温度差を乗り越える「逆張り研修」
今日も、ありがとうございます!昨日の「逆張り研修論」を読んでくださったみなさま、ありがとうございました。「2020年、今の研修ままでいいの?」と問題提起をしました。今日は一歩踏み込んでみたいと思います。今日の記事を読んでいただくと、「今、研修にどんな問題が起こっているの?」「どんな力を目指して研修していくの?」という2つの問いに、1つのイメージを持てると思います。
▼スタート・クエスチョン
「今、研修にどんな問題が起こっているの?」
「どんな力を目指していけばいいの?」
▼こんな人が読むとこうなります
今、研修をつくってるんだけど、何を目指したらいいかわからん。
→目指すものがわかった!
今、研修受けててもやもやしてるんだよなぁ。意味あるのかなぁ。
→もやもやの正体がわかった!上司に、こうしてほしいって提案できるかも!
▼今日の結論
・今、研修では問題が起こっています。その原因は、「熱量」にあります。研修をデザインする側の意図が、受ける側に伝わっていないのです。
・今、どこでも通用する力が求められています。それは「経営能力」です。
▼逆張り研修論のおさらい
昨日ぼくは、こんな記事を書きました。
逆張りには2つの意図が込められています。
①どこでも通用するマインドとスキルの育成をする!
現在の研修の多くは、早く一人前を育てることにフォーカスされています。一人前とは、独り立ち。つまり、一人で仕事を滞りなくできること。即戦力が必要だから、職務遂行能力(テクニカルスキル)を重視した研修をデザインしています。
しかし、それでいいのでしょうか?今って、いろんな知識を自分で得られる時代です。自分で学ぶことのできる力はきっとある。研修の目的を「独り立ち」ではなくて、「いち経営者の視点」を育てることにしてみてはいかがでしょうか。
②どこでも通用するマインドとスキルは、人材の流出を防ぐ
自分のところでしか通用しないマインドやスキルを育てていると、人材は流出してしまいます。企業には大損害になりかねません。
隣の芝生は青く見えるもの。しかし、隣の芝生を見る機会は、インターネットなどを使えば、以前よりももっと簡単に見ることができてしまいます。
人には、成長意欲があります。思う存分、力を伸ばせる場をデザインする。その上で、うちの職場はとても魅力的!と感じられる要素をつくるのはいかかでしょうか?
▼そもそも、研修の目的って?
研修の目的とは何でしょうか?
これは、ぼくの考えです。
チームのために、一人ひとりが力を発揮できるようにすること。です。
一人ひとりの力を伸ばすことはもちろんですが、能力の向上を最大の目的にはしません。
チームにどれだけ貢献ができるのか。
ここに目的をおきます。
▼研修は、エンパワーメントすること
研修は、経営の重要な一部を担っていると考えています。
会社のメッセージを直接社員に伝えられる貴重な場です。
この本を読んだとき、こんなメモをとりました。
【エンパワーメントの核心】
エンパワーメントは人にパワーを与えることでは無い。社員が持っているパワーを解き放ち、それを会社の課題や成果を達するために発揮させること。社員がオーナーシップの感覚を持つこと。
社員をエンパワーメントすることが大事なのだそうです。
エンパワーメントとは、一人ひとりの力を伸ばすことではありません。一人ひとりに備わった個性を解き放つこと。それを、会社のために発揮させることなのです。
よく見る求人の採用基準は、こんな感じではないでしょうか?
・「Excelを使える人」
・「◯◯の経験が5年以上の人」
・簿記検定2級などなど
この人に、どんな能力が備わっているか?が重視されています。
でも、能力だけなら、代わりは他にもいそうです。
採用面接をするときは、きっとその人の他の部分に惚れ込んでいるはずです。
エンパワーメントな経営では、能力を一旦脇に置いています。
社員が、どんな個性を持っているか。ここを重視するのです。
そして、社員が個性を発揮できることを目的として経営を進めます。
研修ととても似ています。
能力を育てる研修をどんなにしたとしても、力を発揮できるかどうかはまた別なのです。
▼コスパの良い研修会と悪い研修会
研修会には、コストパフォーマンスがあります。
研修を一つデザインするためには、非常に多くの労力がかかります。
そして、本来は通常業務にあたれるはずの人員の時間を割いて、研修をするのです。
研修にはたくさんのコストがかかっていることを忘れてはなりません。
しかしながら、実際には、コスパの良い研修会と悪い研修会が存在するのです。
・コスパの良い研修会・・・参加者にとって収穫があった。その後の職場に良い影響がみられた。
・コスパの悪い研修会・・・参加者にとって収穫がない。その後の職場に良い変化が見られない。
ただ、誤解してはいけません。
コンテンツとしてはとても充実したものであるはずなのに、コスパが悪い場合もあるのです。
研修のデザイナーは、頭を何度も抱えながら一生懸命につくったものなのに。
なぜか、研修の受け手には、届いていないのです。
▼温度差の広がる研修会がある
私たちが陥っている罠があります。
私たちは、よくチーム全体で目標を掲げます。
しかし、それは本当に共有をされているのでしょうか。
新しいゴールが生まれた時、多くの人がWIIFMをつかめていない。
What's in it for me?
