紫の燈が、迷い子の瞳にゆれた。そなたはもう泣くことはない。「約束は果たされた」その手をひいて、かえり道を示してあげよう。世界に裏切られて、世界に欺かれたそなた。還ろう。この赤ら顔の道化が道を示そう。「誰そ彼」の時は、終わりを告げる。新たに生まれる乳飲み子のそなたのために。

【れんぷく】
紫の妖光を纏う瞳を持つ、ベニマシコの翼のトリビト。「果たされた約束の歌」を歌い、帰り道を示す。黄昏時の終わりに姿を見せることが多い。
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約束は果たされた。約束は果たされた。王を殺せ。王を殺せ。
弱き者よ、汝に王を殺す勇気があるか?ないなら私が誘おう。さぁ踊れ、さぁ唄え、鳥の王を殺せ。

…そう、約束は果たされた。今度は私が果たす番。しかし…。本当の弱き者は私。

マゼンダの瞳が歪に笑い、彼女は音もなく飛び去った。

影に染まった木々が星を握り潰そうと頭上に手を伸ばしている。深い闇と獣の気配に声を殺して泣いた。「迷子か?」木の上で琥珀色の瞳が輝く。「だあれ?」「森の賢者」「けんじゃ?」「だから子供は嫌いじゃ」「きらいじゃ?」「…早く出て行け」優しい歌声。草藪が道になり、お母さんの声が聞こえた。

夜の森がこんなに怖いなんて知らなかった。怖くて怖くて声を殺して泣いた。「迷子か?」木の上で琥珀色の瞳が輝いた。「だあれ?」「森の賢者」「けんじゃ?」「子供は嫌いじゃ」「きらいじゃ?」「…早く出て行け」優しい歌声。草藪が道になり、お母さんの声が聞こえた。

「そなたの望みは一体何だ?」
彼の羽ばたきに音はない。聴こえるのはその声だけ。
紅月に溶け込んだ、マゼンダの瞳が笑った。

約束は果たされた。約束は果たされた。王を殺せ。王を殺せ。
弱き者よ、そなたに王を殺す勇気はあるか?ないなら私が誘おう。さぁ踊れ、さぁ唄え、鳥の王を殺せ。

森の奥から今夜戻ったのは俺だけか? 霧が深く、方角もわからず、もう歩けないと思ったその時だ。青く輝く瞳をしたトリビトが現れ、懐かしい故郷の歌をうたうのが聴こえた。いつの間にか、侵すべからざる領域に踏み込んでいたんだ。…ライト落とした。

夜の猛禽は森に踏み入る者を確実に仕留める。それゆえ彼は人をよく視た。人も忘れた歌を歌い、時にはそれで森を守った。その彼の瞳から妖しげな紫光が消えかかっている。門番の死はすぐ喧伝され、森中が騒然となるだろう。死を告げる鳥は、自らの死に寄り添って静かに息絶えた。穏やかな表情を残して。

紫の怪しげな月が木々の隙間から顔を出す。
ばさりという音と同時に
一枚の羽が目の前にふわりと降ってきた。
ショウジョウトキか。

ふと後ろを向くと
紫の妖光の瞳がこちらを見ていた。
「あなたの存在を識る人は何人いるの?」
そう歌を聞くと
ふとその瞳とそこにあった道が消えていった。

歌詞をなぞって初めて、歌を聴いていたことに気付いた。はっとして見渡す。高いところから、鎮魂歌が聞こえる。誰に?周りには誰もいない。ここにいるのは、私だけだ。
すぐさま駆け出す。歌に寄せられる魂を引きずった。早く、外へ。
歌が止んだ。足が止まる。白が波打つ黒い翼が、私の目を覆った。