【TBK GROUP】誰が為を想う。
誰かのことを想って、仕事をする。
とても大切なことであり、たまに忘れがちなことでもあります。
僕は今回のお仕事図鑑を通して、改めて気づきました。
「誰かへの想い」が事業や自分のできることを増やすきっかけになるのだと。
今回は、鹿島朝日高等学校・鹿島学園高等学校で、TBK GROUP 代表取締役社長 五十嵐さんに登壇いただき、キャリア教育プログラム 「CHOOSE YOUR LIFEお仕事図鑑」を実施しました!
CHOOSE YOUR LIFEお仕事図鑑とは、『知らないから、選べないをなくす』のコンセプトのもと、日本の産業や社会を支えてきた人たちの志や想いを若者たちに継承したいという想いでつくられた高校向けキャリア教育プログラムです。
様々な業界を代表する企業に登壇いただき、そこで働く人の仕事や生き方を伝え、若者たちがロールモデルと出会うきっかけを届けます。
この記事では高校生に働く情熱を伝えた本プログラムの一部をお届けいたします。担当はハッシャダイソーシャルの「森本」です。
弁護士と経営者
勝山:今日のゲストはTBK GROUPの代表取締役の五十嵐さんです。五十嵐さんはTBK GROUPで活動しながら、弁護士としても活動されています。
弁護士をしながら会社の経営もされているという方は僕自身初めてお会いしました。今日は五十嵐さんが「どういうキャリアを歩んできたのか」を高校生の皆さんに伝えていけたらと思います。では、五十嵐さん自己紹介よろしくお願いします!
五十嵐さん:皆さんはじめまして。よろしくお願いします!五十嵐丈博と申しまして、今は東京の自宅 から参加をしています。
私はだいたい、月の半分ぐらい東京で生活をしていて、法律事務所と特許事務所というものを経営しています。弁護士3人と弁理士3人あと事務員という 体制で仕事をしています。
もう半分は東北で暮らしていまして、秋田県・青森県・岩手県・宮城県の4県に会社があり、そこでも経営をしております。
できることが増えていく。
勝山:ありがとうございます。簡単に自己紹介いただいたのですが、どんなキャリアを歩めば、弁護士と経営者というキャリアになるのかを知りたくて、五十嵐さんの人生も深ぼっていけたらと思います。
まず、東北を中心に活動をされているTBK GROUPさんはどのようなことをされているのですか?
五十嵐さん:TBK GROUPというのは 秋田県の大館市にある東北ビル管材という会社をメインにグループ会社7社で頑張っている会社です。
具体的な業務としては、元々モップで「床を拭く作業」から始まりました。
お掃除から始まって、 床を拭いてると、例えばビルのオーナーさんが「あんた仕事頑張ってるね。じゃあこういうのもできる?」と言われ、電気設備とか空調設備などのメンテナンスを任されるようになりました。
そこから、ビル管理という業務に入っていきました。
そして、ビルを管理をしていると「ビルが老朽化する」という新たな問題が発生し、ビルが老朽化すると『解体作業』が必要になるのでできることを増やし、解体をするとゴミが出るので、ゴミを収集・運搬・処理して最終処分するという風に、どんどんできることが増えていきました。
「ものを作る」産業を『動脈産業』と言うのですが、動脈産業によって生み出されたものを”維持管理”して最終的に廃棄するところまでを業務として行っております。こういう仕事を『静脈産業』といいます。
最初のキャリア選択
勝山:では、五十嵐さんがどういうキャリア を歩まれてきたのかを聞いていきたいと思います。元々は「弁護士」になるっていうのを志して、キャリアを歩まれてきていたという感じなんですか?
五十嵐さん:そんなことなくて、結構プラプラしていました。高校まで地元にいまして、地元の高校を卒業した後で一番近い国立大学に進学しました。
当時「パソコン」が好きだったのでパソコンの学部に入って、プログラミングの勉強をしていました。
卒業後は、システムエンジニアを1年やったのですが、お客様と直接触れ合う仕事ではなかったので、自分に合わなくて、1年で辞めてしまいました。
辞めた後で、3年ぐらいプラプラして、その後で法科大学院という「弁護士」になるための大学院に入って3年間勉強しました。
その後、司法試験に受かり、弁護士資格を取った後で、知的財産系のコンサルティング会社に約2年勤めて、その会社を辞めた後で法律事務所を開業したという流れになります。
勝山:なるほど。。すっごく聞きたいことがいっぱいあるんですが…笑。
五十嵐さんのようなキャリアで弁護士になられる方って他にいらっしゃるんですか?
