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後ろの席の男子を好きになった中1男子の話。

中学1年生の頃、同じクラスの男子を好きになった。なんてことはない、普通の片想いだった。と、思う。

あぁ、もうあれから20年も経ったんだ。

サッカー部だった。笑うとなくなる目がとてもかわいいなと思っていた。中学1年生、4月。窓側の前から三番目が僕の席。
その後ろが彼の席だった。ゆうたくん。僕の本名とちょっとだけ似ている。部活も仲の良い友だちも違う僕たちは、どうやって仲良くなったんだろう。席が近かったから、なのかな。

お互いの部活が終わるのを待って、2人で帰るくらいには仲よくなった。今となっては帰り道にどんな話をしたのかさえ、思い出せないんだけど。

でも、帰りにコンビニでアイスを買ったこととか、自転車に二人乗りしたこととか、確かに覚えていることも、たくさんある。
2人とも森山直太朗の「さくら」が好きだった。着うたを使って一緒に聴いた。

そういえば、サッカー部の顧問に、「お前ら付き合ってんのかぁ」ってからかわれたこともあったな。そんなわけないですよ!と言いながら、めちゃくちゃ嬉しかった。僕の記憶の中では、彼も嬉しそうだった気がするんだけど。たぶん勘違い。

ゆうたくんはずっと僕のチンチンが好きだった。突然ここにぶち込むことが適切なエピソードかは分からない。でも、本当にチンチンが好きだったのだ。出会った頃から。
一緒にいる時はずっと揉まれていたし、僕はずっと勃っていた。夕日が沈みかけた通学路を2人並んで帰るという、めちゃくちゃエモいシチュエーションの時も、彼の右手は僕の股間にあった。自転車に二人乗りする時はいつも僕が運転し、彼は荷台に座って腰に手を回して僕のチンチンを揉んでいた。地元にできた漫画喫茶に2人で初めて行った時もずっと揉まれていたし、彼の家に行った時もゲームに飽きるとすぐに揉んできた。

その横で彼の弟が寝ていた。なんだすごくいけないことをしている気がしたが、めちゃくちゃボッキした。どちらからともなくなんとなく初めてのキスをした。

2人で初めて映画を観に行った時は、どうせ揉まれるんだろうなと思っていたが、彼はずっと僕の小指を握っていた。その時見たのは、呪怨だったか、着信アリだったか。どっちだったっけ。中1の恋愛なんて、と今なら思ってしまいそうだが、当時は、そんなゆうたくんのことが好きで仕方なかった。彼がサッカー部の他の友達のチンチンを揉んでいるのを見た時は、ものすごく胸がモヤモヤした。多分、あれが初めての嫉妬。
しょうもな。なんだよそれ。と、今なら笑えるけど。揉むなら俺のを揉めよ!と割と本気で思っていた。アホでしょ。アホすぎるでしょう。



中1の終わり、バレンタインデー。人がいない教室で、彼は板チョコをくれた。ハイって投げられた。あ、ありがとう。と言った。なぜかよく分からないが、あんまり嬉しくなさそうなフリをした気がする。ホワイトデーに何を返したんだろう。思い出せない。


そのあと、僕は彼に嫌われてしまった。理由は分からない。ものすごい喧嘩をしたような気がするし、何もなかったような気もする。うーん。

彼は女の子が好きだったし。たぶん。まぁ、仕方ない。

そのあとの2年間は、一言も話さないまま卒業した。廊下ですれ違うのがとても気まずかった。僕も彼を避けるようになってしまったし、サッカー部の顧問にからかわれることもなくなった。

あのチョコレート、なんだったんだろ。
ノンケのノリなんだろうな、と思うけど。
中1の僕の心を掻き乱すには十分すぎた。
明治の板チョコ。

もうちょっと、ちゃんと喜べば良かったな。

僕にもそんな青春っぽい時代もあったんだよな。
と我ながら不思議な気持ちになる。



今でもたまに夢を見る。

仲直りした夢とか、大人になって再会した夢、とか。
いや、30過ぎの男が中1の時の片思いの相手思い出してんの、さすがにキツいよって思うけどさ。まぁ、勘弁してくださいよ。


なんていうか、僕だけの勝手な、青春のおもいで。




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