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認知科学コーチングと自身の軌跡 Vol.2

シンペイです。

今日は、認知科学コーチングの目的、メカニズム、特徴、大切な3つの要素について、お話します。


認知科学コーチングの目的とは?

認知科学コーチングの目的は、一言でいえば、あなたの人生を加速させることです。

コーチングによって、クライアントが得られものは、

  • 自分の才能や、本音でやりたいことが見つかる

  • 想像していなかった高いゴールを達成できる

  • 人生が加速し、自分が進化している実感が得られる

コーチングセッションでは、
クライアントの"らしさ(本音の欲求、才能)"を特定し、
その"らしさ"をベースに高いゴールを決断します。

私自身も、コーチングのクライアントでした。
コーチングを受けたことで、私の人生は超加速し、充実しています。

ぜひ、一人でも多くの人に、このワクワク・ゾクゾク・疾走感あふれる人生を味わってほしいです!

認知科学コーチングはどんなメカニズムなの?

認知科学コーチングのメカニズムを説明する前に、そのベースとなる、認知科学についてふれたいと思います。

認知科学とは「情報処理観点から知的システムと知能の性質を理解しようとする研究分野」のことです。

もう少し身近な言葉を使えば、
「情報が外から自分の脳に入ってくる。入ってきた情報を脳(すなわち心)はどのように感じて、どう記憶して、どう考え、その結果、どういった行動につながるのか。その仕組みを研究する分野」
と言えます。

情報の認知から行動に移るまでの仕組みを、簡単な図で説明します。

人は、a.外部情報が入ってくると、b.参照データとして、脳の中に格納します。
参照データは「脳内にある、アクセス可能なデータの集積」と言えます。
この参照データは、自身の体験という切り口で大きく分けると、下記の2つになります。

b1.これまでに実際に経験したこと
b2.これまでに実際に経験したわけではないが、想像により、疑似体験したこと

特にb2が、非常に興味深いですね!
自分が経験していないことですらも、脳内にデータとして蓄積できるのです。
*ちなみに、この脳のb2の性質こそが、認知科学コーチングが機能する一つの大きな理由です。

この参照データから、自身のc.価値観にもとづいて、情報を優先順位づけします。

例えば、「健康的な生活を送るために、毎朝早起きして、10分間のフィットネスをする」が習慣になっている人がいるとしましょう。
その人は、生活において、「健康・運動」の優先順位を、その時間で行える他の行動(睡眠・座学・コミュニケーション、等)よりも、高いところにおいている、と言えます。

価値観は、参照データの中から、自分にとって何か重要で、何が重要でないか、を、無意識レベルで順位づけするのです。

*ちなみに、「どの外部情報をd.参照データに格納するか」の段階でも、価値観による選別が行われます。これは、後ほど「RAS」のセクションで説明します。

このプロセス群のことを、e.ビリーフシステムといいます。

ビリーフシステムは、「世の中のあらゆる事象に関する、自身の持つ重要性関数」と定義されます。

もう少し、身近な言葉で言い換えますと、
「世の中にある情報(できごと、ものごと)を、何が自分にとって重要で、何が重要ではないか、を、自分のもつ価値観にしたがって、優先順位づけする仕組み」
と言えます。

そして、このビリーフシステムを経て、f.行動が生まれます。
先ほどの、「健康的な生活を送るために、毎朝早起きして、10分間のフィットネスをする」という行動は、まさに、ビリーフシステムからの出力ですね。

認知科学は、このような認知の仕組みを研究する分野なのです。

そして、認知科学コーチングは、この認知科学というサイエンスをベースにしているので、再現性・普遍性が高いのです。

さて、本題である、認知科学コーチングのメカニズムですが、
「クライアントが、ビリーフシステムの書き換えを行い、行動が大きく変革する。コーチはそのプロセスのサポートをする。」
となります。

では、具体的に、どのようにしてビリーフシステムを書き換えるのか?
それについては、後ほど、「3つの要素」のセクションで説明します。

認知科学コーチングにはどんな特徴があるの?

