GRⅢ HDFとGRⅢx HDFを買った理由
初めてカメラを手にしてから約5年、ずっと富士フイルムのカメラを使ってきましたが、遂に別のメーカーのカメラを手にすることとなりました。しかも2台同時に。
リコーのGRⅢHDFとGRⅢxHDFです。(以下、通常モデルとHDFモデルとを区別しない場合は、まとめてGRⅢまたはGRⅢxと表記します。)
なぜこのカメラたちを買うに至ったのか、今回はその理由について述べたいと思います。GRⅢまたはGRⅢxが気になっている方、カメラ選びに悩んでいる方、写真や映像を撮ることへのモチベーションが低下して焦っている方などの参考になれば幸いです。
前提として、僕は写真や動画で稼いでいるプロではありません。また、このnoteを書いていてよく分かったのは、自分はそれほど写真や映像を撮ることに関してクレイジーではないということです。
好きなのは間違いないですが、毎日欠かさず写真や動画のことを考えているわけでもなければ、頑張って苦労してまで最高の1枚を撮りたいと思うほどの熱量はありません。写真や動画やカメラに対してそのくらいの温度感の人間が考えたことだと持って読んでください。
GRⅢとGRⅢxを買った理由を一言で表すなら「軽くて小さくて写りのいいカメラが欲しかった」からです。はい、もうこれが結論なのですが、この一言では表しきれない理由や経緯があります。
だって、軽くて小さくて写真や映像が取れるモノならスマホがあるし、軽くて小さいカメラなら他にも選択肢はたくさんあるわけで、決して安くはないGRⅢとGRⅢxを買ったのにはそれ相応の理由と経緯があるわけです。
なぜ撮るのか
そもそも僕はなぜ写真や動画を撮るのでしょう。理由は大きくふたつ。ひとつはnoteやYouTubeで行っている発信活動のため、もうひとつはシンプルに写真や映像が好きだからです。
前者については、YouTubeはそもそも動画を撮らないと始まらないし、noteは文章だけでなく写真もあったほうが伝わりやすいため、写真や動画を撮っているのですが、それらの発信活動のため以外にも撮っているのは後者の理由のためです。
最終的にSNSに載せたりはしますが、そのために撮っているわけではありません。載せていない写真の方が量は圧倒的に多いですし。単純に撮るのが好きなのです。発信活動以外で撮る理由はこれです。むしろ撮るのが好きでYouTubeやnoteを始めた側面もあります。
なぜ写真や動画が好きなのか、なぜカメラが好きなのか、それはわかりません。何でもいいから好きな理由を挙げろと言われればいくらでも提示できるのですが、全て後付けのように感じます。そこで思いついた理由より先に好きという気持ちがあるからです。
本能的に直感的に撮るのが好き。好きだから撮る。シンプルな理由です。
なぜカメラで撮るのか
なぜカメラで撮るのか、スマホで高画質な写真を撮れる現代だからこその問いですね。これに対する答えは「スマホだと自分の納得いく写りをしないから」です。趣味の範疇ですから自己満足できるか否かが大切だと思います。
もちろん、スマホのカメラ性能の進化は凄まじく、エントリーモデルのカメラより高画質だったり、被写体や光などの条件によっては高性能なカメラとも張り合える写真が撮れるのは知っています。
ですが、あくまで自分の納得できる写りを出すためには、まだカメラで撮る必要があると考えています。
カメラと言ってもエントリーモデルからハイエンドモデルまで性能は様々です。デジタルカメラにおいて画質を決定づける最大の要因はセンサーサイズでしょう。センサーサイズが大きいほど画質は上がります。
大きい順に、中判、フルサイズ、APS-C、マイクロフォーサーズ、1インチなど、様々なサイズがありますが、自分はAPS-C以上は欲しいです。
もちろん「高画質=いい写真」ではありませんが、長らくAPS-C機を使ってきた身として、APS-C以上を求めてしまいます。理屈というより、いま使っているカメラ以下の画質を許容しづらいという感情論もあります。(フルサイズを使っていたら基準はフルサイズだったかも。)
現状、スマホに搭載されているセンサーは最大で1インチですから、センサーサイズの違い、言い換えると画質の違いはカメラで撮る理由になります。
では将来的にスマホの画質がAPS-Cサイズのセンサーを積んだカメラに追いついたらカメラは自分にとって不要になるのか。70%はYESで30%はNOです。
自分の納得いくクオリティの写真や動画を撮るという視点ならスマホで十分でしょう。むしろスマホの方が小型軽量で持ち運びが楽だし、撮った後のデータの取り扱いも便利です。
