歌詞をなぞって初めて、歌を聴いていたことに気付いた。はっとして見渡す。高いところから、鎮魂歌が聞こえる。誰に?周りには誰もいない。ここにいるのは、私だけだ。
すぐさま駆け出す。歌に寄せられる魂を引きずった。早く、外へ。
歌が止んだ。足が止まる。白が波打つ黒い翼が、私の目を覆った。