コーチング以外にも、コミュニケーションをベースにした対人支援として「ティーチング」「コンサルティング」「カウンセリング」があります。

それぞれとの違いを明らかにすることで、コーチングにはどんな特徴があるのかを理解していきましょう。

ティーチング
教える側の指導やアドバイス、レクチャーが中心です。必要な知識・情報をクライアントに提供することで導きます。教える人からクライアントへの、一方向のコミュニケーションが一般的です。

コンサルティング
クライアントが抱える課題に対して、事実・データ・仮説などに基づき、具体的な解決策を提案します。場合によっては、解決策の実行も請け負います。クライアントとは、双方向のコミュニケーションをとります。

カウンセリング
対話を通して、クライアントの悩みや辛さの解消を目指します。現状に対しての、共感・傾聴・承認、が基本的なアプローチです。クライアントとは、双方向のコミュニケーションをとります。
*世の中にある”コーチング”と言われているものは、実際はカウンセリングであることが多いです。区別するために「認知科学コーチング」という言いかたをしておりますが、認知科学コーチングこそが、コーチングの定義に即しているものです。

では、コーチング(認知科学コーチング)は、どのような特徴があるのでしょうか?

コーチング(認知科学コーチング)

  • 1 on 1をベースにした対話形式

  • クライアントが主体で、双方向のコミュニケーション(*ティーチングとの違い)

  • コンテンツには、コーチは関与しない。例えば、趣味のゴールが「筋トレなのか」「写真なのか」「バンド活動なのか」「模型集めなのか」などは、クライアントが決めます。(*コンサルティングとの違い)

  • 現状の外にゴールを設定し、その達成を目指す(*カウンセリングとの違い)

特に、最後の「現状の外にゴールを設定し、その達成を目指す」というところが、コーチングの大きな特徴と言えます。

その特徴でもって、コーチングは、下記のような方がクライアント対象になります。

  • 何か今の現状を変えたい、とモヤモヤしている人

  • 自分はもっとできるはずだ、と思っていて、具体的なアクションが見つからない人

  • 世の中にインパクトを与えるような人生を歩みたい、という意欲あふれる人

コーチングによって、あなたの中の”本音の巨人"を解放します!

*「現状に満足していて特に変わりたいとは思っていない」という方には、コーチングはおすすめしません。

ちなみに、コーチングを極めると、セルフコーチングもできるようになります。
自分で、現状の外のゴールを設定して、達成できるようになるのです。

まさに無敵、ずっとマリオのスター状態ですね。

認知科学コーチングの大切な3つの要素とは?

認知科学コーチングには、大切な3つの要素があります。

①ゴール(ゴール設定)
②根源的欲求
③エフィカシー

認知科学コーチングを、ひとことでいい表すならば、
「クライアントの、根源的欲求(Want to)(②)をベースに、現状の外のゴール(①)を設定し、高いエフィカシー(③)によってそのゴール達成に向かう。コーチはそのプロセスをサポートする」と言えます。

このプロセスによって、ビリーフシステムが書き換わるのです。

もう少し詳しく言うと、このプロセスによって、「どういった外部情報を脳の参照データに格納し、その参照データをどういった優先順位で並べ替え、重要度の高いものを行動として出力するか。その基準となる価値観そのものが変わる」ということです。

3つの要素①:ゴール(ゴール設定)

みなさんは、何か達成したいことはありますか?

「ダイエットで、来月までに-3kg達成したい!」
「筋トレで、ビッグ3の合計を400kgsにしたい!」
「英語で、TOEIC800点を超えたい!」

こんな感じで、いろいろあるかなと思います。

認知科学コーチングでは、ゴールを設定する際に、重要な3つの条件があります。

1.「現状の外」であること

認知科学コーチングでは、ゴールは、現状の内側には置きません。
ゴールは、現状の外側に設定します。

では、まず、「現状」とは、どういったものをさすでしょうか?

