膝関節の異常アライメント 〜内反膝〜
膝関節のO脚やX脚は見た目にも影響するため気にされやすい部位です。
O脚やX脚が進行すると変形だけではなく痛みや歩行障害を呈する変形性膝関節症となります。
変形性関節症はADLを低下させ、場合によっては手術療法が選択されます。
今回は膝関節の異常アライメントである内反膝について紹介していきます。
膝関節が変形するメカニズムを理解していきましょう。
前額面では、正常な膝関節の外反約5〜10°です。この角度を逸脱した場合に、過度の外反膝または内反膝となります。
歩行時の内反負荷
通常の速度の歩行では、膝関節にかかる関節反力は体重の約2.5〜3倍です。この力は歩行周期の15%と45%(立脚相の早い段階と遅い段階)でピークに達します。
この力は主に下肢の筋活動と床反力の相互作用によって生じます。立脚相の間の床反力は身体重心の方向に向かいます。踵のすぐ外側を通過し、膝関節の上方および内側へ進みます。
床反力はステップごとに膝関節に内反トルク(膝関節内反2〜3°)を発生させます。結果として、歩行中の関節反力は、通常では、外側よりも内側のほうが数倍大きくなります。
このような内反負荷は、外側側副靭帯および腸脛靭帯を含む構造の張力に一部吸収されます。
内反負荷による内反(O脚)変形
歩行中の膝関節内反ピークトルクが20%増加すると、内側の片側性変形性関節症を発症するリスクが6倍に増加します。
内側の関節軟骨が希薄化すると、膝関節の内反あるいはO脚変形を生じる傾向があります。
内反変形は内側関節部への負荷がさらに増大し、内側関節腔が挟まり、膝関節内側への負荷がさらに増大します。
外科的手術
重度の内反膝への対応として、高位脛骨(楔状)骨切り術などの外科的手術が行われます。
この手術の最終的な目標は、内反変形を矯正し、内側コンパートメントにかかる潜在的なストレスを軽減することです。
保存療法
保存療法では、膝外反矯正装具、特殊靴、歩容の修正、歩行速度の低下、腸脛靭帯を牽引して膝が外反になるような向きのトルクを膝関節へ伝達する手段として大臀筋および大腿筋膜張筋の筋力強化などがあります。
靴の中に外側ウェッジ・インソールを装着すると立脚相に外反トルクが生じます。これにより、各ステップで内反トルク総量と膝関節の内転が減少し、膝関節の内側コンパートメントの圧縮負荷が軽減されます。
外側ウェッジ・インソールの装着による介入は、変形性膝関節症の疼痛を軽減し、機能を回復すると報告されています。
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今回の記事は以上になります。
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