ただし、ダイヤルを回したり、ファインダーを覗いたり、撮影体験の楽しさという意味ではカメラで撮る理由になるのかなと思います。
カメラとは非常にロマンがあり、ガジェット好きの心を揺さぶるアイテムですが、冷静に考えてみると、もし仮にスマホで同等の写真を撮れるのなら、自分はカメラを使わないと思います。
少なくとも現状は、自分の納得できる写りを出すためにはAPS-Cサイズ以上のセンサーを積んだカメラが必要だから、スマホではなくカメラで撮ります。
僕のカメラ遍歴
初めてカメラを手にしたときから、メーカーとしてはずっと富士フイルムを使ってきましたが、何度かカメラのボディは変更してきました。そして機材構成を変えるときにはいつも何かしら理由がありました。
回数は決して多くありませんが、それを通して得た経験が、GRⅢとGRⅢxを購入した理由に繋がってきます。
2019年3月〜2019年6月
最初に買ったカメラは富士フイルムのX-H1でした。このカメラを選んだ理由は、当時SNSを眺める中で「いいな」と思った写真の多くが富士フイルムのカメラで撮られたもので、自分もこんな写真が撮りたいと思ったからです。
また、写真だけでなく映像も撮ってみたいという思いがあり、写真と同じ色味で動画を撮れる富士フイルムのカメラは非常に魅力的でした。
当時の富士フイルムのラインナップにおいて、ボディ内手ぶれ補正を搭載しているカメラX-H1のみで、動画を撮る際には手ぶれ補正があった方がいいことを知った僕はX-H1を選びました。
あと、富士フイルムのデザインが好きなのも大きかったですね。
2019年7月〜2020年3月
X-H1は半年も経たず手放すこととなりました。その理由は、重いし大きいしで持ち運ぶ気になれないから。どの程度から「重い」または「大きい」と感じるかは人それぞれだと思いますが、自分にとってはX-H1はそう感じました。
次に買ったカメラは同じく富士フイルムのX-T30でした。手ぶれ補正が搭載されていないなど、スペックとしてはX-H1より劣るのですが、それより小型軽量さを重視した結果でした。
最初は1台だったのですが、しばらくしてもう1台買いました。理由は、外出先でレンズ交換をするのが面倒だから。
X-T30はボディ内手ぶれ補正が無いため、動画を撮るときは手ぶれ補正機能付きのXF18-55mmF.2.8-4というズームレンズ、写真を撮るときは写りが好きなXF35mmF1.4という単焦点レンズという使い分けをしていました。
しかし、旅行先なのでレンズを交換しながら撮るのが面倒で、それならカメラが2つあればいいじゃない、と思ってもうひとつ買いました。
結果的にX-H1より重くなってんじゃん!とツッコミが入るかもしれません。まあごもっともなのですが、1台だけ持ち運ぶシーンに限ってはX-H1より小型軽量で、日常で何となくカメラを持ち運ぶ際の労力は大きく減りました。
2020年4月〜2022年7月
X-T30の2台体制は、X-T4の発売とともに終わりを告げました。手ぶれ補正を内蔵していながらX-H1よりも小型軽量、しかも動画と写真をワンタッチで切り替えられるという自分のストライクゾーンど真ん中の決定的なカメラが登場しました。迷わず予約して発売日当時にゲットしました。
X-T4にXF35mmF1.4を付け、動画も写真もその組み合わせで撮っていたことが多かったと思います。X-T4があれば自分の撮りたいものは撮れるし、機能的にも満足できるものでした。だからこそX-T4は今でも自分のメインカメラです。
実はX-T4の前にX100Vというレンズ交換式ではないコンパクトデジタルカメラを購入していました。(X100Vが発表された1ヶ月後くらいにX-T4が発表されました。)
いわゆるコンデジではあるものの、APS-Cサイズのセンサーを搭載しており、富士フイルムのフラッグシップ機と同等の写りで撮れるハイエンドなコンデジです。
身軽にカメラを持ち運びたい日はX100V、写真も動画もガッツリ撮りに行く日はX-T4と、シーンによって使い分けていました。
どちらも同じセンサーを搭載しているため、撮る写真には統一感が出ますし、特徴の異なる組み合わせは使い勝手がよかったです。
メインカメラにはある程度の機能性やスペックを求めるため、どうしても小型軽量とは離れていきます。小型軽量さを突き詰めるならば、メインカメラとは別のカメラを用意すべきだと学びました。
ちなみに、ボディはこの2台で満足していましたが、レンズは色々と試していました。
2022年8月〜現在
