もう履歴書なんて書かない
4月からずーっとパート先を探している。
心の教室相談員を1年だけ勤めた。けれど、息子の体調が不安定になり、仕事を時々休むかもしれない事態となって、1年で辞めることにした。私が仕事を休むと心の教室に来る子どもたちも休む。それでは本末転倒だ。続けたいけれど辞めることにした。
できれば子どもと関わる仕事がしたいなあと、放課後等デイサービスや発達支援の仕事を探した。前から気になっていた事業所の求人が運命かと思うようなタイミングで、目に止まった。
すぐ応募した。勤務時間も少々の無理をする覚悟も決めた。
ところが、一足先に応募した人に決まってさようなら。ファンファンファンファーン。
すぐに紹介していただいた別の放課後等デイサービスに履歴書を持って面接に行った。話もはずみ、いい感じだったし、施設長さんには一緒に働きたいと言っていただいたけど、最終決定はオーナーさんだとのこと。私も施設長さんと働いてみたかった。子どもとの迷いのリアルな話や子どもに見透かされ遊ばれる話は楽しそうで、いっぱい学ぶことがありそうで。
でも、お断りの電話がきた。資格の問題で難しいとのこと。子どもの送迎に難色を示しちゃったしなあ。軽自動車くらいなら運転できるけど、ノアやハイエースは人を乗せて運転する自信がなかった。ファンファンファンファーン。
気分を切り替え、今度はパン工場の求人に応募。いろいろ頭を使ったから体を動かす仕事をしたいなあと思ったのさ。
面接は採用担当のお姉さん。工場長が応募された方たちの情報を見て返事をしますとのこと。予定日よりはるかに遅れてこの度はとメールでお断りが来た。ファンファンファンファーン。
ここでちょっと気になっていた所の家事代行サービスの求人が目にとまる。応募して話を聞くと、毎月曜日2時間一人暮らしの高齢者の方の家で、3、4日分のおかずを作るというもの。期待している収入や時間には全く満たなかったけれど、なんとなくやってみたかったのと、それ以上に事業者の方がエネルギッシュで魅力的な方だったのでやってみることにした。仕事というより、有償ボランティアのようなものだけれど、なんだか私という人間のすることで、ちょっとだけでも人が喜んでくれたり、寂しさを紛らわせたりすることができるのは嬉しいなあと思ったのだった。
さて、もう少し収入も時間も期待できる仕事を探そう。
次は八百屋さん。料理もするし、野菜の知識を得たり、高齢の方と話をする機会が増えるのも月曜日の仕事に役立ちそうだ。ここも活気があって前から気になっていたお店。
店長さんは女性で、仕事をバリバリやってみえて、賢そうな方だった。一緒に働いたら勉強になりそうな人だった。シフトも融通がききますとのこと。
本店のオーナーが連絡をしますとのことだったけど、待てど暮らせど返事は来なかった。
6月からは働くぞと決めていたのに、鬼の霍乱期間に突入。熱が出るわ、ゴホゴホ咳が止まらないわ、声が出ないわ、あちこち痛むわ、体がどうなっていくのかと不安になるほど、次々不調がわいてくる。働くに働けない、面接するにも面接に行けない。
とりあえず咳が出て止まらないままにご飯作りに行く。状況を説明して、マスクをして、できるだけ口を開かないようにして、2回行く。
3回目という時に息子が熱を出す。私も不調が次々。とりあえず3回目にしてお休みをいただく。
どんどん気持ちが落ち込んで、この仕事も辞めようかとあれこれ辞め方を考える。
でも、LINEのやりとりで、心配してくださったり、大丈夫と言ってくださったりしたのを見て、大丈夫と思うことにした。落ち込んでいく自分がちょっとふんばれた。
息子が微妙に不調なまま、ふと考える。
心の教室の仕事も、これからの仕事も息子を理由にセーブしようとしている。本当にそうなのか。
私の中にセーブしようとしている私がいる。そこから目をそらすために、息子の体調を理由にしているような気がしてきた。そんな自分が息子の体調を悪くしている気もしてきた。
