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目よ空港よ(18首)
目よ空港よ
橋本牧人
プーパッポンカリーひたひた渉るがにメニューに象三頭は竝べり
カオは米、ガイは鶏とぞ書かれありカオマンガイは米マン鶏なり
ひややかに軽きコップゆきららかに水はわれらの咽を踰えぬ
古さるる財布を留むるしろがねの朦朧として羊なりけり
寂しさのかろきは風に任せおく神田川から逸れて市街へ
うつくしからずかつ朝夕に腐るるを花に袋と書けば思ほゆ
ヴェルギリウ
『未来』月詠2024.3月-2024.8月まとめ
2024.3
甕星へあくがるるがに蜉蝣はさやかに狂(ふ)れむわが夏のさき
水銀毒鎮むる丘ゆ見晴るかす不知火あをくしてさざめきやまず
火が根より崩るるごとき日の没りに鶏の産卵の真似ごと
永き階(きざはし)上りつつ思ふ御仏の拇趾なるはつかあかるむ指紋
恋人の頭(づ)のおもたさを肩に享けダアリア群に汽車は停まりぬ
王ゐます雨後なる陵に沿ひながら川は伸びゆく 千の青鹿
朴の花支ふる枝に朴の花散りたるのちの
『未来』月詠2023.9月-2024.2月まとめ
※一部改作
9月
たとえば、と言うとき躑躅が見えたから少しいじわるだった気がする
“勝手にしやがれ”のラストみたいに走ってる 中野ブロードウェイをトイレへ
トイレ古すぎる孟夏の中野サンプラザで加藤治郎を見ていた
あらためて見ると紫陽花青すぎる、し、ほとんどブロッコリーに似ている
世界からぼくへ檸檬が生るたびにぱちぱちと音楽はかかった
珈琲を飲みに来ててもそれでもたまに水を飲む必要はあること
こ
篠原治哉「つめたいしゃしん」一首評
渡邊新月くんからバトンをもらって、一週間リレーネプリをやりました。読んでくださったみなさんありがとうございます。
バトンを渡すにあたって考えたのは「比較的発表している作品や媒体が少なくて、なにより個人的に作品が好きな人」ということで、該当する三人の候補を挙げ、その中から最適日常さんの抽選で篠原さんに決まりました。
今回はそんな篠原さんのリレーネプリを応援するためにささやかながらネプリから