しばらくはX-T4とX100Vのゴールデンコンビで安定していたのですが、X100Vを手放すことにしました。理由はいくつかあるのですが、もっとも大きかったのは、写真や動画を撮ることへの意欲が低下したためです。
ずっとモチベーションを保つのは難しい。仕事で撮っているのはなく、単なる趣味ですから。2台同時にカメラを持ち運ぶような気分になれないどころか、カメラを持ち運ぶ機会も激減しました。何かしらイベントがない限り、カメラを持ち出すことは無かったように思います。
もう一つの理由はXF27mmF2.8というパンケーキレンズの第2世代版が発売されたことです。このレンズがあれば、今までX100Vが担ってきた役割、小型軽量と防塵防滴を、X-T4とXF27mmF2.8の組み合わせに置き換えることができます。
小型軽量さについてはX100Vに及びませんが、ボディ内手ぶれ補正という大きな特徴があるため、その方がメリットが勝ると思いました。
以前ほど写真も撮らないし、使わないのに持っていても勿体ないからX100Vは売りました。今ほどではないですが、購入時と同等以上の値段で売れたことも、X100Vを手放すことの背中を押しました。
また、同時に使用頻度の少ないレンズも全て手放しました。それでもたまに写真や動画を撮ると楽しく感じるし、YouTubeの動画を撮るのに必要だったため、X-T4を売るという選択肢はありませんでした。(その状況がしばらく続いたときにリリースしたnoteがこちらです。)
なぜGRⅢ HDFとGRⅢx HDFを買ったのか
ボディはX-T4、レンズは利便性のXF18-55mmF2.8-4、写りが好きなXF35mmF1.4、小型軽量で防塵防滴なXF27mmF2.8、この機材構成に落ち着きました。この機材構成は今も同様です。note用の写真やYouTube用の動画を撮るならこれで十分です。
そんな状況から気持ちが変化したのは、結婚式の前撮りを自分たち自身でやったことがきっかけに再び写真の楽しさや良さに気づいたからです。それから何気ない日にも写真を撮るためにカメラを持ち運ぶことが増えました。
日常的にX-T4を持ち運ぶことが増えて感じたのは、「重い」し「大きい」でした。最軽量な組み合わせであるX-T4とXF27mmF2.8で重さは約685g。レンズ交換式ミラーレス一眼カメラとしては軽い方だというのは分かっていました。それでも自分には重くて大きくて苦痛でした。
また、かつて使っていたX100V(約478g)でさえ、日常的に持ち運ぶには「重い」し「大きい」と感じていたことを思い出します。そこで、日常的に持ち運んでも苦にならないカメラが欲しくなりました。
これまでのカメラ遍歴から得た学びから、以下のような考え方でカメラを探すことにしました。
センサーサイズは基準が明確なので迷うことはありませんでした。問題なのは、どの程度の重量とサイズなら自分が許容できるかです。ひとつの基準はX100Vの重さ約478gでしょう。少なくともこれより軽い必要があります。
日常的に持ち歩いている他のアイテムをもとに考えてみました。まずはiPhone13mini(140g)、これは全然大丈夫。続いてiPhoneXS(177g)、これも全然大丈夫。iPad mini(293g)、けっこう重い。あ、もうここ(297g)が限界ラインのようです。
APS-C以上のセンサーを搭載していてレンズ込みで300g以下のカメラが候補になります。この時点で残った候補は、富士フイルムのXF10、リコーのGRⅢまたはGRⅢxです。少なっ!?思わず声が出てしまいました。(もし他にもこの条件に当てはまる機種があれば教えて欲しいです。)
富士フイルムのXF10、リコーのGRⅢ、GRⅢxを比較することになりました。主なスペックは以下の通り。あまり差がありません。
また、ネット上のレビューなどを見て分かったGRⅢとGRⅢxの方がXF10より優れている点は、オートフォーカス速度が圧倒的に速いことでした。
もう一方のXF10を選ぶメリットは、使い慣れている富士フイルムのカメラであり、フィルムシュミレーションという富士フイルム独自の色味を使えることでした。
なお、価格にも差はありますが、どちらも出せる金額の範囲内のため、判断基準には含めませんでした。どちらのカメラもリセールバリューが大きく落ちることはしばらく無さそうですし。
どちらにしようか悩んでいたのですが、ここでとある問題にぶつかります。どちらも入手困難なのです。XF10はすでに販売終了状態で中古品でしか手に入れる手段がなく、中古市場でもあまり出回ることはない様子。GRⅢとGRⅢxは生産が追いつかず新品は販売停止中、中古品はけっこう出回るものの、マップカメラやカメラのキタムラではすぐに売り切れてしまう模様。
