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「後悔しかありませんよ」言って ニカッと笑う笑顔の深さ リアカーを押して進む黒い二の腕 汗を吸った軍手の上にだけ広がる青空 シワの隙間に探しかけた生の残滓 ただひたすら生々しく立ちのぼる影の匂い 車輪の下で溶け出した瓦礫 眼には動物のごとき”今”しかなく 今を生きてる詩だった

さっき、ずしん・・・ずしん・・・って 本屋が歩いてるの見たの 中には入らなかったの だってけっこう大股で歩いてるし お追いつくのも面倒だったんだもの #詩 #あるいは死のようなもの

生は死を内包し 死はまた生を内包す 生と死は 互いに裏腹のベクトルで疾走しつつ 分かち難い一卵性双生児の如く存在す 生きとし生けるものは必ず死ぬが また必ず生きる より良き生のために死に より良き死のために生きるのだ 生死とは 永遠を内包して回転するコインの 螺旋の軌跡だ

世界中で 誰かのために発信され 刺さらずに落ちてきた 言葉たちの残骸 俺が住んでるのはさ そういう残骸で出来た島なんだ

よごれた体だから よごれた人に抱かれ 安心しようとしてた もうよごれてないことには出来ないし よごれ過ぎたし よりよごれていく方が楽… なのにどうして こんなにみじめで こんなに虚しくて 震えてるんだろう 温かくありたい けれど太陽は眩しくて 壊したくなる 私の月はどこ?

『王葬』

もう誰も旅立たなくていい もう何も手放さなくていい 滅びの音さえ聴かなくていい 探すのをやめた時 探し物が見つかるように 最初から持っているものに 慈しみを持つだけで良かったと 気付いたときには1円足りない 繰り返し繰り返し 思い出さずにいられないことを なぞる勇気が無かった

「すみません、貴方は溺れていますか?」 「はい、私は溺れているところです」 「え、溺れているんですか?」 「はい、私はどちらかといえば溺れている方です」 「わかりました。助けが必要ですか?」 「いいえ、結構です」 「でも、溺れてらっしゃるんですよね?」 「はい、とても苦しいです」

叫びながらつぶやいて 囁きながらわめいて 目をつむりながら じっと眺めてほしい その隘路にしか 本当のことはないから

満員電車の中 ぎゅうぎゅうで向かい合う ほぼ全員が スマホだけを見て乗っている もちろん僕も こんな浅ましい未来 ちょっと前まで 誰も想像してなかった 浅ましさが浅ましい そんな未来を

透明な感情 私はそう呼んでいる 彼女たち人形には確かにそれが存在している 表情こそ変えはしないがね 例えばあの肩の丸みに浮かんだ白い光沢にそれは透けて見える 実に繊細な感情だが ともすると永遠に通じている気配すらある お気に召したようだね 『王様の耳はロバの耳』だ また来たまえ

食欲の秋 五反田鞠子がついに秋を食べ始めた それはもうありとあらゆる秋の味覚が 舌の上に同時に押し寄せた案配で 食通を自称していた鞠子も 食べ終わる頃には白目をむいていた その日から季節は春・夏・冬になった 今、目覚めた鞠子が 難しい顔で調べものをしている 春の味覚について…

真顔で「最後に愛は勝つ」って言えなくしてやろうかって言われた

おかしな話さ “孤独”が友達だったなんて

引き揚げ、繰り出す 血の奔流 鼓動は一番小さな生死のリズム

おっぱいはお尻になりたかった お尻はおっぱいになりたかった ただどうすることもできず ため息ばかりついていた 待て待て 君たちはそのまんまでいい いや、むしろそのまんまでいてくれ 頼む お願いだ だってそのまんまが一番美しい おっぱいとお尻は初めて互いの美しさに気づき、泣いた

宙ぶらりんとても大事 色んなものに繋ぎ止められてる心 すっかり荷物下ろして宙ぶらりんになって じっとして その空間に何が飛び込んでくるのか 何が聞こえてくるのか 何が映し出されるのか 宙ぶらりんの心で浮かんでごらん そうして今の自分の輪郭てものが じわっとつかみ直される瞬間を待て

-137歳の誕生日 僕は蟻を平気で踏み殺せる人間になった

ドストエフスキーを仮に3で割ったら じっとりと湿った僕が生まれそうだ

『とき』 開始が開始されず 終了が終了できないでいた 時だって ただ佇みたいときがあるんだな ぼんやりと赤く染まった 沈めない夕陽を 行くことも 戻ることもできないでいる時とともに 飽かず、眺め続けた いのちの時間だった