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「芸」について。

どうも。長谷川優貴(@hase0616)です。クレオパトラというお笑いコンビでネタをしたり、エンニュイという劇団を主宰して脚本演出をしたりしています。

先月、ミュージシャンのzzzpeakerのライブにエンニュイで出演させてもらった。良い経験だった。

そのライブの後に、エンニュイメンバーの青木君からこんなメッセージがエンニュイグループに投げられた。

お疲れ様でした。
自分が出ていたので一切客観的に見れていない(恐らく僕が顕著にそうなだけだけど)のですが、動画を見てみるとぎょっとするシーンが多く、面白いものになっていたので驚きました。(すぐ共有します)

ちょっと今日はこの後撮影だし、別のことが考えられないのでメモ的に使って恐縮なんすけど(軽い話です)、昨日、土肥さんと、今後こういう類のイベントがあったとして、それを「即興」と打ち出すべきか、という話になりました。
僕は打ち出すことに意味があるんじゃないか、土肥さんは柔軟に考えてもいい、という立場で、土肥さんの考え方ももっともだと思いつつもずっと考えていたのですが、僕は結局、「芸」について考えていたのだと気付きました。

芸、というとイメージがよくないというか、おっさん、芸をやれ、みたいなネガティブイメージがあります。他方、例えば、バーベルが100キロ挙がる、というと自慢になるし、有名人の先輩がたくさんいる、みたいな話も自慢になりますが、これを「ベンチプレス芸」「後輩芸」というと途端に角が立たなくなる。(多分)

人が芸を見る、ということは一体なんなのか。トランプで手品をやる、パントマイムをやる、鳩が出てくる、猿を回す、回される猿、それにすごいと手を叩いてわざわざ金を払う、前売りチケットではなく見てのお帰り、これはなにか。マジでこれになんの意味があるのか。芸術ともプロフェッショナルとも違うし、エンターテインメントとも少しずれる感じがある。芸には明確な、はっきりした、強烈な観客との共犯意識がある。

考えてもみれば長谷川さんフーさんの「芸」人や、演技力とは別方向としての即興能力を見せるのも、僕らのコンテクストの中には常に不純な共犯意識が紛れている様な気がします。しかしこれは本当に不純なのか。そして共犯意識はそうでない場合と等価にパースペクティブに影響し……と展開するとえらいことになるのでやめておきます。

「即興芸」という能力に対し、お代は見てのお帰り、には、小さいか大きいかは判りませんが、どうもなにか宝の様なものが埋まっている気がしている、というのが今進行中で考えていることです。伝え方も含めて。

これに対して他のメンバーから、全ての表現が即興なわけだから、即興とわざわざ伝える必要はないのではないか?的な意見もあった。それを受けての青木君の返信↓

わざわざ即興の話をしたのはひとつには、僕のロジックの方がある意味でねじれというかゆがみがあると思ってるからなんですよね。だから逆にこう考えてることをはっきりさせたかった。

もうひとつは「芸」の問題。ネガティブなイメージさえある芸にはもっと豊かなニュアンスがあるんじゃないか、エンニュイの「なにか」を力にするためのヒントにならないか、と考えてるということがあります。

即興じゃないライブはない、のはパーフェクトに真理で、演劇に関わるとよけい身に染みて解ってくる。そのニュアンスを尊重できないといけないとヤバい。
意見の違いというより、僕がなにか別のことを言いたがってるんだと思います。

「芸」について。このような会話があるということは、なにかエンニュイは掴みかけているのだなと感じた。

「瞬間を紡ぐ〜」のダイジェストを観て、あれを「即興の技術」だと思ってみると面白いというか、「これ今この瞬間に生じてんねや」って見方が出来ることで面白く観れたことと、青森の大道芸を観た時の、あの共犯関係で金銭授受が行われるって何なんやろう、と考えたことが繋がりそう、と思いました。
「芸」は虚しいっちゃ虚しいコミュニケーションで、芸術とも芸能とも違うけど、芸術が良くも悪くも「共犯」を狭く(コミュニケーションの狭さ、共犯感覚に対する感覚の狭さ)捉えていることが今の芸術に対する批判に関係している、という見方です。(それこそパフォーマンスは全ては即興である、は100パー正しいし美しいけど、そこにこだわることが何かを見えなくしてしまうのではないか、という意見。)
でも、この繋ぎ方で正確に状況を捉えれているのかがまだ考えれてない、みたいな感じです。

↑過去に企画した即興ライブ。

浅草キッドのタップダンスしかり、芸があるから芸人なわけで、現代のお笑い芸人は芸がないとよく言われるが、その芸が可視化されていないだけで、トーク一つとってもかなりの細かい技術が使われている。しかし、それは言語化されてきていないから、伝えるのも難しい。というか、客に伝えることをタブーとしている。それは、マジシャンがマジックのタネを観客に言うのと一緒だ。だから、お笑い芸人はわざわざテクニックを伝えない。ひょうひょうとした顔で、さらっと笑いを取り、わざと客の下に入り滑稽に見せる。これが芸だ。

だとすると、エンニュイの即興性についても観客に伝えないことで、芸に昇華できるのかもしれない。「あれはどこまでが台本なんだ?」たとえ、全部即興だったとしても、そう思わせたら勝ちなのかもしれない。

まあ、ここにこの記事を書いている時点で少しネタバレしているわけだが(笑)ネタバレ。そう即興と伝えることはネタバレ感がある。ネタの裏側を見せる感覚。

見せ方は、とりあえず置いておいて、エンニュイは「いつ、どこでも、公演ができる集団でいたい」と僕は勝手に思っている。それが、できるようになったら、それは確実に「芸」だ。「芸」という言葉がしっくりくる。

これからも、様々な場所や環境で公演をしていくと思う。お笑い芸人が、様々な劇場、様々な営業先、色々な人の前で腕を磨いていく感覚で。変な筋肉がムキムキになったら面白い。

僕は、劇場の広さや、椅子がフカフカかどうかなどでチケット代を決めるのが嫌いだ。人だ。人を観に来ているのだ。その人の芸を。芸に自信があれば、それに見合った金額にすればいい。会場は関係ない。最近、凄くそう思う。

まだまだ模索中だけど、こういうことを考えている時間は尊い。


https://youtu.be/uMjRvTZcd2w




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【告知1】

2月23日に学下コーヒーという場所で、エンニュイのperformance liveがあります。時間や詳細が決まり次第告知します。お店の店主のお子さんと演劇します。初の試みなので楽しみです。

【告知2】

「人は誰でも面白い」をコンセプトに、人から作るコントに挑戦します。

会社員、フリーター、主婦、俳優、声優、アイドルなど、役者・演技経験がなくても大丈夫です。職業・経歴は一切問いません。

この企画に対する考えなどをnoteに書きました。


【告知3】

エンニュイperformance
2023年3月24日ー26日
三鷹SCOOL

最近で一番気合入れている公演です。たくさんの方に観ていただきたい。詳細決まり次第告知いたします。


【告知4】


オンラインSHOP「色彩マーケット」にて、クレオパトラ20周年単独公演の配信動画+動画ダウンロードを販売開始しました。無期限視聴です。

台本のデータ販売も開始しました。


クレオパトラInstagram

https://www.instagram.com/clepatworks/
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■クレオパトラオフィシャルサイト

クレオパトラ第12回単独公演(リモート)「密接なき接触」

クレオパトラconte LIVE#2『無駄な期待』

クレオパトラ第11回単独公演『散文的な景色、詩的な歩行』

クレオパトラ二人芝居『私ト彼』

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