シェア
はるのもみじ
2024年5月11日 10:52
ポンと鳴って沸いたポットの合図を聞いて、ポンポンと私の頭を撫でていた涼の手が、私の頭から離れる。気を遣っているのか、涼は、泣いている私の方向を見ないように背を向けて、ポットの方へと移動してくれた。その背中を見ながら私は思った。「たぶん、きっと私は涼のことが好きだ。」と。涼がポットのそばに置いてあった茶葉を取り出して、あたたかいお茶を淹れようとしてくれている。*******世の
2024年5月8日 00:03
「今、仕事終わった!今何してる?」時刻は19時半を過ぎた頃、涼から連絡が来た。「今私もちょうど、友だちと夕飯食べ終わって、友だち駅まで送るとこ!」そう返信して、私は食べていた作り置きのカレーを、急いで口にかきこんだ。結局、喫茶店で過ごしたあと、特に行く当てもなかったので私は一度家に帰宅した。お腹もすいたところだったので、数日前に作って冷凍しておいたカレーを温めて1人で食べていた。と、
2024年5月6日 22:40
「久しぶりー!やっと会えたうれしい♪」「うん、私も!ほんとめっちゃ久しぶりだよね♪」土曜日の昼前、予定通り、私は由奈と約束の場所で合流した。「由奈また綺麗になった?」「えー、そんなことないよー。けど、うれしい笑 美奈子はちょっと痩せた?」「うん、ちょっとここのところ仕事忙しかったからあんま食べれてなくて、確かに痩せたかも。」「そっかそっか。大変だったんだね。」「ううん、
2024年5月5日 11:55
「ねぇ、明日近くに行くんだけど、夜会えない?」最後に会ってから、約3か月が経とうとしていた頃、涼からメッセージがきた。「あぁ、あれ以来か。」私は昼休憩中の職場の周りの人に聞かれないように、ボソッと呟いて、携帯の画面をくるりと裏に向けてデスクに置いた。あの生理が来なかったときのことを思い出して私は身震いした。結局、あの後、病院からもらったピルを飲んではみたものの、全くと言っていいほ
2024年5月2日 10:46
涼に会ってから10日が経った。そして、私の生理は来なかった。ほぼほぼアプリがお知らせした日時よりいつも少し前か、ぴったりで来ていた生理が来ない。生きた心地がしなかった。私が前月の生理が来たあとに会った男性は涼だけじゃない。生理予定日より3日くらい前からそわそわと、別に用を足すわけでもなく私は何度もトイレに行った。けれど、下着の色は変わっていなかった。どこで何を間違えたんだろう。ゴムを
2024年5月1日 13:02
「ふぅ」と大きく息をはいて彼はくるりと背中を向けた。その背中をそっと指で撫でてみると驚くほどに冷たかった。さっきまで、私の身体全体を包み込んでいた熱い体温はもうそこにはなかった。彼の背中を指でなぞった後、その冷たさに寂しさを感じて、それと同時に悲しみも感じて、哀愁に浸っていられるほどの心の余白なんて私にはない。だから私だって、くるりと背中を彼に向けて、ベッドの下にあるバックからおもむろにタ