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母の見送りへの道 【気付きと感じた事⑥】(介護タクシー)第29回/全35回

母の旅立ちと私の見送りの記事は終了しました。ここからは母の旅立ちと私の見送りで道のりの中で、気付いた事や感じた事を紹介していきます。今回は介護タクシーについて話してみたいと思います。



【母と私の場合においての最大の問題点をあっさりとクリア】


母と私が介護タクシーを利用したのは2回。1回はH総合病院で頭部MRI検査を受けに行った時の往復、2回目はS病院に入院する時にお世話になった。

まずはじめに介護タクシーにお世話になるのは良いが、実際に介護タクシーに乗るまでネックがあった。過去に何回か書いたが私の家は少し特殊な環境にあって、車いすに乗るのがやっとの状態である母をどうやってタクシーに乗せるか…という課題があったのだ。

だがこれも以前ケアマネージャーの回でも書いたが、優秀なケアマネのおかげで事前に介護タクシーの担当者に予め連絡がいっており、この問題は難なくクリアする事になる。介護タクシー側でキャタピラー付の車いすを用意してくれていて、階段を難なく降りることが出来たのだ。まあ介護の世界では階段の上り下りが困難になるというシーンも当たり前なのだろうか、母と私の場合において最大の問題点をあっさりとクリアしたのは大きかった。

実際に介護タクシーの担当者さんが、このキャタピラー付車いすを持って迎えに来てくれた時は驚きだった。私はその担当者と一緒になってマンションの狭い階段を車いすを一緒に持ちながら降りるものだと思い込んでいたので…。

【介護タクシーに同乗しての感想】


介護タクシーには母の付き添いという事で私も乗車。車内はとても広い印象なのだろうが、予備の車いすが他にも2台とストレッチャーなども置いてあって、実際にはそこまで広いようには感じなかった。どうやら実際には複数人が乗車できるようになっているのだろう。

そして一緒に乗ってみての最大の感想は、とにかく揺れる…という事である。大きい車体という事もあるのか、それとも通常の乗車シートでは無い為なのだろうか。とにかく揺れを感じる乗り物だった。今思えば救急車に乗った時(この時も母の付き添いとして乗車した)も同じような大きな揺れを感じたし、この手の乗り物は意外にも揺れを大きく感じるのだろうか。

【車は想像以上に揺れる】


初回、H総合病院に向かう時に車いす(キャタピラー付)の椅子でそのまま乗車することになったのだが、この大きな揺れは母にとってかなりの負担になったと思う。ただでさえ上半身を起こしていると負担が大きいのに、その態勢のまま車の揺れが加わったのだから。

正直これは私の失敗だったと思っている。乗車した際にストレッチャーがあるのが分かったその時点で、ストレッチャーへの移乗をお願いすればよかった。結局のところ母は上半身を起こした姿勢と大きな揺れの中、H総合病院までの道のりを40分近く我慢する事になった。本当に今でもこれは申し訳ないと思っている…。

その代わりにその日のH総合病院からの帰り(もう診断結果からも車いすでの帰宅は不可能)、2回目の利用となったS病院に入院する際にはもう最初からストレッチャーをお願いした。

【介護タクシーを煽る車が多いのなんのって…】

車が揺れる…と言っても担当者(運転手)さんが適当に運転している訳ではない。これでも車体を揺らさないように慎重に車速を調整しつつの運転だったのは見て取れた。それでも揺れてしまうものはしょうがない…。

ただ車体を揺らさない慎重な運転というのは必然的に車速は遅くなる。そのせいか後続車の中には露骨に煽り運転をする車が多数あった。私は母の隣に座っていたのだが、比較的後部ドアに近い位置で、その窓から後続車の様子は丸見えだったのでよく分かる。

まあでかい図体の車が遅いスピード(と言っても法定速度だが)で走っていると、後続車として少しイラつく心理は何となくわかる。だがこれも母の隣に乗っていて初めて理解したが、搭乗者(この場合は母)の事、さらにはここまで車体が揺れるという事を考えると介護タクシーはそこまで軽快に走ることが出来ないのだ。

介護タクシーが低速で走る理由が分かった事で、今後は介護タクシーを煽るような素振りを見せるのは止めよう…と自分で思った。まあ今では介護タクシーと車体に書いてなくても、なんとかくその系統の車というのは見分けがつく。ホント「人の振り見て我が振り直せ」だよなと思った。

【介護タクシーのサービスには満足】


介護タクシーのサービスの話になるが、母と私の場合は初っ端のキャタピラー付の車いすで出迎えてくれた…という好印象からのスタート。迎えに来てくれた介護タクシーの担当者は事業所の代表を務める方でもあり、総じて対応は良かったし全般的にサービスそのものには満足している。

母と私の場合に受けたサービスは…

自宅までの迎車
病院への移動、自宅までの移動
車いす(キャタピラー付)の使用
ストレッチャーの使用
キャタピラー付の車いすでの階段昇降
乗降時の介助
(帰りは救急センター内でのストレッチャー移動)

中でも何度も言うがキャタピラー付の車いすを利用しての階段の昇降は本当に助かった…。

ただ介護タクシーを利用しての費用は結構掛かるとは思う。でも今回の母と私の場合ではもうお金云々の話ではなくなっており、費用に関しては個人的にはそんなに気になる感じでもなかった。ただ意外と金額は掛る事だけはお伝えしておきたい。

ただ要介護の認定があれば何割かの割引はあるらしいが、母の場合はこの介護タクシーを利用した時点で介護認定はまだ下りていなかったので、あまり関係なかったのだけど…。

【母と私にとって介護タクシーは必要なものだった】


全てが終わってみて、母と私の場合はやはり介護タクシーは必要だったと思う。せめて車椅子での移動が可能であれば自家用車で行けたかもしれないが、なにせ上半身を起こすことが困難な状況であり、ストレッチャーを利用できたのも本当に助かった。

この介護タクシーというこのシステムがなければMRI検査を受ける病院には行けなかったし、最終目的地でもあったS病院への入院も叶わなかっただろう。もし母の入院が叶わなくなっていた場合、どういう事になっていたかは私には容易に想像できる。

【車窓から見た景色について語り合ったのが良い思い出に】

母にとっては久々の外出でもあり、介護タクシーの中から外の景色を見て思う所もいろいろあったのだろう。中でも最後は入院先のS病院に向かう途中、かつて住んでいた土地の近くを通った際に、いちいち場所を確認した上で昔の思い出を語ってくれた。

「ここは〇〇の交差点だね」
「〇〇があった場所だ」
「もうすぐ〇〇のお店が見える」
「あのお店は〇〇で…」

正直ストレッチャーに乗った状態で外の景色が見れるのか?と思って私はびっくりしたし、母は目眩が酷くて殆ど右目が見えていない状況だったはずだが、車内から見える景色に反応してそれについて色々と語ってくれた事がいまだに忘れられない。

母は動けなくなってからは家の中では自分の部屋の中とその天井しか見ておらず、後に病院に入院してからは今度は病室内の中と天井しか見れない生活になっていく。その中で介護タクシーから見えた外の景色について語ってくれた事は嬉しかったし、その母が見た景色を私も一緒に見れた事、その見た景色についての思い出を共有できた事が今でも良い思い出となっている。

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【注意事項】

この記事を書いている私は医療に関しては素人なので記事の中で間違った認識、表現、名称を記述している可能性は高いです。さらに一部で感情論に走っている面もあると思いますが、なにとぞご理解と温かい目で見て頂けるとありがたいです。



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