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オーバーツーリズムへの課題にどう向き合うか

投稿間隔に空いてしまいました。
書いていく内にまとまり切らず時間がかかってしまいました。
今回実験的に有料記事にしてみましたが、全文読めます。
もし記事を読んで気に入っていただけたら購入いただけると励みになります。

それでは、本文をどうぞ。

ハテナ


はじめに

以前、私が書いたオーバーツーリズムについての考えですが、課題に対してどう考えるのかを今回はまとめてみたいと思います。

まだ読んだことない方は是非。


①インバウンド受け皿が無いは事実か?



前回の内容から下記について考えてみます。

"① インバウンド受け皿が無い"
まずはこれが事実かどうかです。

第一に宿泊施設数はいくつでしょうか?

Hotel bankによると2022年6月までで、コロナ禍でしたが54,935施設でした。
部屋数は、1,702,351室です。

ちなみに年間観光客数世界一の観光であるフランスは、Eurostat によると2022年に17,056施設で652,953部屋だったそうです。

宿泊施設の総数だけを見ると日本の方が多いですが、部屋数はフランスの方が若干多いようですね。
この数だけ見ると日本は、受け皿がないとは言えなさそうに見えます。

では、働き手はどのくらいでしょうか?

日本では、6月の総務省の発表では宿泊業従事者数は、72万3千人となります。
データがなかなか見つからないため2021年時のものですが、フランスは1107万108人の宿泊業従事者がいます。
コロナ禍ということを加味すると2024年現在はより増えているでしょう。


1人あたりの対応数は?

そして日本での旅行者数は、訪日外国人だけで2023年に2500万人です。
一方フランスは、訪仏外国人が100 millionつまり1億人来ていました。
日本の4倍も来てますね…


そして国内人数も足すと2023年の宿泊込みの旅行者数は、2億8千万人とのことです。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001740835.pdf

観光庁

フランスは、調べてもデータが中々見つからずでしたので、日本と同じ数を足します。
3億5千万人と仮定させていただきます。
お分かりになる方おりましたら是非ともご教授頂けますと幸いです。

それぞれの従業員1人あたりの宿泊者数はこんな感じです。

日本:約387人の観光客数を対応です。
フランス:約3.2人となります。

つまり、一年間に1人あたりの対応すべき人数はフランスと日本を比較すると単純計算で129倍の差があります。

日本の方が1人で対応しなければいけない人数が多い訳です。
もちろん、仮定の数字である訳ですから129倍が本来の数字である訳ではありません。
宿泊従業員には、レストランや清掃員の方も含まれています。
逆に言えば、1人の作業量で求められるのは日本ではほぼ400人分の作業量ということになります。
正直、宿泊施設数などは、観光立国のフランスと比較しても遜色ありません。
しかし、箱を支える土台が全く足りてない訳です。
働き手がいない訳です。

課題解決策を考える

人手不足がデータからはっきりしましたが、宿泊業で対応すべきことはなんでしょうか?
私個人の解決策の案としては以下になります。

①インバウンド目標値を下げる。
②1人あたりの対応数フランス並にする。
③収益性を上げる。(免税措置の緩和など)

それぞれ解説します。

①インバウンド目標値を下げる。

具体的に政府は2030年までに6000万人の訪日外国人旅行者の受け入れを目指しています。
しかし、これは高齢化社会で人手が益々減る中では現実的ではないです。
恐らくここ数年でこの目標も達成されるでしょう。
しかし、環境破壊、観光地域との軋轢など既に問題が発生している中、加えて人手不足を鑑みるとギリギリ対応できている現状2500万人を限界値に据えるべきだと考えます。
その上で目標値は、1100万人が妥当だと考えます。

