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ステータスは時代で変わる

SUOUでジャケットを作っている。
ボタンを多用するので、連日数多くの種類を調べている中で、
一つ思うことがあった。


最高級ボタンとされる「水牛ボタン」。
印鑑などにも使われ、水牛の角から切り出される天然素材。

ふと調べると、原料となる水牛の角は
一生伸び続け、生え替わらないので
生きたままでは取れないらしい…
しかも中は空洞部分が多いので、一匹から取れる分も少ない。

(シカ科は角が生え変わるが、ウシ科は生え替わらない)
(インドなど一部地域では食肉の為、副産物として輸出されているケースもある。肉質が硬いので、日本にはあまり入ってきていない。)

実際にボタンや印鑑のために、どれくらいの水牛が飼育・加工されているか厳密な数値は取っていないが、使い手として違和感が生まれた。


デザイナーとしての選択は
持続可能な再現性
何よりも使っていて納得がいくもの。
なので、私は選ばない。

それが長年、高級、上質というステータスだったとしても。
機能面などで確かな質も勿論ある。
実際に触れれば、吸い付くように少し冷ややかで、滑らかな質感に上質さを感じる。

だけど、自分が何を着るのか、
そして服作りに携わるものとして、
違和感の原因を理解し、
意志ある取捨選択をすべきだと思う。

当たり前のステータスは
変わっていく

リアルファー(毛皮)は、フェイクファーに。
水牛ボタンは、ナットボタン(ヤシの実)で。

今よりも技術が未熟だった時代では、理解できる。
しかし、高い技術革新によって、現代では圧倒的に選択肢が増えたはず。

本質を見据えた選択こそが、
この時代を生きていく、
一つのステータスではないだろうか。

私はそう思っている。

そんな思いで、SUOUとして
これからの時代を生きる「新和服」作りをしている。
丁寧に、考えて、選んでいこう。


蓮目

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