見出し画像

開発が速すぎてお客様を困らせてしまったので、速さで負けないCS Opsを立ち上げた

こんにちは、Ubie Discoveryの医療機関向け事業開発を担当しているhassyと申します。

成長著しいスタートアップでは、「顧客数が急に増えた」、「採用が追いつかない」。このようなこと、あるあるではないでしょうか?

ゼロから3ヶ月間でのCS Opsという、新しい仕組みと組織の立ち上げ。フェーズが進み、状況が目まぐるしく変わる中で、事業化のための仕組みを最速で作るチャレンジを発信していきたいと思います。

SaaSに慣れていない医療機関の現場には、Ubieの開発プロセスは早すぎた

社員がいうのもなんですが、Ubie Discoveryはプロダクトや事業の開発スピードが、かなり早い。本当に早い。

医療機関向けプロダクトでは週に3回以上のリリースが行われています。手前味噌ながら、3ヶ月経つと「もはや別のプロダクトでは?」という感覚に襲われます。強いプロダクトチームと一緒に働けているという意味だと、本当に幸せです。

画像1

ただし、その嬉しさゆえの悲鳴が。toBのプロダクトあるある。「プロダクトの変化スピードに、付いていくのが大変」、というお客様も出てきました。
特に医療機関の場合、UbieのようなSaaSプロダクトが少ないのが現状です。普段使っているシステムはオンプレミスで、リリースもxヶ月に1回あるかないか…というレベル。

週3回リリースという状況にはじめて触れるお客様も多いのです。また、医療従事者の方々は、非常勤やシフト勤務という勤務形態もあり、毎日AI問診ユビーを触っているとも限らない、という事情も。

プロダクトの進化と顧客の活用にギャップが生まれた

一方で、お客様の数は、2020年9月時点では約200だったのですが、2021年4月現在ではおおよそ350。半年の間に1.5倍に成長しました。新型コロナ禍で医療機関のみなさまが多忙の中でもしっかり増えています。

画像6

開発スピードが早い、さらにこれだけ短期間で顧客数が伸びる。これにより「プロダクトの進化スピードに対して、お客様がプロダクトを活用しきれない」状況は加速。

お客様が適切にプロダクトを活用してもらうためには、プロダクトが進化した背景、内容、それによる効果や価値を伝える丁寧なコミュニケーションが重要です。

当時は、カスタマーサクセス(CS)が個別、ユーザーサポート(US)が全体的なコミュニケーションという分担をしていました。

顧客数が増え、コミュニケーションの密度が低下しつつありました。CSの工数が足りず、個別のコミュニケーションを厚くするのが難しい。USの全体的なコミュニケーションでは、なかなかお客様に届かない

CS・USの生産性をあげる、という選択肢

この問題に対して、アプローチは複数考えられます。

1.CS・USの採用
これは人数を増やせば一定解決する問題です。しかし、Ubie DiscoveryもUbie Customer Scienceも採用要件を妥協しません。ニーズの伸びに対して採用数は充足する難易度は高く、短期的な対応ができるとは限りません。

2.スピードのコントロール
プロダクト開発やPoCによる新たな価値検証のスピードをコントロールをする。もしくは、新規受注の流量コントロールをするという方法も考えられます。しかしスタートアップにとって重要なモメンタムをそいでしまう、本質的でないアプローチです。

3.CS・USの生産性を上げる
CS・USの人を短期的に増やせないのであれば、人員数あたりの生産性をあげる。CS・USがそれぞれ兼務状態でやっていて効率が下がっていた業務や、重複していた業務を集約し、いわゆるムリ・ムダ・ムラを取り除く機能を新たに作る。

こうして、このタイミングで、いわゆるCS Opsの立ち上げを決めました。

CS Opsを立ち上げるまでにやった「4つ」のこと

CS Opsとは、いわゆるCustomer Success Operationsです。一般的には「カスタマーサクセスの武器づくり」をミッションとしています。個人的には、カスタマーサクセスの資本装備率を上げることを通じた生産性向上を担う役割、という考え方がしっくり来ます。

自社の事情にあったCS Opsを立ち上げるために、「とにかく速さと軽さを追求した4つのステップ」で進めました。

1.CS Opsがやることをざっくり決める
2.アジャイルに開発する
3.Job Descriptionを作成して採用する
4.仕組みをつくる

1.CS Opsがやることをざっくり決める


CS Opsというと、「業務フローの整備」・「コンテンツの制作とデリバリー」・「CSのためのTech基盤の整備」が一般的な役割かと思います。

Ubieの事業フェーズを考えたときに、CSに寄った通常のCS Opsという役割よりも、プロダクト寄りの役割にしようと考えました。

というのも、Ubieは「同時多拠点突破」を標榜しており、これは複数の事業機会に対して圧倒的なスピードで、同タイミングで、広い意味の「開発」を進めていく組織です。これはすなわち、プロダクト開発を起点として大きな変化が生まれていく

