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尾上菊之助の春秋 その壱 春

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尾上菊之助さんの話題が中心のマガジンです。筆者の長谷部浩は、『菊之助の礼儀』(新潮社)を以前、書き下ろしました。だれもが認める実力者が取り組む歌舞伎、その真髄について書いていきま…
有料記事をランダムに投稿します。過去の講演など、未公開の原稿を含んでいます。アーカイヴが充実すると…
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#木村拓哉

続編はいかに。ミシュランを防衛するために追い詰められる倫子シェフが観たい。グランメゾン東京最終回のはてな。

 グランメゾン東京第十話。

 結局のところ、根本的な問題は、解決されずに終わった。

 リンダ(冨永愛)が政界の圧力にかかって、不誠実な態度をグランメゾンに取ってきたこと。
先週の第九話で、GAKUを理不尽にも首になった丹後学(菊之助)が、なぜか急にレストランの窮地を救いにくること。
平古祥平(玉森裕太)をめぐる三角関係に、平古が勤務していたホテルを舞台に、松井萠絵(古谷彩子)と蛯名

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グランメゾン第十話の急展開。菊之助 GAKUを去る。

 最終話を前にして大きな展開があった。

 丹後学(菊之助)がシェフを勤めるGAKUに内紛があった。まず、スーシェフの 平古祥平(玉森裕太)がGAKUからグランメゾン東京へと移る。祥平を頼りにしていた丹後は、精気を失ったという理由で、オーナーの江藤(手塚とおる)は、丹後を首にして、他のシェフと契約する。

 今回の見どころは、この裏切りを告げられたときの菊之助の受けの芝居にある。
 歌舞伎には、「

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グランメゾン東京第八話。木場勝己の名演。

 菊之助休演の知らせがありました。

 案じる気持ちで、テレビの『グランメゾン東京』第八話を観る。
 菊之助さんはほとんど出番はなかった。

 けれども、キムタクが料理の修業を始めた町場のレストラン、主人でシェフの木場勝己さんの演技がすばらしい。

 顔のクローズアップを、directorもカメラの撮りたくなる。芝居がいい。面構えがいい。

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菊之助はテレビの演技を学びつつあるのか? 『グランメゾン東京』と舞台俳優。

 『グランメゾン東京』、菊之助の演技を見ていて、急に亡くなった平幹二朗の芝居を思い出した。

 平は、俳優座養成所の出身である。蜷川幸雄の舞台では、初期、および後期に偉大な仕事を残した。ところが、大河ドラマなどで見る平の演技は、なぜか画面のサイズからはみ出していた。

 『樅の木は残った』(1970年 NHK)は、平にとって画期的な作品だった。仙台藩の御家騒動を扱ったという意味では、歌舞伎の『伽羅

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菊之助は「敵役」を演じきるか? 2

尾上菊之助は、敵役とは無縁だと思ってきた。もっとも、歌舞伎は、敵役を大切な役柄としている。たとえば『伽羅先代萩』の仁木弾正は、「国崩し」と呼ばれる敵役である。主家ののっとりをもくろむ大悪人だけれど、立役を中心にする歌舞伎役者は、いずれは仁木(にっき)を演じたいと考える。

『グランメゾン東京』で、菊之助が演じる丹後学は、第六話まで観たところ、どうも仁木ではないらしい。むしろ木村拓哉が演じる尾花のほ

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