自分にとって何の意味があるのか。
私たちは、スローガンを掲げれば、全員でそこを目指していけると思う傾向があります。
しかし、それは幻想なのかもしれないのです。
昔、「るろうに剣心」というアニメの主題歌「3分の一の純情な感情」にこんな歌詞がありました。
「どんなに深く愛しても 3分の一も伝わらない」
そんなものなのです。
経営方針は打ち出されている。だから、みんなわかっているでしょ?
これを前提に研修をデザインしたとしても、実は温度差はますます広がることになりかねないのです。
▼なぜ「温度差」は広がるのか
組織が大きくなればなるほど、組織のピラミッド階層は増えていきます。
それぞれに立場ができて、業務もそれぞれが個別化していきます。
【トップ10プランナー質問法】
上司から求められている仕事を10個あげてください。
自分が考えている事と上司から求められていることのギャップが分かる。マイクロマネジメントをしていると部下はそれが自分に与えられた役割だと勘違いしてしまう。
これは、とても興味深い調査でした。
例えば、飲食店。
店長が、スタッフに「君の仕事は何だ?」と質問をします。
すると、次のような答えが帰ってくるのです。
①お客さんに料理を運ぶこと。
②店内の掃除をすること。
③食材の発注をすること。
・・・などなど。
これは、間違いではありません。
確かに、その人の仕事なのです。
しかし、意識の高い店長であれば、スタッフにはもっと高度なことを望んでいます。
①お客さんに感動を届けること
②お客さんが気持ちよく食事のできる環境をつくること
③いつでも、豊富なメニューを取り揃えてお客さんを迎えること
そう、一人ひとりが考えることを望んでいるのです。
どうすれば、お客さんが喜んでくださるのか、そのパフォーマンスを自分なりに考えて欲しいのです。いわば、自分か経営者だったら、どうするか?というような視点です。
でも、店長の日々のスタッフへの言葉がけはこんなんだったりします。
①食器をきれいにしてから盛り付けなさい。
②床が汚れているぞ。ちゃんと磨きなさい。
③食材が切れかかっているぞ。早く発注しなさい。
小さなことを毎日指摘されていると、
いつしかそれが自分の仕事だと思い込んでしまうのです。
こんな状態で、意識の高い研修会をデザインしたとして、うまくいくはずがありませんよね。
▼まずはセルフマネジメントから
一人ひとりが、会社の課題や成果のために動いていくための一歩。
それは、セルフマネジメントです。
【セルフマネジメント力を育てる声掛け】
掃除をしなさい→汚れていたらお客さんはどう思う?
発注が遅い→発注のスケジュールはどうなっている?お客さんにはたくさんの商品を見て欲しいよね!
エンパワーメントはまずセルフマネジメントから。
▼コスパの良い研修を目指して
エンパワーメント型チームの研修では、チームスキルの訓練が行われます。
それは、職務遂行能力にとどまるものではありません。
どうすれば、良いチームがつくれるのか。
そのために、自分は何ができるのか。
そもそも、自分にとって、ここで働くってどんな意味があるのか。
日々の声かけからできていくものはたくさんあるのです。
全員参加が義務となる研修会では、温度差が縮まって、目指す方向が分かるような時間をつくっていきたいものです。
人間の能力こそ、会社の資産。
それを発揮できる環境とマインドセットが必要です。
アフターデジタルの世界では、拡張的知能観に立った研修が必要です。
とくに一人ひとり柔軟さが、発揮されるような場をつくっていくことが求められるでしょう。
▼今日の質問
自分は、今の仕事をするのは何のため?
・今、研修では問題が起こっています。その原因は、「熱量」にあります。研修をデザインする側の意図が、受ける側に伝わっていないのです。
・今、どこでも通用する力が求められています。それは「経営能力」です。
自分の受けている研修の本質が見えてきます。
今日も、貴重な時間を使って、記事を読んでくださってありがとうございました。ぜひ、明日の続きも読んでいただけたら嬉しいです!!
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