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骨格筋における拘縮発生のメカニズム

拘縮は筋肉が硬くなり関節が動きにくくなるイメージがあります。

臨床では、拘縮のある骨格筋の触診で硬くなっている印象を受けると思います。

それでは、骨格筋の中では実際にどのような変化が起きているのでしょうか?

今回は、骨格筋における拘縮のメカニズムについて解説していきます。

本日も学習していきましょう!

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拘縮の定義と責任病巣

拘縮の定義は、

「皮膚や骨格筋、靭帯、関節包、などといった関節周囲軟部組織の器質的変化に由来したROM制限」

とされています。

定義から分かるように皮膚、骨格筋、靭帯、関節包といった関節周囲軟部組織のすべてが拘縮の要因になります。

その中でも、関節可動域制限への寄与率が高いのは、骨格筋と関節包です。

ラットの関節を不動化する実験でも2〜4週間は骨格筋、4週間以降は関節包が責任病巣の中心となっています。

今回は、拘縮発症のメカニズムについて骨格筋に絞って解説していきます。

骨格筋の変化

拘縮の発症した骨格筋を触知すると「硬く、伸びない」と感じられます。

これは、筋長の短縮と伸張性低下が起きるためです。

筋長の変化は不動1週間という短期で起こりますが、その後は変化しないため拘縮の進行には大きく関与していないと考えられます。

一方で、伸張性低下は不動期間の延長により著しくなることから拘縮の進行に強い関連があるとされています。 

筋線維の伸張性低下

骨格筋の伸張性低下の大部分は筋線維と筋膜によるものです。

筋線維に関してはコネクチン(タイチン)と呼ばれる弾性蛋白質が関与しています。

コネクチン1分子はZ帯から始まり、ミオシンフィラメントに結合したままM線の外側に至ります。

1つの筋節内においてコネクチンはミオシンフィラメントを両端から支え、常に筋節の中央に位置させるように機能します。

また、コネクチンにはエラスティックリュージョンと呼ばれる弾性領域があり、バネやゴムと似た構造特性になっています。

速筋に比べて伸張性が乏しく、遅筋はコネクチンの弾性領域が短いといわれています。

ラット足関節尖足拘縮モデル(筋線維)

ラット足関節尖足拘縮モデルのヒラメ筋を用いた検索では、

①コネクチン含有量の低下
②除膜単一筋線維の長さ-張力曲線の結果で他動張力の低下

の2点が認められています。

以上の結果から、不動による筋線維そのものの伸張性が低下するとした見解は疑問視されています。


筋膜の変化

骨格筋の不動による拘縮は、筋膜の変化が主要因と考えられおり、主要構成成分であるコラーゲンの器質的変化に由来します。

筋膜は、骨格筋の最外層を覆う筋上膜、筋線維を束ねる筋周膜、個々の筋線維を包む筋内膜が存在します。

筋上膜と筋周膜はタイプ Ⅰ コラーゲンの含有率が高く、比較的厚い構造になっています。

筋内膜はタイプ Ⅲ コラーゲンの含有率が高く、薄い構造であり、伸張性に富んでいます。

ラット足関節尖足拘縮モデル(筋膜)

ラット足関節尖足拘縮モデルのヒラメ筋を用いた検索では、

①コラーゲン含有量が増加し筋周膜や筋内膜の肥厚が認められる。
②筋内膜を構成するコラーゲン線維の可動性が減少する。

以上から、筋内膜に伸張性低下が生じることは明らかであり、コラーゲンの器質的変化が筋性拘縮を発症させていると推察されます。


まとめ

・拘縮の主な責任病巣は骨格筋と関節包である。
・筋長の短縮は1週間でプラトーに達する。
・筋線維の伸張性低下は疑問視されている。
・筋膜の変化が骨格筋の伸張性低下の主原因と考えられる。
・筋周膜と筋内膜のコラーゲン含有量が増える。
・筋内膜のコラーゲン線維の伸張性が低下する。
・筋性拘縮はコラーゲンの器質的変化に由来する。


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今回の記事は以上になります。

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