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どこにいても美しい『武士の娘』


初めて海外に行ったのは、高校生のときだ。一ヶ月はどの短期留学で、ヨーロッパへ行った。この経験はわたしを大学へと導き、今後の進路にも役立つものとなっている。

海外に行くと、日本と外国との違いに気付くことができる。

今回紹介する『武士の娘』は、そんな海外への価値観が綴られている本だ。


語り手は、杉本鉞子。明治から昭和を生きた彼女によるエッセイだ。武家育ちで礼儀作法を学び、女性として家庭に貢献する生き方を全うした。

当時の一般的な女性とちょっと違ったのは、結婚から海外で生活を送ったこと。本書では、著者が日本で培った精神・異文化への価値観が描かれる。

武家育ちの、日本伝統を重んじる教養を受けてきた彼女。海外生活にただ刺激を受けるだけではなく、冷静に周りを見つめているのが印象的だ。海外文化に影響を受けつつも、彼女ならではの視点で受け止めている。


どこに住むかによって人は変わるわけではない。土台がしっかりした人こそ、海外で輝けるのだと感じた。日本で培われた精神が、海外でより輝いて見えるのだろう。


通勤時間に少しずつ進めたのだが、かなり読み応えがある本だった。時間的にも、読了感的にも。

海外でより輝けるように、土台を培っていくことが大切だ。旅行などいけない今だが、精神を整えることはできる。

異文化に触れて成長を得られるのは、それからだ。そんなことを思わせてくれる本だった。


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