見出し画像

人気YouTuberヒカルの新番組で商標権で問題があり、タイトルを急遽変更へ

人気YouTuberヒカルの新番組「ミライエ」で商標権の交渉が上手く行かず、タイトルを急遽変更する事となった。

利用できなくなった経緯

今回の動画中では、番組制作に携わるスタッフが商標権についての説明を行い、利用が難しくなった経緯を説明している。

  1. 当初から別の会社が持っている事を知っていた

  2. 交渉を行えば利用は問題ない認識で制作を進めていた

  3. 実際に交渉をした所、無料利用が難しいことがわかった

  4. 利用した場合の利用料を支払えば良いが金額が大きかった

もう一つの理由

今回作成する番組では「若者たち6名を集めて新規事業開発を行わせ、賞金(融資)1000万円を勝ち取るために努力する」という内容のものなのだが、今回の動画中では『若者たちに払わせ続けるのが厳しい』に近い話もしているため、新規事業自体の名前を番組タイトルと同じにするストーリーだったようだ。

実はよく有る話

コメント欄を見ると、制作会社側の責任を問い詰める話が非常に多い。

「こんなこと先に確認しておけば良かったんじゃないか?」
「制作会社側の認識が甘すぎる。」

今回の問題については、商標の確認を委託されていたと思われる制作会社側の完全なミスである。

また、動画公開の数日前(実際にはどの程度直前かは不明だが…)に問題を共有するという部分も問題だ。もう少し早めに共有をすれば問題はここまで大きくならなかったかもしれない。

今回の話については、制作会社側の責任であることは間違えないが実は新規事業開発ではよくある話なのである。

制作会社は制作を優先しがち

これはあまり良くないのだが、制作会社はあくまでも制作を行う会社であるため、映像などの制作を優先しがちである。
そうなると、法規や契約周りがおろそかになりがちである。

管理者としては、制作物が発表されるまでの責任があるため、商標を疎かにするのは良くないのだが、勢いのある小さな制作会社であればあるほど、評価制度が制作物/完成物ベースになりがちであるため、法規などを優先する人材の評価がされにくくなってしまう場合もあるのではないかと思う。

名前には依頼主の気持ちが入る

名前にはコンセプトや製品・サービスへの意図が多く含まれる場合が多い。
さらに依頼主の最も強い要件である「気持ち」が多く含まれてしまっている。

そのため、請け負う企業は「なんとかしてこの名前で進めたい」という気持ちが強くなってしまう。

その結果、商標について厳しい課題があっても「自身の努力」を過信して直前まで最大の努力を行い、良い結果にしようとしてしまう。
その結果、最悪の報告を最悪のタイミングで行ってしまう事が多いのだろう…

ややこしい商標権

商標権とは「事業者が使用する商品・サービスのマーク・ネーミングを保護する仕組み」です。
商品の販売を始めると自動的に認可されるものではなく、出願する必要があり、取得には2,3週間かかる場合があります。

この商標というものはインターネットで簡単に検索できますが、確認には少し知識が必要になります。

ややこしい部分:商品・サービスとセットである。

難しい部分は「商品・サービス」と「マーク・ネーミング」のセットである部分です。

簡単に言えば「牛丼屋を提供する飲食店」の店名が「はしと」である場合と「保険商品」の商品名が「はしと」である場合は異なる商標として利用できます。

このため、単純に出願済みなので絶対に利用できないということにはなりません。(もちろん、同じサービス・商品で出願されている場合にはNGになる場合が多いです。)

ややこしい部分:対象外になる可能性

商標とは「商品を特徴づける名前やマーク」という事ですので、産地やよく使われている名称や短く被りやすい名前などは対象外になる場合があります。

コンピューター製品の商標として「パソコン」などの一般的な名前は申請したとしても拒否されるでしょう。

結局は専門家に相談したほうが良い

商標を管理しているのは特許庁からは下記のような分かりやすい資料がいくつか出ているが、申請を行ったとしても日数がかかるため確立性を高める目的であれば弁理士などに相談し申請を行ったほうが良いだろう。

商標出願のポイント
特許庁>商標

今回の動画では弁理士は同席していないのが気になったが、そもそもその場に弁理士がいたとしても即時回答できる性質のものでもないので、弁理士側が同席を拒否した可能性もある。

結局、制作会社の責任が大きい

今回の記事の中で色々とまとめてきたが、結局は制作会社の責任である。

これは参考に開発・制作を委託されている会社も十分に気をつけ、コミュニケーションを取りながら勧めていく事が重要である。
もし、現在進めている案件で、商標に問題がありそうであれば

「商標に問題がありそうです」

この一文を早めに依頼主に共有しておきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?