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クリエイティブリーダーシップ特論:2021年第14回 佐々木康裕氏

この記事は、武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコースの授業である、クリエイティブリーダシップ特論の内容をまとめたものです。
 第14回(2021年10月11日)では、佐々木 康裕さんから「総合格闘技化するビジネスとクリエイティブの活用」についてお話を伺いました。

佐々木康裕さんについて

佐々木さんは、早稲田大学政治経済学部を卒業し、商社、イリノイ工科大学Institute of Design修士課程を経て、2015年にTakramへ入社した。Takramではビジネスデザイナーとして活動しており、デザインとビジネスの知見を組み合わせた領域横断的なアプローチでエクスペリエンス起点のクリエイティブ戦略、事業コンセプト立案を実践している。

スローメディア「Lobsterr」の共同創業、“ビジョナリーブランディング“を行うPARADEの取締役、ベンチャーキャピタルMiraiseの投資家メンター、グロービス経営大学院の客員講師も務める。
Lobsterrは、2019年にローンチし、時代と社会の変化に耳を傾けるメディアプラットフォームである。ニュースレターだけではなく、Podcastや書籍などメディアの形に囚われない発信をしている。


その他、著書/共著に『パーパス 「意義化」する経済とその先』(NewsPicksパブリッシング)、『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略 』(同)、『いくつもの月曜日』(Lobsterr Publishing)等がある。


Institute of Designでの学びとは…

佐々木さんは、シカゴにあるイリノイ工科大デザイン修士学科 / Illinois Institute of Technology Institute of Design (IIT ID)を卒業している。

IDでは、VUCA時代(VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))と言われる劇的な変化において、「超・多様性」「創造性非依存の再現性のあるアプローチ」について学んだとのことである。

超・多様性
デザイン思考や論理思考等を有機的に組み合わせた新しいアプローチが必要である

創造性非依存の再現性あるアプローチ
創造性やインスピレーションに依存せず、高い再現可能性を持った規律的プロセスとして新規事業創出を行う

授業では、「超・多様性」に関することとして、「PuzzleとMystery」というキーワードがあった。

Puzzle       ← →       Mystery
              論理思考                              システム思考・デザイン思考
資源投入で解決可能           プロトタイピング
答えがある               答えがない

こらからの時代において、Mysteryに取り組む能力が必要であり、そのためには、これまでのフレームワークのみでは通用せず、無数のフレームワークを活用する必要があるのである。

総合格闘技化するビジネスとは…

上記の「PuzzleとMystery」についてはビジネスの世界においても同様であり、「Hardware」だけではなく、「Electronics」、「Software」、「Network」、「Service」、「Data」、「AI」などの様々な領域に取り組む必要がある。さらに、近年、ビジネス領域において環境問題等のグローバルアジェンダに取り組む必要があり、様々な「Mystery」に取り組む必要がある。それは、まさに総合格闘技の様であり、佐々木さんは「360型ビジネス」とも表現していた。授業では、企業がMysteryに取り組むスタイルの参考として、“Ten Types of Innovation: The Discipline of Building Breakthroughs”(Larry Keeley)での「Ten Types」の紹介があった。

Larry Keeley氏の言葉として、以下の紹介もあった。

正しいプロトコルを持つ10名の海兵隊員が生むアウトプットは、
世界でもっとも創造的な10名のそれを上回る

「Ten Types」やLarry Keeley氏の言葉が示す様に、Mysteryに取り組むには、創造性というものだけに依存しないスタイルを求めるべきである、とのことである。

授業にて特に印象深いことは...

「PuzzleとMystery」という考え方は非常に分かりやすいと思った。そして、私もそうであるが、Mysteryに取り組むことに慣れていない人が多いのではないかと思った。成長を追い求めることも大切ではあるものの、如何にグローバルアジェンダへも目を向けていくのか、さらに他人も動かすとなると難しい気がする。コンサル・アドバイザリーとして、「どの様に他人をガイドするのか」という点を佐々木さんに質問してみた。佐々木さんとしては、PJ単位ではなく中長期的にものごとを捉え、PJを離れてグローバルアジェンダを考え、慈愛の観点でものごとを考える場を設けるのも一案であるとのことであった。また、アクションを通じて伝わるものもあり、言葉だけではなくアクションとして具体化してみると良い、とのことでった。この点は、前回の吉澤さんと同じ観点であり、かたちにすることの大切さを再認識した。私もグローバルアジェンダに意識を向け、身の回りのことからアクションを起こしていきたいと思う。




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