a.今、自分が置かれている現在
b.今のまま成長して行けば、手に入る未来

答えは、a.とb.、どちらもです。

「え?b.も現状なの?」

そうなのです。

認知科学コーチングでは、「現状の成長曲線のままいけば手に入る未来」も、現状と定義しています。
これを、「理想の現状」と表現します。

たとえば、あなたがIT関連の企業に勤務していて、「10年後には、今の会社で部長になっていたい!」という目標も、認知科学コーチングでいえば「理想の現状」となり得ます。

自身が簡単に想像できてしまう未来は、「理想の現状」である可能性が高いのです。

だからこそ、現状の外のゴールを設定するには、コーチによる介入が必要になります。

先ほどの例でいうのであれば、「3年後に、別の企業のCTO(Chief Technology Officerとなる」が、設定するゴールにはふさわしいかもしれません。

「いやいやいや、私には、別会社のCTOなんて、とても…」

なれるのです。
いや、"もうなっている"のです。

コーチングによって、実現します。

2.根源的欲求(Want to)ベースであること

Want toとは、心の底からの本音の欲求のことです。

先ほどの、①現状の外のゴール、は、やみくもに立てても、うまく行きません。
臨場感がわかず、ただの妄想で終わってしまいます。
何より、自分がやりたいことでないと、意欲すらわきませんよね?

そこで、現状の外のゴールは、Want toをベースに設定する必要があります。

詳しくは、後の「②Want to」のセクションで解説します。

3.バランスホイールの各エリアで設定すること

ゴールは、どういった領域で設定すればいいでしょうか?

「なんといっても、仕事でしょ!」
「いや、社会貢献こそ大切では?」
「私は、趣味をきわめたいなぁ」

ゴールは、バランスホイールの8つの各エリアで設定します。

「趣味」「仕事」「社会貢献」「人間関係」「家族」「知性」「健康・美容」「ファイナンス」
それぞれのエリアで設定するのです。

バランスホイール

なぜ、バランスホイールの各エリアで、ゴールを設定するのか?

認知科学コーチングは、オールライフを充実させるためのものです。
「仕事は絶好調だけど、家族がほったらかし」「趣味に没頭しまくって体がボロボロ」は、認知科学コーチングが目指すものではないのです。

もう一つ、バランスホイールの各エリアでゴールを設定する理由があります。
それは、ゴールに対する臨場感(リアリティ)を高めるためです。
例えば、「自分のやりたいことで趣味のゴールを設定した。待てよ、これはプロ化することで人の役に立つから仕事のゴールにも発展するな!そのためには、こういう人間関係を構築しているだろうし、こういったレベルに健康・美容を高める必要がある。お金(ファイナンス)はこのくらいは必要になるかな」といった具合に、各エリアがつながってきます。
こうなると、「人生丸ごと、バランスホイールごと、ゴールに向かっている感覚」がうまれます。
これによって、ゴールに対する臨場感がより高まり、ゴール達成が加速します。

趣味:
「自分が好きでやっていることで、社会の役に立つことを目的としてないこと。お金を払ってでもやりたいこと。」
これは、みなさんもお持ちだと思います。
シンペイの場合
私の趣味の一つに、クロスフィットがあります。
今年の7月から始めて、まだ半年弱なのですが、「来年のJapan Championship(全国大会)でTop100に入る!」というゴールを設定しております。
これは、私が所属しているクロスフィットチームの先輩メンバー(年齢は20代)の、今年の成績です。
経験の浅い、アラフォーのシンペイが、どうやって達成するの??
そんなことを考える前に、ゴールを先に設定するのです。
認知科学コーチングでは、「ゴールが先、やりかたはあとで」が鉄則です。

仕事:
「自分の機能を提供することで、社会の役に立つことを目的としているもの。お金を払ってでもやりたいこと。」
あれ、仕事って、お金を稼ぐことじゃないの?
違います。お金を稼ぐことは、「ファイナンス」の領域になります。
もしあなたが、今の会社で、「社会の役に立つために自分の機能を提供して」いない、「お金を払ってでもやりたいこと」をしていない、のであれば、それは仕事ではないかもしれません。
そう考えると、仕事のゴール、少し興味深いモノになってきませんか?
シンペイの場合
私の仕事のゴールの一つは、「プロコーチとして、世の中に何か貢献したいと思っている人のチャレンジを引き出す」ことです。お金を払ってでもやりたいですし、自分自身の機能(自分のエネルギーを使って、人の意欲を上げる)で社会の役に立てると信じています。