五十嵐さん:聞いたことはないですね笑。私は中央大学で講師もしているのですが、 数日前に学生さんたちを連れて、 懇親会をした時は、法学部法律学科を出て大学院に来ましたみたいな方が多かったです。
「大丈夫」と言える人に。
勝山:なるほど。なぜ弁護士の道を進もうと思ったのですか。
五十嵐さん:私の父は経営者なのですが、父親の友人の会社経営者が借金で首をくくってしまったことがあって。
周りに「大丈夫。もう1回頑張れよ」とかを言ってくれる人がいればなんとかなったんじゃないのかと思ったんですよ。
「大丈夫だ。もう1回やろうよ」っていうことを「法律的な部分」も根拠に入れながら、話ができる人が近くにいなかったのなら、私がそういうサポートができるようになりたいという想いがあって、弁護士を目指そうって思いました。
勝山:五十嵐さんの仕事は主に何をやっているんですか?
五十嵐さん:人事ですね。人を採用することや面接を行っています。あとは、「会社の顔」としていろんな人と会ったり、会社の大枠を「決める」ことなどをしています。
会社がどういう方向に向かっていくと、みんながハッピーになれるのかを考えたり、働いている皆さんの給料を、いまある資源の中で、どう配分したらみんながハッピーになるのかなどを決めています。
勝山:ありがとうございます。TBK GROUPの具体的なお話をしていけたらと思うのですが、今、従業員の規模はどのくらいなんですか。
五十嵐さん:グループ全体でパートやアルバイトの方々を入れるとだいたい1000人弱ぐらいになると思います。会社の数は7社あります。
男女比でいうと女性の方が多く、中卒の人もいますが、給料は低くないです。
例えば、鉄骨の建物の基礎を作る仕事をしているんですが、20代で銀行員並みの給料をもらっている人もいます。
いろいろな経験のススメ
勝山:なるほど!五十嵐さんは採用をするときもあるとおっしゃっていたのですが、採用する時に、重視していることがあれば教えてください。
五十嵐さん:なかなか難しい質問ですね笑。
「目」を見て話せるかどうかですかね。視覚から人が受ける影響って結構大きいんですよね。身だしなみとか話し方は気をつければ何とかなるところなので、最低限身につけると第一印象がいいですよね。
そして、私個人的な思考でいうと、いろんな経験をしてる方が好きですね。
例えば、学生の頃にクラスメイトとは馴染めないんだけど、なんかApex(オンラインゲーム)をものすごいやってて、すごい強いとか。
そういう、尖っている、個性がみえる、でこぼこした方に僕は興味関心を持ちます。
勝山:それはなんでなんですか?
五十嵐さん:そうですね〜。いろいろな経験を積んでる人の方が、伸び代があるんじゃないかと勝手に思っています。
苦しい経験や辛い経験をしてる人に伝えたいんですけど、苦しい経験をしているからこそ、同じような経験をし てる人に寄り添ったり、もっと優しくなれるということがあると思うんです。
だから、とにかく他の人が経験してないことや色々な経験をしている人の方が個人的にハマるんですよね。
その人の個性をどう価値としていくかは、こっちの仕事だと思っています。
経営者として、どう配属するかやどんな環境で働いてもらうかはとても大切にしています。
一人一人のやりたいことを
勝山:ありがとうございます。今回のお仕事図鑑は一つの業界を深ぼっていくというよりかはどっちかと言うと「哲学的」な話にもなりそうですね。
これからTBK GROUPはどうなっていきたいという未来の構想などはあったりしますか?
