鳥さん、ここにいたの？

　最近、マンションの鉄筋の階段の上に
夜、鳥が隠れる場所として居るようだ。
　というのもそこを通ると鳥の糞が数箇所落ちていた。ここ最近だけ。
　どんな鳥かは、分からないが一度だけ見たことがある。それは、最上階で階段の上の鉄筋の窪みの隅に丸く膨らんで、じっと夜を静かに耐え忍んでいるかのようだった。その姿から鳩やカラスではないのは確かだった。
　ここの階段は、見晴らしがいいので敵が来た時や素早く飛び立つのには最適な場所なのだろう。
　しかしながら、朝は氷点下になることもある。自然だと木にとまって夜を越すはずだろう。木は寒くてもましだと思うが鉄筋の鉄の冷たさを思うと少し可愛そうに思う。それに糞が落ちてくることから、掃除の方か管理人の人がもしかして追い払うのでは、と心配になる。
　先日は、黄砂が強い風が一晩続いた時があった。朝出勤の時、エレベーターを使わず階段で降りると、階段の至るとことに黄色いものが波模様になって黄砂がついていた。そんな風の強い日もあそこで鳥は避難していたのだろうかと、ふと思う。
　この何日か階段は糞もなく綺麗になっていた。
　掃除の人が掃除をしてくれたのか、管理人さんが鳥が来ないようにしたのか、それとも暖かくなって渡ってしまったのか、居ない気がした。
　人間が山を切り開いて自然が少なくなってしまったこともあるのだろう。
　鳥もまた、それに順応していかないと生きては行けないのだろう。
　少し鳥の気持ちになって寂しい気持ちになった。

　急に暖かくなって、各地で桜が開花しはじめた。
　そんな今朝、車を降りた時、どこからか鶯の鳴き声がした、今年初めて聞いた。
　季節は春へと向かっているんだな。それは人間も動物たちも虫たちも感じていることだろう。

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