社会貢献:
「自分の機能提供による社会貢献のうち、自分の属するコミュニティ外に貢献するもの。お金を払ってでもやりたいこと。」
少しイメージが湧きにくいかもしれません。
別の言いかたをしますと、「慈悲の心でもって、自分にリターンがまったくないと確信できることに、自分のお金を使って貢献する事」となります。
例えば、SDGsに関する活動は、自分の属するコミュニティ(会社や地域)の外への貢献であるので、該当すると言えます。
シンペイの場合
私の人生の究極のゴールは、「人々が、進化と貢献によって、心身ともに充実しつづける社会」の実現です。これは、社会貢献のエリアになると思います。漠然としているので、もう少しチャンクダウンして、具体的なゴールを設定していきます。

人間関係:
「趣味・仕事・社会貢献などのゴールを実現している世界での人間関係」
例えば、自分の仕事のゴールが、「日本人の英語レベルを爆上げするためのオンライン英会話サービスを立ち上げる」だった場合、そのゴール世界を達成している世界ではどんな方との人脈を築いているでしょうか?
有名な英語系YouTuberの方かもしれませんし、翻訳家の第一人者の方かもしれません。
その人は、現状では憧れの人かもしれませんが、「憧れの人が、自分を同等と認めてくれるようになるには、自分はどうなっていればよいか?」というマインドによって、その人間関係は実現します。
シンペイの場合
プロコーチの方との人脈を築いていることになります。
まず、コーチングスクールの卒業生のプロコーチの方との人脈はどんどん広げています。ただしこれは、すでに現状の内側になっています。
また、私の尊敬する人に、アンソニー・ロビンズとピーター・セージがいます。彼らが自分を同等と認められることが、人間関係のゴールの一つになります。ピーター・セージとは、YouTubeを通してではありますが、直接コミュニケーションをとり始めました。

家族:
「家族(両親や、子供、パートナー)にとって、どんな自分でありたいか」
大切なのは、どんな自分でありたいか、です。家族にどうなって欲しい、ではありません。
また、この領域は、趣味や仕事に偏ってしまいがちな人生のバランスを保つ役割もあります。
さきほど申し上げた通り「仕事は絶好調だけど、家族がほったらかし」を、認知科学コーチングはよしとはしないのです。
シンペイの場合
9月から、妻に対して、自分の思いをEmailで発信し始めました。
自身の生い立ちや、妻と出会ってからの自分の変化、今の心境、そしてこれから何をしていきたいか。認知科学プロコーチとなること、人生の究極のゴールについても、本気の思いを伝えています。
自分のさまざまなゴールへの挑戦を、家族がリスペクトし全力で応援してくれる。そんな自分でありたいです。
そして、私も、家族それぞれのゴールへの挑戦を、全力でサポートします。

知性:
「自然科学/社会科学/人文科学などの、アカデミックな学問の学び。生涯学習」
学生時代を終えて社会人となると、どうしても、会社などの自身の属する業界に、知識が偏りがちです。
仕事には直接関係しないアカデミックな学問を学ぶことで、知識をつけるのみならず、抽象化能力や体系化の能力を上げることができます。
これらの知識や能力が、ゴール達成にも寄与するのです。
シンペイの場合
私は、認知科学、心理学、進化生物学、運動生理学、栄養学、に興味があり、日々インプットをしております。本だけではなく、リカレント講座も受講しています。また、趣味の領域と関連しますが、3月には、NSCA-CPT(パーソナルトレーナーの認定資格)を取得予定です。