五十嵐さん:私の父親の話をしますが、一代で会社を大きくしたトップダウンの人だったんです。会社では父に「意見できない」雰囲気だった。
それで会社が伸びてきたという実績はあるし、経営者としての父を尊敬している一方、私はそういう会社の雰囲気がすごく嫌だったんですよ。
当時はそれでよかった、そうせざるを得なかったのかもしれないけれど、今は、トップダウンじゃなくて、会社のお金や資源を活かしながらどうやったら仲間がハッピーになれるかをみんなで考えられる仕組みをつくろうとしています。
例えば1000人の人がいるって事は、1000人の人で一緒にできる何かがある わけですよね。
そういう人の集まりやお金の集まりを使って、その中で働いている「一人一人のやりたいこと」を叶えていく。そういうスタイルの会社に していきたいなと思います。
「やりたいことがわからない」
勝山:先程の話に”個性を最大化していく”であったりとか、”個性を活かしていく”みたいな視点があったのかなと思うのですが、「やりたいことが見つからない」であったりとかこう「自分の個性って何なのかわかんない」みたいな質問いただくこともあって、五十嵐さんから何かフィードバックをもらってもいいでしょうか。
五十嵐さん:まず、やりたいことがないことを恥じる必要はないと思います。やりたいことは一生見つからないかもしれないし、死ぬときに振り返って「自分はやりたいことをやってきた」と思うかもしれない。
ただ、もしあなたが何かやりたいことを探しているのであれば、一緒に探して形にしていくお手伝いをしたいと思っています。
私の話をすると、私自身は弁護士や弁理士になりたいとか、いい場所に住みたいとかものすごくお金を儲けたいとか、すごく強い意欲を持って生きているわけじゃないです。
今やってることに対して「楽しい」という感情はあるんですけど、高校生のときも、自分はこれやりたいあれやりたいって全くなかったんですよ。
父親に、お前は医者か弁護士になれって言わ れて、いやだったから反発して、とにかく一番近い大学の理工学部に入った。たまたまなんとなく興味があったからそこに入った。
やりたいってよりは、消極的にそこを選択肢に入れとくかぐらいの感じで大学も選んでいるので、あんまり僕自身もやりたいことって見つけられていなかったんですよね。
ただ、もし自分がやりたいことを見つけた時に、そこにスムーズに行けるように練習は必要だと思うんですよね。
その一つは、勉強だと思います。
他には「いろんな人と会う」こと。
一人でモヤモヤするよりも、街に出て100人、200人と話してみると、話してる中でこれやりたいかもって思うかもしれないじゃないですか。
刺激を受ける機会を自分からつくりに行くっていうのが大切なんじゃないかな。
勝山:ありがとうございます。五十嵐さんにもう一個聞かせていただけたらと思ってたのは、今自分が高校生だったら、高校生のうちにやってみたいと思うことはありますか?
五十嵐さん:部活にかまけて国語や数学社会みたいなところの勉強をあんまり部活にかまけてやっていなかったんですよね笑。
特に社会は歴史も地理もからっきしで、社会に出てから「もっとやっとけばよかったな」と後悔しています。
そういう学校の授業的な勉強を離れて、社会に出た時に大事なのって「資格」だと私は思っていて。
例えば、電気主任技術者という資格を取ると、だいたいもうそれ取ってるだけで年収700万800万の世界になるんですね。
自分がその仕事につくかつかないかは別にして、何かあった時に資格があるとなんとかなるみたいな「セーフティーゾーン」を作れるタイミングで作っておくというのが大事だと思っています。
若い時の方がやっぱり頭に入るので、その時に取れる資格をいろいろ取っておくと、将来的にすごく楽になると今なら思います。
チャンスは1回だけではない。
勝山:ありがとうございます。高校生からどんどん質問が来ています。「獣医師を目指していますが、学力的にも金銭的にも厳しいです。夢と現実の差に悩んでいます」という質問です。
五十嵐さん:金銭的な部分で言うと「奨学金」など色々あると思います。でも、本当に目指されているのであれば、1回就職してそこでお金を貯めて、そこから目指すというのも一つだと思います。
学力については、頑張れとしか言えないですね。本当に目指してるんだったら何とか頑張れ。
で、1年でダメでも2年3年ってね1回でおしまいじゃないから挑戦してみたらいいんです。
司法試験だって、僕の同期で5回目で受かっている人もいるんです。僕の経験からすると司法試験ってめっちゃしんどいので、もう二度と受けたくないと 思った試験なんですけど、5年受けてる人がいるんですよね。
受けてるだけで尊敬します。受かる落ちる関係なく、その先にやりたいことがあるなって思うんだったら、2度3度挑戦してもいいんじゃないかなと 思います。
あまり大きな事は言えないですが、その想いがあればきっと大丈夫だと思います。何度でも挑戦してみてください。私は応援しています。
勝山:ありがとうございます!たくさん質問に答えていただきありがとうございました。五十嵐さんの考え方や言葉で勇気づけられた高校生は多くいると思います。改めて、参加いただきありがとうございました。
五十嵐さん:ありがとうございました!
編集後記〜誰が為を想う〜
お仕事図鑑では様々な業界で働く人を呼び、その人のキャリア選択や想いを深ぼって高校生に伝えています。
その中で、今回は、高校生自身が悩んでいることや不安に感じていることを多く質問していただきました。今回noteに記載させてもらったのは、その質問の中のほんの一部です。
五十嵐さんに質問を答えていただきながら、僕自身も学ぶことがたくさんあり、この記事を書きながら、改めて多くのことの気付かされました。
その中の一つに、TBK GROUPの事業が増えていった背景の話があります。
なにか新しい事業を起こすとなると、どう儲けるかを考え、新しい事業を作るのかと思っていましたが、TBK GROUPは「誰かが困っていたり、できると嬉しい」ことを少しずつ行ってきた企業なのだと思いました。
そういった「人への想い」こそが、人の心を動かす大切なきっかけになるのだと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
〜生徒の声から一部感想を抜粋〜
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