スターは楽し

スターは楽し ケヴィン・コスナー|芝山幹郎
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スターは楽し ケヴィン・コスナー|芝山幹郎

ケヴィン・コスナー WEISSMAN, ALAN/Album/共同通信イメージズ エゴを消したサバイバルあのころ、ケヴィン・コスナーの人気は爆発的だった。「ゲイリー・クーパーの再来」と呼ばれ、映画スターの枠を超えたカルチャー・ヒーローと目されることさえあった。1980年代の終わりから90年ごろにかけての話だ。 人気が頂点に達したのは、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990)に主演し、監督も兼ねたときだった。これはスー族の集団に身を投じた北軍中尉の物語だ。封切直後、私

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スターは楽し サシャ・バロン・コーエン|芝山幹郎

スターは楽し サシャ・バロン・コーエン|芝山幹郎

サシャ・バロン・コーエン ©AF Archive/20th Centu/Mary Evans Picture Library/共同通信イメージズ 世界がのけぞった暴走力 『ボラット』(2006。異様に長い副題は省略する)を初めて見たとき、私は笑い転げた。腹を抱え、身をよじり、試写室の椅子から落ちそうになった。 そのときはさすがに、俺は莫迦じゃないかと思った。椅子から落ちかけることはないだろうと少しだけ反省したら、もっと莫迦な人がいたことが判明した。 正体を明かすと、

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スターは楽し ソフィア・ローレン|芝山幹郎

スターは楽し ソフィア・ローレン|芝山幹郎

自生した果実の「無敵」ジーナ・ロロブリジダ、シルヴァーナ・マンガーノ、ソフィア・ローレン、クラウディア・カルディナーレ。第二次世界大戦後、イタリアからは豪快な……もとい、豪華なスターが続々と登場した。 いや、「豪快」と呼ぶほうが、むしろ適切かもしれない。見た目の華やかさはいうまでもないが、彼女たちは、肝っ玉の据わり方が尋常ではなかった。 なかでもソフィア・ローレンの迫力は圧倒的だ。10代の私は、スクリーンの彼女を見て無敵だと思った。 174センチの長身。力強く突き出た胸

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スターは楽し 小林 旭|芝山幹郎

スターは楽し 小林 旭|芝山幹郎

小林旭 通俗を突き破る一本気 顔を見てすぐに声を思い出すスターは数多い。ハンフリー・ボガート、マリリン・モンロー、三船敏郎、若尾文子……。 だが、名前を聞いて、顔より先に声を思い出すスターは意外に少ない。真っ先に浮かぶのは、ダース・ヴェイダーの声で知られるジェームズ・アール・ジョーンズだが、日本にも圧倒的な声の力を持ったスターがいた。 小林旭だ。 小学生だったころ、私や近所のガキどもは、声を張り上げてアキラの歌を合唱していた。最初はたしか〈ダイナマイトが百五十屯〉

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スターは楽し マシュー・マコナヘイ|芝山幹郎

スターは楽し マシュー・マコナヘイ|芝山幹郎

マシュー・マコナヘイ ©Billy Bennight/ZUMA Wire/共同通信イメージズ 不敵で超然として日本ではマシュー・マコノヒーと表記されることが多いが、この人の名前の発音は「マコナヘイ」に近い。予告篇やアカデミー賞授賞式の映像を見ながら、ちょっと耳をすましてみれば気づくはずだ。修正したほうがよいと思う。 それはさておき――。 マシュー・マコナヘイは、大股の歩みを止めない。デビュー作『バッド・チューニング』(1993)で、不思議なスケールの大きさを感じさせ

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スターは楽し ジム・キャリー|芝山幹郎

スターは楽し ジム・キャリー|芝山幹郎

ジム・キャリー ©AF Archive/Universal/Mary Evans Picture Library/共同通信イメージズ ナンセンスが噴火する 1990年代の中盤、ジム・キャリーが噴火した。爆発というより噴火。一過性の破裂ではなく、溶岩の連続的な噴出。94年だけでも『エース・ベンチュラ』、『マスク』、『ジム・キャリーは Mr.ダマー』とヒット作が3本公開され、そのあとには、『ライアーライアー』(1997)がつづいた。止まらない感じがした。 これはなんだ?

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スターは楽し オリヴィア・デ・ハヴィランド|芝山幹郎

スターは楽し オリヴィア・デ・ハヴィランド|芝山幹郎

オリヴィア・デ・ハヴィランド ©AF Archive/Mary Evans Picture Library/共同通信イメージズ 悪夢に親しみやすい美女 オリヴィア・デ・ハヴィランドの名を聞いて、すぐさま顔を思い出す人は少ないかもしれない。初期の代表作『ロビンフッドの冒険』が1938年、『風と共に去りぬ』が39年の公開だから、すでに80年以上の歳月が流れている。 そのデ・ハヴィランドが、2020年7月、104歳の高齢で亡くなった。同年生まれのカーク・ダグラスが他界して

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スターは楽し  浪花千栄子|芝山幹郎

スターは楽し  浪花千栄子|芝山幹郎

杉咲花主演の連続テレビ小説「おちょやん」は、大阪を中心に活躍し、名脇役となった浪花千栄子をモデルにした俳優一代記だ。評論家・翻訳家の芝山幹郎さんが浪花千栄子の魅力について明かす。(出典:「文藝春秋」2015年8月号「スターは楽し」) 杉咲花 ◆ 文化遺産の玄人芸   浪花千栄子は日本の文化遺産だ。  冗談ではなく、私はずっと前からそう考えている。なんといっても、芝居の真ん中に「技芸の心棒」が通っている。いけずも、ちゃっかりも、腹の黒さも、気っ風のよさも……なにもかも

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スターは楽し 渡哲也|芝山幹郎

スターは楽し 渡哲也|芝山幹郎

渡哲也 童顔と殺気と放心 渡哲也は水色の背広を着ていた。 本来なら水色のスーツと書くべきだが、当時は上下のセットアップでも背広と呼んでいたので、それに従う。足もとは白い靴。『東京流れ者』(1966)を思い出すと、真っ先に蘇る姿だ。 序盤は水色の背広で、中盤がライトグレー、そしてラストは白いスーツに着替える。細身のタイは、最初が水色、次が明るい茶色で、最後が白。靴はずっと白。より正確に記すとこうなるが、記憶のなかの彼は、いつも水色の背広に身を包み、とっぽい照れ笑いを

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