健康・美容:
「他のエリアのゴールを達成するために必要な運動・休息・栄養・美容などの健康状態」
この領域も、家族の領域のように、偏ってしまいがちな人生のバランスを保つ役割をあります。
別の言いかたをすれば、「夢をかなえるカラダをつくる」ということです。
シンペイの場合
健康面においては、これまで”剛”のスポーツ・フィットネスに偏っていたことから、”柔”を求めて、ヨガ教室に通い始めました。美容面においては、タンニング、ティースホワイトニングを始めました。これからヒゲ脱毛も始める予定です。プロコーチとなる以上、見た目の健康も大切です。

ファイナンス:
「他の7つのエリアのゴールを達成するために必要な、収入と支出の差」
この領域は、最後に設定します。
ファイナンスは、お金を稼ぐこと、だけを指すわけではありません。
収入と支出の差、つまり、自由に使うことが出来る資本がどれだけあるか、ということです。
シンペイの場合
現時点は、現在の他の7つのエリアのゴールを達成するための収支バランスは健康です。
一方で、現在のゴールを達成し、さらに先のゴールを設定するにあたっては、収入を上げて、支出の無駄を減らす必要があります。
仕事のゴールがバチッと決まって、達成に向けてアクションを起こ続けてしていると、結果としてファイナンスのスタンダードが上がってくることもあります。
仕事とファイナンスは別のエリアであることを理解し、自分のwant toや才能を生かせる仕事でのゴール達成すること。それが結果として、社会への貢献度を高め、リターンが増え、ファイナンスも充実する、ということなのです。

3つの要素②:根源的欲求(Want to)


Want toとは、心の底からの本音の欲求のことです。

「夢中になれてしまうこと」「何回も繰り返してやってしまうこと」「やっていること自体が楽しいこと(結果を求めない)」「やめろと言われても、やってしまうこと」
こういったことに、現れてきます。
特に、幼少期から今も続けて繰り返し現れている行動は、Want toがくっついている可能性が高いです。

このWant to をベースにして、ゴールを設定します。

なぜWant toベースである必要があるのでしょうか?

ゴールは、現状の外に設定します。
自分では想像していなかった高い抽象度のゴールのため、設定した時の気持ちは、「ワクワク」のみならず、「ゾクゾク」「怖い」というものが必ずあります。

この時、ゴールが、Want to(心の底からの本音の欲求)をベースにしていないと、どうでしょうか?
やってみようという意欲がわきませんよね。怖いという感情のみが勝ち、前に進むことをためらってしまうのです。
また、自分ごとには思えてこないので、ゴールに臨場感(リアリティ)がわかず、ただの妄想で終わってしまいます。

「心の底からやりたいことで、本気で生きる」を実現するためには、現状の外のゴールは、Want toベースであることが大前提なのです。

尚、Want to の対照的な概念として、Have toがあります。
Have to とは、文字通り「しなければならないこと」のことです。

実は、わたしたちの生活は、このHave toにまみれています。

Have toについて、シンペイの例で言います。

私は、田舎の長男として生を受けました。
地域がらや時代背景もあり、「家」や「家柄」というものが重視されます。
私も、「~家の長男」という”肩書”から、色々な期待を背負ってきました。

「良い学校に進学しなくてはいけない(落ちることは想定されない)」
「結婚においては、女性は、男性の家に嫁ぐものである」

まさにこれらは、Have toでした。
自分がやりたい本音の欲求からかけはなれた、周囲の期待や雰囲気によるものです。

みなさんも、職場や、人間関係など、Have toの枠組みの中でもがいてはいませんでしょうか?
このHave toをベースに、現状の外のゴールに向かうのは、、考えただけでもしんどいですよね。

ちなみに、私は「Have toは悪」ということを言いたいわけではありません。
先ほどの私の例でも、両親は、一生懸命に私を育ててくれ、私の事を思って言ってくれたことだと思います。愛を感じ、とても感謝しています。

一方で、その思いとは裏腹に、それが相手にとってのHave toとなり、現状の外のゴール達成の足かせとなり得るのです。

何がWant toで、何がHave toか、しっかりと自覚することが大切なのです。

シンペイの場合(Want to)