その前提に立つと、現段階ではCSというスコープだけではなく、「Product Marketing Manager」や「Product Owner」と一緒に動いて、「Productを中心とした価値の最大化を加速させる存在」が理想と考え、名称も「Product Operations」にしました。

そうして今のプロダクトチームやCS・USの直面している課題の優先度にも照らし合わせ、足元の大まかな役割を以下のようにおきました。

画像6

世の中的な教科書を踏まえるのはもちろん必要です。ただし、その時の事業環境や組織に応じて線引を柔軟に引いていくことが重要と考えてこのようにしました。

2.アジャイルに開発する

ざっくりとした役割を決めたので、とにかく小さく早くアジャイルに開発しよう。お客様へ価値を適切に早く届けるために、蓄積していた仮説をもとにをクイックに試してみました。

Ubieではスクラム開発が浸透しており、ビジネス系の職種も、まずは小さく実験し、その結果から学習していくような進め方をよく取り入れています。

リリースノートの作成、PoC環境の構築、FAQ整備、データ環境の整備…様々なことにトライしてみましたが、それぞれの取り組みのROIはかなり良さそうということが分かりました。

更に、検証を進めていくと、この業務はUbie Discoveryチームのメンバーだけではかなり向いてない業務も多いということも判明。

自分もそうなのですが、ホスピタリティや気遣いが足りず、いわゆるユーザーの痒いところに手が届かない…。

Ubieの中には「Ops」という愛と人間性が優れたチームがあり、このケースでも「Ops」チームも立ち上げる必要あると気づき、急いで組織を作ることにしました。(Opsチームの紹介記事はこちら

画像3

Ubie DiscoveryではWillやCanが無い業務が発生したら、ポジションを作り採用をすることが良しとされています。今回はUbie DiscoveryチームだけではCanが足りないので、Ubie Discoveryチーム+Opsチームで組織を作ろうと思いました。

3.Job Descriptionを作成して採用する


Opsチームも含めた組織にするために、採用するぞ!ということで、Job Description作成に着手。

画像4

そしてJDを公開して必死に採用。ものすごく運が良いことに、同僚の奥様の友人を、リファラルで紹介してもらい、公開1週間程度で採用決定!!

同僚に話を聞くと、実はリファラルで紹介したかったものの、マッチするポジションがなく様子見していた。このポジションがオープンしたので即連絡したとのことでした。常に全社員が採用にコミットしているのですが、ここでも威力を発揮。リファラル最高!!!

4.「仕組み」をつくる

2021年の2月から組織の立ち上げはじめ、Product Operationsの一人目が3月1日に入社。

ゼロからの仕組みづくりを入社直後のメンバーと一緒にやりました。少しだけ無茶振りだったかもしれません。しかし、この2ヶ月でかなりの仕組みを整備できました。

・週に10本近くのリリースノートを配信可能なプロセスの構築
・後回しになっていたFAQをすべて整備
・プロダクト開発速度に負けないマテリアル整備プロセスの構築
・週に10本近くあるインタビュー&PoC管理の仕組みの整備

JIRAでチケット管理していますが、2ヶ月間で、すでにチケットは100を超えています。最高。

画像5

単発のタスクをこなすという発想でなく、繰り返し、継続的に改善できる仕組みづくりをしています。こうして、フローではなくアセットを積める環境が整備され、これが時間の経過とともに大きな価値を生んでくれることを期待しています。

結果:お客様とのコミュニケーションがきめ細やかに


こうした取り組みの結果、「プロダクトの変化スピードと、お客様の活用度合いのギャップ」を少しずつ解消できています。

高頻度のリリースや、ドラスティックな変更が入るPoCに対しても、お客様ごとの細かいコミュニケーションを、低コストで実現できつつあります。

これにより、例えば、リリース案内の段階で、お客様から貴重なフィードバックをいただいてリリース前に軌道修正をできたり、アセットを活用したコミュニケーションによりCS・USのコミュニケーションの速度と質が向上したり…。成果がすでに明らかになり、NPSのようなメトリクスにも好影響を与えつつあります。

こうして、「開発スピードに負けない、Product Operationsの立ち上げ」ができました。

まだまだ立ち上げ直後なので、発展の余地しかありません。CS Ops改め、Product Opsは、今後は、カスタマーマーケティング・プロダクトマーケティング的な要素にも一部チャレンジしたり、Tech基盤の整備をしたりしたいと考えています。事業フェーズが変わったら、ここからCS Opsのような組織も分化するかもしれません。

最後に

Ubieは「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げています。

ミッション実現のために、医療機関(病院/クリニック)向けのプロダクトだけでなく、生活者向けのプロダクトや製薬企業向けの事業等を複数同時に立ち上げ、ワンプラットフォームを構築する「多拠点同時突破」にチャレンジしています。

このように、Ubie Discoveryでは各メンバーが自律的に意思決定をしながら、スピード感をもって事業推進していく機会に、これからも溢れ続けています。

もし、課題探索やプロダクト立ち上げから、事業立ち上げ、事業推進。いかなるフェーズであっても、刺激的な経験ができることをお約束できます。一緒に、医療の未来を変えましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?