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アニメ『スパイ教室』第11話感想

◆これまでの感想まとめ

◆可も不可もあった第11話

原作2巻分・グレーテ編が今週で完結した。

総合的に見ると、やりたいことは分かるがエンタメとしてはかなり微妙なシリーズというのが個人的な感想だ。今週特殊OPだったが、正直4話も費やすほど濃い話と言われるととても首を縦に振り辛い。

ただ、今回はそのやりたいことがしかと伝わってきた。
原作1巻分同様、アニメならではのトリックで視聴者を欺かせる手法は「成程」と頷けられるものがあったし、ぼくとしてはリリィちゃんをいの一番の見所さんとして視聴し続けているわけだが、そのやりたいことが本作の好きになれるところとして加え入れたくなった。すごく面白いわけではないけども、感心させられる魅せ方でもあった。我ながらふわっとした甘ちゃんである。良いんだよ好意的に見れるってのは。

◆痣

9話ラストで狙撃してきた奴は今シリーズの敵である屍…本人ではなく、グレーテちゃんの変装によるものだと前回明かされたが、痣そのものはグレーテちゃんが生まれつきのものだと今回明かされた。
そしてその痣を生かしてウーヴェさんにわざと狙撃させるというのはちょっと面白かった。

まあツッコミ所満載なんですけどね!
オリヴィアさんもツッコんでいたけど、いくらなんでも神業かってくらい変装がハイスピードなのは、そこはおやくそくとして流そう。ルパンやスパイファミリーのロイドさんみたいなものである。
グレーテちゃんはタイミングよくウーヴェさんの銃弾かわしてオリヴィアさんに命中させたとか、ウーヴェさん視力回復したなら髪色で目立ちやすいグレーテちゃん識別できたんじゃね?とか、そもウーヴェさんが必ず屋外でやってきて正確に射撃してくれるとは限らんだろとツッコみたい。ハッキリ言ってご都合主義の何者でもない。
けれど痣の更なる活かし方としてやりたいことは伝わってきたし、ガバガバで無茶苦茶なのを理解した上で嫌いになれない作戦だ。ぼくでもどうかと思うくらいツッコミ所が多いし、視聴中「そうはならんやろ」と苦い表情で見ていたけど、不思議と嫌いになれない。

そして今回の痣関連で一番感心したのは、8話のラッキースケベシーンでちゃんと痣を隠すように見せていたことだ。

第8話より

こういうときのためにドスケベ記録しといてよかったわ…

最初「え?痣が見えていたとか、それ後付けなんじゃないの?」と思ったが、自分の感想のキャプ見返したら良い具合に痣が隠れていた。
これは1,2話でエルナちゃんがウォーリーくんをさがせ感覚で隠れていたときのような視覚トリックだ。極上のケツでミスディレクションさせてやるぜ!というスタッフの狙いが伝わってきた。

まんまとスタッフにやられた…
クラウス先生はむっつりだとか変なこと言った人は謝ろうね!
なるほど、本作はこういった騙しを徹底していくつもりなのだろうなあと興味深くなってきた。果たして原作はどのように表現されているのか、トマリ先生の挿絵で魅せているのだろうか。
まあアニメは来週で終わりなのだが、分割2クールの可能性は微レ存だろうし、あったらあったで素直に楽しみにしたい。

しかしグレーテちゃんの痣エグいなあ…
これをクラウス先生が「美しいな…」と褒めていたのはちょっと無理があるというかあまり共感できなかった(ラストシーンも含めて)のだけれど、何かしらバックボーンと起因して納得できる可能性があるかもしれない。
そしてますます「愛娘」というコードネームが皮肉じみてきたし、呪いのような禍々しい痣のせいで親から愛されなかったのも腑に落ちた。いやそれで愛さないとかどんな傲慢な毒親なんだよって話ですけどね。

◆家族愛

Cパートでふたりドライブデートを果たすも、残念ながらグレーテちゃんの愛はクラウス先生には答えられなかったが、だがしかしクラウス先生は家族愛を求めているのは個人的にデカいフック要素だった。

元々クラウス先生は孤児であり、そんな自分を拾ってくれた師匠とは敵対してしまったり、焔メンバー唯一の生き残りだったりと、「家族」という二文字とは無縁である方なのだから納得だ。世界最強のスパイを自称しながらも、孤独に活きる悲しい男なのだろう。
恐らく、焔メンバーは家族のような存在として接したのかもしれないし、教え子たちである灯メンバー8人についてもそのように見てきているのではないかと推測したくなる。表情があまり変わらないのでそれが真実だと言える根拠はないのだが、今週更にクラウス先生の解像度が上がった。故にますます先生のことを知りたくなったのは嬉しい誤算だ。

◆暗殺者の屍さんパッとしなくね問題

恐らく、今回の敵はオリヴィアさんのほうに重きを置いていると思うのだが…屍さんは最後まで出番少なくて存在感が微妙すぎる敵でホントなんなんだこの人…
ハッキリ言って、中の人であるしこりんの無駄遣いではなかろうか。

Aパートではオリヴィアに悲しい過去からの屍さんとの出会い、そして彼に惹かれるエピソードが描かれたのだが、なんで惚れたのかがいまいちよく分からなかった。ていうか異次元の王子様って何だよ(哲学)
目覚めたときには大量虐殺していたやべーやつが目の前にいたというよくあるシチュなのだが、この人はどんだけ強くてヤバい暗殺者なのかが分からないのでふーん…程度の関心しか湧かなかった。

そして、今週Bパート終盤にてクラウス先生に戦闘描写なしでやられてトランクケースの中にブチ込まれた(恐らく僅かに息が残った状態でバラバラにされたのだろう)というのがあまりにも虚無すぎる。
クラウス先生をライバル視するも本人からはまるで相手にされないくらい弱すぎた…というのをやりたいのは分かるが(なんとなくだがクラウス先生なら負ける気がしないし)、予想以上にクソザコに魅せているのは正直どうなんだ…どこがどう不可能任務なんだかわからんぞ…
そこ勿体ないよなあ。クラウス先生の強さを描ける貴重な機会だろうに。未だにぼくの中では「なんとなく強いし敗北を知らなさそう」という、なあなあとしたイメージのままである。

あとオリヴィアさんもトランクケースの中に閉じ込まれていたみたいなのだが、あれ回避不可能なの??というかどういった原理でブチ込まれたの?あのスーツケースはミミックなの??
なんか雑にあっさり閉じ込められてて「なんだこれ…なんだこれ…」「エスパー伊東か?」ってなりながらEDをぼーっと眺めていた。

***

次回最終回です。分かっていたことではあるが、全然そんな気がしねえな!というか、今週が最終回であってもおかしくない気がする。無難にスパイ坂を上っていく終わり方になるのだろうか。


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