「自分のエネルギー(コンテンツ x パッション)を人に伝えて、ポジティブな変化を与えたい」
これが、私のWant toの一つであるです。
(ちなみに、Want toは、一つだけではありません)

このWant toも、コーチングによって見つけることが出来ました。
「世の中を正しい方向に導きたい」→「いいものを人に勧めたい」→「レールを敷きたい」→「物事の普遍性を見出したい」→「パワーを得て進化したい」→・・・と、紆余曲折を経て、たどりつきました。

自分の、「コレだ!」と思うWant toが見つかった時には、感動すら覚えます。私は、少し涙が出ました。
「ああ、俺は、こいつとだったら、一生一緒にいられる。なんだってできる!」そんな感覚でした。

そして、Want toが見つかると、
「自分が、世の中に対してどういう価値を提供できるか(してきたか)」も、見えてきます。

私の場合は、「自分のエネルギーを使って、周りのメンバーの意欲を上げ、成長を促して」きました。
高校時代の部活(プレーよりもシャウトと応援)、大学時代のサークル(熱い男シンペーセンパイ)、前職での物流事業立ち上げ後のチームビルディング(売り上げよりKPIよりメンバーの成長と意欲向上)、現職でも随所に見られます。

私は、自分のアイデンティティを、下記のように表現しています。
Energetic Motivator(自分のあふれるエネルギーを伝えて、人の意欲をぶち上げる人)

このEnergetic Motivatorが、私の、趣味の、仕事の、そして社会貢献のゴールのベースになっています。

3つの要素③:エフィカシー

エフィカシーは「未来の自己能力の自己評価」「自己効力感」と定義されます。

もう少し身近な言葉を使えば、
「設定した現状の外のゴールに対して、『なんかよくわからんけど、やれる気しかしねえ!』という自信に満ちた感覚の程度」
と言えます。

エフィカシーは、現状の外にゴールを設定し、そのゴール世界の臨場感(リアリティ)が高まっている状態で発現します。

先ほど、Want toのセクションで、現状の外のゴールを設定すると「ゾクゾク」「怖い」という感覚がわく、といいました。
そして、それを乗り越えるために、Want toベースで設定する、といいました。

もう一つ、現状の外のゴールの達成に不可欠なのが、このエフィカシー(やれる気しかしねえ!という謎の自信)なのです。

エフィカシーが高い状態は、クライアントだけではなかなか生み出せません。
ここでも、コーチの存在が重要です。
コーチは常に、クライアントが未来のゴール達成する姿をイメージしています。そして、セッション内外で、クライアントのエフィカシーを高めるサポートを行うのです。

エフィカシーには、他にもこのような特徴があります。

  • ゴールが、現状の外で、かけはなれているほど、エフィカシーは高まる。

  • エフィカシーが高いと、脳の前頭野が優位な状態が続く。無我夢中の状態になれ、些末なことが気にならなくなる。

  • エフィカシーの高い人と関わり、エフィカシーの高い空間に身を置くことで、自分のエフィカシーを高く保つことができる。

私の中で、「エフィカシーが高い人」と言えば、サッカー元日本代表の、本田圭佑さんです。

象徴的なエピソードは、イタリアプロサッカーリーグのセリエAの超名門クラブであるACミランに移籍したときのことです。
まず、ACミランに、日本人選手が所属できるだけでも、十分に価値のあることです。
そんな中、圭佑さんは、契約条件として、なんとエースナンバーである背番号10を要求したのです。
おそらく、彼にとっては、ACミランに所属する事も、現状の外であったかと思います。
しかし、あえてより高いゴールを設定し、そこに臨場感を持つことで、エフィカシーが高い状態となっていたのです。(エフィカシーが高い状態に”みずから持って行った”という方が正しいかもしれません)

本田圭佑さんは、セルフコーチングが出来る人なのかもしれませんね!
(無敵、マリオのスター状態が続く人)

補足①:RAS(Reticular Activating System)

