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長谷川博一
2019年8月25日 17:29
【 1 沈滞 】…………<(低い男の声)さて、読者の諸君。そろそろこの物語に隠された、ある真実の秘密が見えてきた頃かな。「いやいや、理屈では説明のつかないことがある、ぐらいしかわかりません」といった声が聞こえてきそうだ。そんなに難しいかな。決定的に重大な、ある真実を見抜くのは> <この物語は誰が書いている? 「僕」と呼んでいる書き手は誰だったかな? 泉海(いずみかい)じゃないかって? そう
2019年8月19日 00:49
【 1 天に帰った魂 】 お盆が終わった。この時期は毎年、人々は先祖の魂があの世とこの世を行き来することに想像を膨らませながら、全国で様々な行事が行われている。 僕たちは、あの西の地で、仙人のような神主から古い鈴を託された。これからどんな新しい出会いがあるだろう。どんな別れがあるだろう……。未知の自分との出会いも、新たな目標になった。 朝、2階の事務室へ行くとマリさんがノートに何やら書きこ
2019年8月13日 20:19
【 1 ドライブ 】 お盆休みも後半に入った。かねてからマリさんと約束していたドライブ旅行に出かけることになった。行先は、マリさんの提案通り、日本三大羽衣伝説の地のうちの2つ、京丹後と三保の松原。 車は、マリさんが大型ワンボックスカーのヴェルファイアーを手配してくれていた。この車は1列目から3列目までをフルフラットにすることができ、とても広く、仮眠することができる。というのも、高速道路の渋滞が
2019年8月5日 22:52
【 1 電話の向こう 】 右腕の傷が癒えるまで、この数日間は字を書いたりすることを医者から止められている。そこでクライエントには、事務員のマリさんがカウンセリングに同席してカルテへの記録を行ってもらうことを了承してもらった。了承してもらえない場合の代替案として録音を提案しようとしたが、今のところすべて大丈夫だった。 午前のカウンセリングを終え、昼食の休憩に入った。最近は、1階の自分のキッチンへ