最近のカメラ市場では、物欲と資金があっても手に入るとは限らないのが悲しいですね。そんな感じでどちらもすぐには手に入らないため、先に買える方を買おうと思い、暇なときにマップカメラやカメラのキタムラのサイトを見ていました。そんな折、Xでとあるツイート見かけました。
なんと、GRⅢとGRⅢxに新開発のHDF(Highlight Diffusion Filter)を搭載した特別仕様モデルが出るとのこと。しかもちょうど予約開始されたタイミングではないですか。「最後はこういう巡り合わせね〜」なんて思いながら速攻でGRⅢ HDFとGRⅢx HDFの両方を予約しました。自分が予約した数時間後には売り切れていたので、運が味方してくれたようです。
そして無事に発売日当日に手にすることができました。なお、HDFモデルである必要性は無かったのですが、通常モデルが内蔵しているNDフィルターよりはHDFフィルターの方が使用機会が多そうなので、その点でもラッキーでした。
なぜ2台買ったのか
ここまででGRⅢとGRⅢxを買うまでの経緯と買った理由は述べましたが、まだ説明していないことがあります。GRⅢ HDFとGRⅢx HDFの両方を買った理由についてです。
理由を述べる前にGRⅢとGRⅢxの違いについて説明します。両者の違いは画角です。GRⅢはフルサイズ換算で28mm、GRⅢxはフルサイズ換算で40mmです。手持ちの富士フイルムのレンズで画角の感覚は確かめることができたのですが、どちらが自分に合っているのか、結論を出すことができずにいました。
前述のツイートを見た段階で、いま予約しないとすぐ売り切れるだろうことは容易に想像がついたため、どちらにしようか考えて決める暇もなく、とりあえず両方買って試してみようと決心しました。
それに両方とも買った方が「やっぱり違う方を買っておけばよかったのかな」とか考えなくて済みますし。結果的にこの判断は正解だったと思います。
ここまであえて両者の画角の違いについて深く踏み込まなかった理由にもなるのですが、いまだに答えが出ていないためです。
実際に手にする前は、どちらかと言えば40mmの画角の方が好きかな〜なんて思っていたのですが、実際に両方を使ってみると、案外28mmの画角もしっくりくる場面が多いんですよね。
新しいカメラを買った直後の高揚感で気持ちにブーストがかかっている状態のため、今は両方とも持ち出しても負担に感じないのですが、次第にそのブーストも切れ、どちらか片方だけを持ち出すようになると思います。
どちらかに使用頻度が偏るのか、それとも満遍なく使うのか、どうなるでしょうか。なんとなく現時点では、妻や友達など人を撮る日はGRⅢx(40mm)、一人で出かけてスナップを撮るときはGRⅢ(28mm)になりそうな予感です。両方とも買っておいてよかった。
撮るモチベーションと日常的にカメラを持ち運ぶ意味
モチベーションが下がると、撮りたいというポジティブな気持ちが、撮らなきゃというネガティブな焦りに変わってきます。何度も経験しましたが、この心理状況はとても嫌な感じです。
『撮るのが仕事なら話は別だけど、僕が撮らなくなったところで、自分も家族も他人も困らない。なら、モチベーションとか考えて悩む必要ないじゃん。撮りたいから撮っていたのだし、その気持ちになれないなら撮らなくていい。いたかまた撮りたくなるはず。そのときを気長に待とう。』というのが撮るモチベーションに対して今の自分が出した答えです。
でも、撮るモチベーションが低いときでさえ、美しい景色や愛おしい表情に出会ったときには、写真や動画を撮りたいという気持ちが瞬間的にどっと湧いてきます。撮ることを通して、日常にも素敵な場面が多くあることを知り、それに敏感になったのでしょう。
その瞬間に思うのは「カメラを持ってくればよかった」です。スマホでも撮れるけれど、カメラの写りを知っているが故に、そんな思考が気持ちの昂りに水を差します。
撮りたいという純粋な気持ちのまま、カバンからカメラを取り出し、気持ちよくシャッターを押したいのです。それが自分にとっての日常的にカメラを持ち歩く意味なのだと思います。
モチベーションが低いときは、理由なく重いカメラを携帯する気になれません。でもGRⅢとGRⅢxなら。そんなことを期待しています。
長文を最後まで読んでいただきありがとうございました。最後にGRⅢ HDFとGRⅢ xHDFで撮った写真を何枚か載せておきます。ではまた。Harushikaでした。
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