十田撓子

詩ーー十田撓子【全文公開】

詩ーー十田撓子【全文公開】

静かな木 かれは眠っている 坐ったまま眠っている 喉を締め上げられて 漆を少しずつ流し込まれて かれは眠りながら声を失っていた 夏が終わる また夏が来る 雉の鳴く声と雨粒が葉を打つ音を聴きながら 廃寺の隅にじっとして かれはやはり眠っている 長大な体躯に刺青のような 黒く深い裂けめ これほど傷ついたものでなければ美しくなかった 齢五百あまり 伐り倒されなかったけやきのなかで かれは眠っている 【編集部よりお知らせ】 文藝春秋は、皆さんの投稿を募集していま

1
現代詩手帖7月号「新鋭詩集2017」を読む

現代詩手帖7月号「新鋭詩集2017」を読む

現代詩手帖の7月号をどうにか7月中に手にすることができた。最近のミュンヘンの郵便事情はだんだんイタリア化しつつあって、ときには日本から送った航空便が到着するのに一月近くかかることもあるのだ。 さて今月の特集は「新鋭詩集」。尾久守侑、金井裕美子、鈴木一平、十田撓子、仲田有里、永方佑樹、野崎有以、荻野なつみ、久石ソナ、村上由起子、山崎修平の11人がフィーチャーされている。 この中で会ったことのあるのはたった一人。あとはよく知らない方ばかりで、はじめて目にする名前もある。海外に

4