現状の外のゴール世界に臨場感がわき、エフィカシーが高い状態となると、自然と「どうやってそれを達成すればよいのか」が見えてきます

「え?魔法?」

違います。脳の性質なのです。

先ほど、認知科学コーチングのメカニズムの説明の際にでてきた、「ビリーフシステム」が関連します。

「メカニズム」のセクションで、「外部情報を、参照データとして脳の中に格納する」と言いました。
この時、脳は、重要性の高いモノを無意識に選んでいるのです。
この機能を、RAS(Reticular Activating System 網様体賦活系)といいます。

RASを、もう少し身近な表現をしますと、「その人がもつ関心事に対して、脳は情報を集めるのに鋭敏になる」という脳の仕組みといえます。

  • 気に入った車があると、街中にその車を発見してしまう

  • 好きな人がいる人は、どんなに離れた場所でも、その人の声がわかる

  • ダイエットに関心がある人は、テレビや雑誌、またはネット上に流れる「やせる◯◯」といったキーワードに敏感になる

こういったものが、RASの作用が反映されたものです。
RASが作用していることを、「RASが発火する」と表現したりもします。

ゴール達成の方法は、この「RASの発火」を利用します。
現状の外のゴール世界に臨場感がわき、エフィカシーが高い状態になることで、ゴール世界へのRASが発火します。
このとき、ゴールまでの道筋における重要性の高い情報を、無意識に脳が選ぶのです。自然と「どうやってそれを達成すればよいのか」が見えてきます。

先ほどの本田圭佑さんの例で言います。(シンペイの勝手な想像です!)

ミランの10番を要求して(要求しようと決断して)からは、RASが発火し、「理想の10番の選手像と比較した今の自分の伸びしろの分野」「それを達成するための練習方法」「栄養摂取」「知性」「ライフスタイル」などに関連する情報が、優先的に脳に入ってきたのではないでしょうか?

いや、圭佑さんであれば、かなり前からミランの背番号10番を”つけて”いて、RASが発火して、情報検知・収集、アクションをしてきたと考えたほうがよいかもしれませんね。
(小学校6年生の時の夢が「セリエAのレギュラーで10番」ですからね!)

「ゴールが先、やりかたはあとで」が鉄則であるのは、こういったメカニズムからです。

補足②:コンフォートゾーンとホメオスタシス

ここまで、読んでいただいた方は、こんな疑問がわくのではないでしょうか?

「なぜ、現状の外のゴールに臨場感がわくと、エフィカシーが高まり、達成に向かうの?」

これも、人間の脳の持つ性質に起因しています。

みなさんは、コンフォートゾーン、という言葉を聞いたことがありますか?コンフォートゾーンは、ひとことで言えば、「自分が心地よいと感じる環境」のことです。

そして、この「コンフォートゾーン(心地よい環境)に身を置きたい!」という生理機能のことを、ホメオスタシス(恒常性)と言います。
もう少し専門的な言い方をしますと、ホメオスタシスとは、「生体の 内部や外部の環境因子の変化に関わ らず生理機能が一定に保たれる性質」となります。

ホメオスタシスがはたらく代表的な例に、体温調節があります。

私たちは、汗だくになるような猛暑でも、凍えるような寒さでも身体の内部の温度は一定(36℃前後)に保たれています。
これは、言いかえれば、「36℃というコンフォートゾーンにとどまろうとするホメオスタシスがはたらいている」ということです。

ちなみに、風邪などをひいて、体温が一時的に上昇することがありますが、その後は、また平熱に戻ってきます。
これも、ホメオスタシスのはたらきの結果です。

認知科学コーチングでも、このホメオスタシスのはたらきを活用します。

ゴール設定をしていない時、コンフォートゾーンは、現状の範囲にあります。
これを、現状の外のゴール世界に臨場感をわかせることで、「自分のコンフォートゾーンはゴール世界にある!」と脳に刷り込むのです。

「え?そんなことできるの?」

できるのです。

「メカニズム」のセクションで、「脳は、これまでに実際に経験したわけではないが、想像により、疑似体験したことを、参照データに蓄積する」とお話しました。
まさに、脳のこの性質により、実現するのです。

みなさん。こういった経験はありませんか?

