思い返せば、僕は人のちんちんばかり見ていた。
自己紹介をしようと思った。
どうせなら、自分の生い立ちを書こうと思った。
いい感じの初恋のエピソードとかも織り交ぜながら。
今までの人生を振り返ってみて、1つの事実に気づいた。
僕は人のちんちんばかり見ていた。
僕が人のちんちんを見た最初の記憶は幼稚園時代だ。
はるや(5)は幼稚園のプールが大好きだった。幼稚園生の膝上くらいしかない水位で、プールと呼んでいいのかについては疑問が残るが、とにかく、その時間が楽しみで仕方なかったのだ。
青い空、
白い雲、
光る水面、
友だちのちんちん。
幼稚園とはいえ、もちろん水着着用である。
しかし、プールが終わるとその場で水着を脱ぎ、水着とタオルを頭に乗せてフルチンで教室に帰るという謎ルールがあった。頭に乗せた物を手で押さえなくてはいけないため、手でちんちんを隠すことはできない。今考えると鬼畜だね。まぁ、そのときの僕は楽しんでたんだけど。
その時からだ。僕が人のちんちんにただならぬ感情を抱くようになったのは。
小学校時代。引き続き僕は、プールの時間がとても楽しみだった。おバカな男子たちは成長が早い女子のおっぱいのことでもり上がっていたが、おバカな僕はそんな男子たちのもり上がった股間ばかり見ていた。
サイテーだ、と、ちょっとだけ思う。
でも、それが思春期だ。たぶん。
他の男子と見ているものが違っただけだ。
着替えのとき、おバカ男子が全裸になった。腰を振ってちんちんを振り回し、教室を爆笑の渦に巻き込んでいた。
その振り回されたちんちんをただならぬ感情で見ていたのは教室の中で僕だけだと思う。
自分が人と違うな、と気づいたのはその頃だ。
そして、僕は1つ下の学年の男の子を好きになった。
話したこともない子。
校庭でいつもサッカーをしている子。
笑顔が可愛いなァと思っていた。
僕の初恋は一目惚れだったんだな、と今になって思う。
今の僕がこうやって書くとかなり気持ち悪いが、ちゃんと小学生の2人を想像してほしい。小学生の、小学生による、初恋だ。
どうにかその子と仲良くなりたい!
と思ったはるや(11)は、
とりあえず校門の陰で待ち伏せして帰り道にその子の後を付けてすぐに家を特定した。
シンプルにストーカーだ。小学生とはいえさすがにきもい、と僕も思う。
これ、書いて大丈夫かな。とちょっとだけ不安になってきている。
あくまでも、はるや(11)がやったことである。haruya(33)が、ではない。
ある日の休み時間、いつもよりドッジボールに熱中していた僕は、校庭から教室に戻るのが遅くなった。
朝礼台の横を通ったとき、洋服が置いてあることに気づいた。
あの子の上着であることはすぐにわかった。
今でも覚えている。グレーのユニクロのフリースだった。
手に取り、教室に向かった。その子の元に届けられるのが、なんだかとても嬉しかった。
教室は4階。一段とばしで上がっていく。
3階の踊り場で立ち止まり、
ふぅ、とため息をついた。
突然、僕はその服の匂いを嗅いだ。めちゃくちゃ嗅いだ。死ぬほど嗅いだ。鼻に当てて深呼吸した。
きもい。だめだ、キモすぎる。
淡い初恋の話をエモい感じで仕上げようと思ったのに、薄い初恋の話をキモい感じに仕上げてしまった。
結局、その後どうなったのかは覚えていない。
どうせ、僕のことだから本人に渡す勇気などなく、そのクラスの担任に渡したのだろう。
そのまま、その子と話すことは一度もなく、卒業した。
勝手に僕の人生に思い出の一つとして組み込まれてしまった彼には同情する他ない。
どこかで、幸せに暮らしていたらいいな、と思う。
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