息子を理由にするのはもうやめようと決めた。私を見よう。自分の心を見よう。
そう決めたらなんとなく胸につかえていたものが小さくなって、声が出るようになり、呼吸も楽になった。
パート探し再開。
お惣菜屋さん。店長さんは女性でこれまたバリバリ働いて頭もきれますという感じ。履歴書をよく見ながら話をされ、明日から来てもらうかと、言われた。シフトも希望は聞いてもらえると。パンパカパーン。
あ、でもと。土日にしっかり働けるか確認された。毎土日は難しいと言うと、うーんちょっと考えさせてと。明日には返事をするからと。
働きたい気持ちと土日も全部仕事になるのは辛いなあという気持ちとモヤモヤしながら、自分がどうしたいのか考える。
結局お断りの電話が来た。でも、土日働けるようになったらいつでも連絡くださいと言ってくださった。ずいぶん迷ってくださったのだろうし、来てほしいと思ってくださったのはありがたかった。
WEBでホテルのレストランの調理補助のパートに応募する。速攻応募者多数のためとメールで返事が来る。名前と生年月日と住所だけで断られた。
さて、困った。次々応募しては決まらないのも困ったが、履歴書を書くのがしんどくなってきた。
結婚後、パート先をいくつかかけもったり、転々としたりしているので、職歴が多い。そして、そんな生き方をした自分を見せつけられるのが、しんどいのだ。
希望する条件に合って、履歴書不要の所も応募してみる。履歴書書かないのは楽だけど、なんとなく駒になった気分。私という人間でなく、労働力そのものという感じ。不思議な気分。
面接で結局土日に来てほしいと言われ、みんな無理を聞いてくれていると言われると、そうか、働くというのはそういうもんだよなと思い、私は甘すぎるなと思い、毎週土曜日か日曜日のどちらかならと言って、採用決定。パンパカパーン。
3日後に書類を書いてきてと言われ、モヤモヤしながら帰る。いいのか私。
今までの私が選びそうにない仕事でおとさんがびっくりしている。どうせここまでパート探しが長びいているなら、本当にやりたいことをやればいいんだよと言ってくれる。
そう。私らしくない。
私は私を変えたいから、今まで絶対選ばなかった世界を見てみたいと思ったのも事実。でも、それだけだろうか。
やっぱり無理があるなとお断りの電話を入れた。丁寧にあやまって、大丈夫ですよと言っていただいて電話を切った。
私は何がしたいんだ?
家の近くだというのと時給がよかったというのが決め手。そして、なんでもいいから働きたい。
そんな自分の思いの一方で、在宅で働きたいような、ドンと家で構えていたいような自分がいる。
もうすぐ夏休み。受験生の息子と学校見学やらいろいろあるのと、働きだしたら、息子は実家で過ごすと言うだろうなあと思うのと。
息子を理由にしないと決めたのにまた息子が出てきた。
私は一体どうしたいんだ?
もんもんとしながら、家の近くのカフェの求人に応募。履歴書を持って、面接に行く。
こちらの希望とお店の希望が見事にすれ違う。でも、丁寧に説明をいただいて、一生懸命折り合いをつけられる条件を考えていただいた。もちろん私も考えた。返事は後日。
まあだめだろう。私も難しいなと思ったし。
もう、もはや働くことというより、面接しながら、いろいろな世界をみたり、そこで自分が何を感じ、考えるのかというのが目的のようにもなってきた。
今までこんなに仕事が決まらなかったことはない。ありがたいことだったんだなと思う。
履歴書を何回も書いて、個人情報をまきちらして私は何をしているんだろう。
お互いの大事な時間を何をしているんだろう。
そんなことばかり考えて、働くイメージを失うという危機的状況の今。
今日もこれから面接に行ってきます。
このもんもんとした状況から飛び出したい。このもんもんとした状況もいつか実になると思いたい。
さあファンファーレはなるのか。いってきまーす。
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