自分が欲しい商品があって、オンラインショッピングで思わずポチッてしまった。
この時、自分はまだその商品を持っていないという現状があります。
にもかかわらず、商品をゲットした時や後の自分を想像して(疑似体験して)、興奮し、思わず注文のボタンを押してしまった。

この時、まさに、「商品ゲットした未来の世界に臨場感がわき、そこがコンフォートゾーンになった。ホメオスタシスのはたらきで、そのコンフォートゾーンに身を置きたいという興奮と衝動にかられた(エフィカシーが高まりポチッた)」というプロセスが発現したのです。

ちなみに、コンフォートゾーンは、複数同時にとることはできません。
脳は、より臨場感が高い環境を、コンフォートゾーンとして認識します。

先ほどの例で言えば、「商品をゲットしていない現状」と「商品をゲットした未来」があり、後者に、より臨場感が高まったため、コンフォートゾーンが移ったのです。

認知科学コーチングは、
「クライアントの現状の範囲にあったコンフォートゾーンを、ゴール世界に移すことで、ホメオスタシスのはたらきによる『ゴール世界に身を置きたい!』という興奮と衝動から、ゴール達成に向かう
という切り口でも説明できます。

コンフォートゾーンの移動

ちなみに、そのゴールが、want toベースでなければいけない理由も、分かるかと思います。
欲しい商品じゃなければ、そもそもポチろうと思いませんものね。
そして、欲しくない商品をゲットしている未来の自分の臨場感もわきませんし、興奮と衝動にかられることもありません。

場面を変えれば、職場で自分にあたえられたタスクが"欲しくない商品"だった場合の、あの感覚ですね。
これがHave toの感覚、とも言えます。

シンペイの例(コンフォートゾーンの移動)

私は、認知科学コーチングの存在を知り、「認知科学コーチングを学びたい!プロコーチになりたい!」と思った(ゴール設定された)瞬間が、まさに、現状からゴール世界に、コンフォートゾーンが移動した瞬間でした。

人生の究極のゴールである「世界充実」が、世界中にコーチングが広まることによって実現にじわ~っと近づいているイメージが浮かび、興奮と衝動をおさえきれなくなりました。

気づいたら、Mindset Coaching Schoolを"ポチッて"いました。

まとめ

認知科学コーチングの要点をまとめます。

  • 目的は、クライアントの人生を豊かにすること

  • 認知科学をベースにしているので、再現性・普遍性が高い

  • メカニズムは、「クライアントの、ビリーフシステムが書き換わり、行動が大きく変革する。

  • ひとことでいい表すならば、「クライアントの、根源的欲求(Want to)をベースに、現状の外のゴールを設定し、高いエフィカシーによってそのゴール達成に向かう。コーチはそのプロセスをサポートする」

    • Want toとは、心の底からの本音の欲求のこと

    • ゴールは、現状の外に設定、Want toがベース、バランスホイールの各エリア(オールライフ)で設定、が3大条件

    • エフィカシーとは、未来の自己能力の自己評価で、エフィカシーが高いと「なんかよくわからんけど、やれる気しかしねえ!」という感覚になる

    • RASが発火することで、ゴールまでの道筋が見えてくる。(「ゴールが先、やり方はあとで」の鉄則。)

    • ゴール世界の臨場感が高まると、コンフォートゾーンが移動し、ホメオスタシスによって「ゴール世界に身を置きたい!」という興奮と衝動にかられる。

以上が、認知科学コーチングの概要です。

「いや、概要と言いながら、めっちゃいろいろあるやん!」

そうなのです。
認知科学コーチングは、理論としてはシンプルでありながら、めちゃめちゃ奥が深いのです。
お伝えできていない内容もたくさんあります。

まだ、Vol.2です。

次回も、一緒に、認知科学コーチングの世界を味わいましょう!

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