見出し画像

モダンの断片


ラジオと美女

商店の販促用の団扇に描かれているのは3人の美女とラジオです。
日本でのラジオ放送の始まりは、大正14年です。当時の最新のモダンアイテムに着物を着た女性がポーズを取るというなかなか面白い構図です。
ラジオは真空管ラジオだと思います。スピーカーを鳴らせる真空管式ラジオはセット自体が高価なものでした。つまり、この女性達は裕福な家のお嬢様ではないでしょうか。

真空管ラジオか

ラジオの普及は人々の生活に大きな影響を及ぼしました。それまでメディアといったら新聞しかなく、新聞は前日の情報を伝えるため速報性には乏しいといえます。しかし、ラジオは最新の情報を素早く遠くまで伝えることができます。最初は高価でしたが、国産化が始まると値段も安くなりあっという間に普及していきます。

これに目をつけたのが軍部です。戦争中には戦地の情報を夜中であろうと臨時ニュースとしてどんどん流しました。自分の子供を戦地に送った両親は息子の安否を知るためにラジオを食い入るように聞いたでしょう。

それに困ったのが新聞社です。どうしても速報性ということに関してはラジオに負ける。部数も減っていき、新聞社の存亡にかかわっていきます。号外をどんどん出したくても軍部から情報を貰わなければなりませんからいつの間にか軍部の御用達になっていってしまいます・・・と暗い話になるので止めます。

とにかく本資料からは新しいメディアに興味津々なお嬢様達という大正モダンの明るさが感じられます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?