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ポイスドルフをさがして

バスは、盛夏のブドウ畑とヒマワリ畑の間を、慌ただしく駆け抜けた。

たかが、一瞬。されど、永遠の、美しいオーストリアの田舎街。

こちら側の車窓は、ヒマワリが皆そっぽを向いて、ブドウもまだ実をつけていない。反対側に座るべきだったのだろうか?

2015年7月、バルト三国とポーランドを周り、チェコを経てオーストリアのウィーンへ向かう最中に通りすぎた、トイレ休憩でも立ち寄らなかった、オーストリアの小さな田舎街。

一目惚れた。

まずは、裸の女性が歓迎してくれた。……もしかしたら、こちら側の席で、成功だったのかもしれない?
バス内でツアー観光者達が、案の定、騒ぎだした。
「本物!? ……いや、人形だ!! 」

そう、そこは「 アートの街 」だったのだ。


家屋の外壁にも、クラシックアートや現代アートが溢れて、彩られている。
目を奪う程にお洒落で、ブドウのデザインも大変粋である。

最も目を引かれたアートに、
ワインボトルの形をした、各々のお店によって特徴が描かれた看板がある。
各々の看板は絵が一枚一枚異なっていて、見ていて大変興味深い。



10分も滞在していない通過のみの、
ブドウ畑と、ヒマワリ畑と、アートに囲まれた、
チェコとオーストリアの国境沿いの、
オシャレな小さな田舎街。
名前を知りたくて、仕方がなかった。
街を知ってみたくて、仕方がなかった。


帰国して、即、旅のしおりを開き、オーストリアの地図を開いて、道を指して追ってみた。
インターネットでも、「オーストリア、チェコ、ワイン、ブドウ、ヒマワリ、アート、etc 」と、検索をかけてみた。

だが、この街が、何ともなかなか見つからない。
国境沿いには、小さな幾つもの街や村が散りばんで、限定の決め手をなかなか掴めない。
この画像も違う……、あの街でもない……。
もう探す術がなくなって、一年以上経ってしまった


日本では、ヨーロッパの、無名の小さな田舎街の情報はなかなか手に入らない。

ついに探し疲れて、もう探すのを止めようかと、自分の写真を数枚、手に取った。

そして、ふと気が付いた。


お店の名前だ!!!


そうと決まれば、
インターネットを急いで開く。
「……EICHENSTEINHOF、Austria 」を、
Google Earth Mapで検索してみたら、

「 Poysdorf 」

ポイスドルフの街が現れた。

やっと、この名前に巡り合えたのだ!
画像検索でも、Instagramでも、「 Poysdorf 」と入れれば、
この街の、あの時私も見た同じ景色が、目の前に並んで現れてくる。
何と言う感動だろうか!
本当に出会いたかった、知りたかった!
心から嬉しかった!



10分も滞在できなかったこの街、バスの車窓から見た、忘れられない素敵な街。
写真を撮り、思い出と写真をもとに、インターネットで駆け巡って、探して、ようやく見つけ出したこの魅力的な街。

もっと大好きになっていきたい、
今度は、もっと知ってから再び訪れたい、

私の #好きな街 である。

皆様も、旅の車窓から素敵な街が見えたら、
ぜひ、カメラを手にして、シャッターを切っていただきたいです。
そして、そのお写真から、その街を探し出してみて下さい。

きっと、そこから、皆様の新しい出会いと物語が始まると、心より思い、願っております。



赤城 春輔


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