問を受け際、上層部の指示に従ったので、自分に罪はないと主張した。知名度の高いアドルフ・アイヒマンだが、直接ユダヤ人虐殺に手を加えた訳ではない。最終的解決を達成するために、アウシュビッツやその他の強制収容所にユダヤ人を送る貨物列車を手配しただけである。第二次世界大戦後逃げ延び、裁判が戦後に行われたので注目を浴びた


ユダヤ人のミルグラム博士はなぜアイヒマンの後継者という名の映画の主役になったのか

 映画のタイトルからして、ミルグラム博士がユダヤ人虐殺にかかわったように見えてしまうが、ミルグラム博士と虐殺は直接に関係はない。ミルグラム博士が研究したのは、残虐な指示に従う者の心理である。集めさせるためにタイトルをつけたのだろう
 観ていて感じたのは、どこにも利権があるということである。ミルグラム博士の研究により自分たちの功績が否定されそうになった心理学の教授たちが、研究の結果に難癖をつけて結果を拒絶するというのは、過去の記録を守りたい教授たちの利権、つまり輝かしいそれまでの研究の結果を守る行動に思えた
 面白かったので、見てもいいのではないかと思う


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