②1人あたりの対応数フランス並にする

①からも繋がりますが、人手が不足している日本で6000万人対応するのは無理があります。
人手を輸入する(非正規雇用外国人)という手もありますが、日本での働く環境は最低賃金かつ、鬼残業の日々です。
私が働いていたホテルでも"飛んだ"外国人労働者が何人かいました。
対応人数を減らすには、雇用人数を増やすか、受け入れ人数を減らす以外ありません。
もしくは、技術革新によって人の対応そのものを無くすかのいずれかです。
私は、サービスの提供度を重視することが"体験"を提供する観光業にとっては大きな意味があると考えます。
つまり、受け入れ人数を減らすことです。
少なくとも対応人数をフランス並みとは言えなくても10人程度とするならば、観光客数は1000万人が妥当ではないかと思います。

③収益性を上げる。

さて、①②の流れで勘づいた方もいるかと思いますが、受け入れ人数を減らすということは利益率を上げるということです。
ここ数年の政府政策によって日本は未だかつてない円安でインバウンドが増えている訳です。
その上で観光地の収益は上がっているのでしょうか?
収益は上がっているでしょう。
母体数が増えているので。

しかし、日本の宿泊施設では、おもてなしという考え方からほとんどのサービスを無料で行なっています。
その点で収益性が著しく悪いのです。

解決策としては稚拙ですが、その部分を改善する方法としては、やはり国際観光客への料金を高めにするということでしょう。
ダブルスタンダード化です。

ホテル場合は、日本人向けのサイトでは通常料金で、国際観光客向けサイトにはインバウンド料金で高めに設定します。
飲食店などでは、そもそも外国人向けの料金で高めに設定しておきます。
その上で免許やマイナンバーなど日本国籍を出していただく場合、料金を割引するなどか良いでしょう。

また、免税措置の緩和を取ることで観光客から得られる税分をそのまま事業者が受け取れるようにするのが良いでしょう。
その上で税収を減らす必要は無いので、他の部分で税収を得られるようなシステムも必要でしょう。
例えば、訪日税の導入と各観光地での税金獲得方法の拡充をするべきでしょう。
公共施設を利用するにあたっては、日本人からだけ得たお金で賄うのも変な話ですし、オーバーツーリズムによって観光地の管理と安全性の担保を行う資源収入として、その観光地域特有の税を導入することが必須だと考えます。

②に地続きですが、一人当たりの対応数を減らすことで収益性を高めることで持続的な収益獲得を目指す方向が日本人には合っていると思います。

受け入れ人数を絞って求められる高いサービス体験を売り物にして、値段設定や外貨を取り入れるのがマストです。
結果的に、訪日外国人の方が体験に対して魅力だと思って貰えればお金は変わらず落としてくれるはずですし、一人当たりの収益率を高めつつ、副次的に税収も増えるはずです。

2023年は5兆円の消費があった訳です。
日本政府が獲得できる収益性は消費税が基本的な部分になります。
1人あたりの消費が増えるとより税獲得もできます。

まとめ

まとめると、③に全てが詰まっています。
外貨を得られるよう収益性を高くして、かつ日本人への優遇措置を取るべきかなと思います。
というより、日本国内の経済を回すためには必須なはずです。
円安影響によって物価が上がるなかで、2億人ほどの観光客がいることは特筆すべきことです。
その影響でなんとか回ってますが、受け皿がなく収益性の高い制度もそこまで整備できていない中でインバウンド観光客の母体数を増やすのは、市場価値への冒涜だと思います。
必ず、人手不足からの崩壊が待っているでしょうし、またコロナ禍のような事態になったら日本国内で回さなければいけないのです。
観光立国化には、そのリスクを意識しつつ外貨を得る手立てを取ることが求められます。

そもそも、治安がよく高いサービスを誇る日本は、より高い安全性と付加価値のある体験を提供することが「おもてなし」に繋がります。

わざわざ、オーバーツーリズムを引き起こすほどの外国人を受け入れて観光地のモラルと治安を脅かす必要はないと考えます。

結論、1人あたりの収益性を上げて受け入れ人数を減らせということです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

また次回があればよろしくお願い申し上げます。

ハテナ


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