【連載:はたらくひとのウェルビーイング】<3>体のバランスを整え、肩こり腰痛を改善する
多くの方がお悩みの肩こりと腰痛、ヨガや運動でスッキリするとはわかっていても、なかなか慢性的な症状は改善されないことも多いようです。
肩こり腰痛はなぜ起こるのか、原点にたって一度考察してみましょう。明日から体の悩みとの付き合い方が変わるかもしれません。
皆様の明日に役立つ情報になりますように。
はたらくひとのウェルビーイングをヨガで実現したい、という想いで事業を展開する合同会社ひとしずくより、必要な方へ、願いを込めてお届けします。
体のバランスを整え、肩こり腰痛を改善する
パソコン作業などのデスクワークをする方から多く聞く症状が「こり」です。
特に、コロナ禍の中では、外出制限もあり、家の中で仕事をすることで、体を動かす機会が減り、全身の筋肉が凝り固まっている可能性があります。
運動もせず、同じ体勢でデスクワークをしていると、全身の筋肉が凝り固まり、血流が悪くなります。
全身の血流が悪くなると、脳の血流も悪くなり、思考力も低下します。
労働生産性を低下させる原因は?
労働生産性と身体症状の関係を見た研究があります。
労働生産性を低下させる身体的な原因として多いものは
1位:肩こり、2位:睡眠不足、3位:腰痛
Nagata T, et al. J Occup Environ Med.2018
であることが分かっています。
たしかに、私の周りにも「肩や首が凝る」「腰が痛い」といった症状を常に訴えている人が多くいます。
このような方は、首のこりや腰痛とともに「頭痛」も頻繁に起こしていることが多くあります。ほとんどが、偏頭痛や緊張型頭痛です。
「肩や首が凝る」「腰が痛い」という方の脊椎(背骨)レントゲン写真を撮ってみると、本来あるべきS字カーブが無くなり、真っ直ぐになっていることがあります。
首の骨(頚椎)が、真っ直ぐに伸びている状態は、「ストレートネック」と言われ、肩こりや頭痛の原因になりやすいと言われています。
このように、脊椎が本来のカーブをなくしてしまう原因としては、前かがみになる姿勢を長時間とることが考えられます。
デスクワークでパソコン作業をする時などは、特に前傾姿勢になりやすく首や腰に負担がかかります。
作業姿勢を見直してみる
パソコン作業をする時に、正しい姿勢で作業できているでしょうか?
正しい姿勢と言われても、自分ではなかなか分からないものです。
一度、誰か他の人に自分が座っている姿を横から見てもらったり、横にカメラを置いて、自分が椅子に座って作業している時の姿を写真に撮ってみるのも良いでしょう。
理想の姿勢は、骨盤と肩と耳が垂直に並ぶ姿勢です。
一度、椅子に真っ直ぐ座って、骨盤と肩を垂直に並べ、その真上に耳の穴が来る位置を探してみて下さい。
思ったよりも、頭の位置が後ろにあることがわかるとおもいます。
なるべく、この位置をキープするようにして下さい。
もし、椅子の高さや机の高さが合っていない場合は、まず椅子・机の高さ調節を行いましょう。
椅子の高さを変えるだけでも、首や腰への負担がかなり減ることが期待できます。
首と腰を後ろにそらす
次に、同じ姿勢を長時間続けないことが大切です。
前傾姿勢で作業が続く場合は、首や腰に負担がかかり、椎間板が後ろに飛び出す力が働き、椎間板ヘルニアなどの原因にもなります。
時々、席を立って、腰や首を後ろに反らせると、この負担を解消出来ます。
これは、東京大学の松平先生が「これだけ体操」としても紹介しています。
「両手を腰に当て、骨盤を押し込むつもりで、腰を後ろに反らせ3秒間保つ」
これだけです。
これだけ体操をやってみよう|運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座
腰痛を代表とする疼痛症候群の病態、疫学や計量心理学に関わる研究、生体力学を含む実証的研究を行うとともに、診断・治療アルゴリズム、予防ツールの体系化を目的としています。
腹筋も大切
また、腹筋を強化することも大切です。
腹筋を鍛え、お腹の圧力である「腹圧」を高めることで腰への負担が軽減します。
腰痛ベルトや簡易のコルセットを使うことでも、自然に腹圧が高くなり、腰への負担が減りますので、一度試してみることをお勧めします。
45分に1回はストレッチやプチヨガをする
同じ体勢で作業をする場合は、45分に一回は席を立って、ストレッチやプチヨガをして、全身の筋肉を伸ばしてあげて下さい。
これは、首や腰の負担を和らげ、筋肉のコリを解消してくれます。
また、眼精疲労の予防のためにも、PCを使ったデスクワークは45分に一回は小休止を行うことが推奨されています。
仕事と仕事の合間にできる、ストレッチやプチヨガを決めておくと良いでしょう。
この時のポイントは、「ゆっくり伸ばす」ことです。
オフィスワーカーの作業の合間のストレッチを見ていると、
例えば、首や肩を回す場合でも5秒程度で終わっている
方がほとんどです。
20秒程度は時間をかけて、ゆっくり伸ばしてあげて下さい。
左右でも1分程度です。
最初はこの1分がすごく長く感じるかもしれません。
しかし、この1分によって、次の作業の効率が随分と良くなるはずです。
「合間の1分」を大切にしていきましょう。
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2001年産業医科大学医学部卒業。脳神経外科レジデントとして臨床研修をおこなった後、産業医として、旭化成(株)、新日鐵住金(株)等で企業従業員の健康管理業務を行う。2014年よりスタンフォード大学睡眠生体リズム研究所客員研究員として睡眠とスポーツパフォーマンスの研究などに従事。2018年より産業医科大学医学部准教授。脳内ホルモン(バゾプレッシン、オキシトシン)やストレス反応、睡眠生体リズムの生理機構に関する研究に従事している。
スタンフォード留学中にSearch Inside Yourself(Googleが採用しているマインドフルネスプログラム)やスタンフォード大学CCAREのCompassion Cultivation Trainingなどのコースを修了。また、スタンフォード大学マインドフルネス教室で知られるスティーヴンマーフィー重松先生のワークにも参加。現在は、医療従事者向けのマインドフルネスワークショップなども行っている。
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