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星野源という人。

【まえがき】

2017年8月6日(日)、横浜アリーナで行われた星野源さんのライブツアーContinuesに参戦した。本当に本当に、素晴らしいライブだった。広いアリーナが超満員で、北スタンド9列目の席から全体を見渡すと、その光景はもう圧巻のひと言。なのにライブが始まると「ちょっと広めの源さんの部屋に、ちょっと大人数(実際は1万人以上)で遊びに来た」かのような錯覚に陥った。

オープニングの「Fire cracker」(YMOのカバー)で度肝を抜かれ、「化物」で心まで踊りだす。「透明少女」(ナンバーガールのカバー)の弾き語りにぐっと引き込まれ、「ギャグ」では歌詞が胸に沁みて、楽しいのに泣きそうになりノドの奥が熱くなる。曲について書きだすときりがないのでここまでにするが、とにかくあっという間の幸せな時間だった。

みんな自由に気持ちよく音に乗って、彼の生み出す音楽をその空間ごと贅沢に楽しんでいた。思い思いに全身で音を楽しむ観客のバラバラな一体感と、1人1人に向けて歌う源さんの確かな存在感とパフォーマンスが完全に呼応して、広大なアリーナはこぢんまりとした居心地のいい空間に変わっていた。

途中のMCで今回のツアーの趣旨が語られた。音楽は続いていく。ジャンルを超えて、音楽のDNAは受け継がれていく。鳴りやまない拍手に満面の笑顔を見せる彼に、こちらが少し泣きそうになった。そのとき不意に、今、歴史に名を残す人を見ているのだと思った。同じ時代に生きて、同じ空間にいられて、生で彼の声を、音を聴けるなんて、こんなに幸せなことはないと思った。

源さんを知った時から、知れば知るほど、「すごい人だ」という思いが止まらない。彼の魅力は言葉では言い表せないほど…と、つい言いたくなるのだけど、でも、少しでも自分の言葉で彼の魅力を表現したいと思うようになった。

それは源さんの「伝える力」を尊敬し、憧れているからだ。彼のように自分の言葉で、自分の好きなものを語れるようになりたい。
だから、ちょっと腰を据えて、時間をかけて星野源という人について書いてみることにした。ちゃんと納得がいくように書けるか分からないけど、とにかく書きたい。星野源さんを好きな人も、あまり知らないという人も、どなたでもぜひ読んでもらえたらうれしい。

彼を知って、私の日々の味わいは確実に豊かになった。日常に、彼の音楽や言葉が溶け込んでいる。私はもともと熱心な追っかけ体質ではないので、彼が出ている雑誌がたくさんあっても気になる特集を組まれていたらたまに買う程度だし、毎週オンエアされているラジオも仕事が忙しいと数か月まったく聴かなかったりする。それでも、新曲や映像作品が出たら必ず予約して購入したり、オフィシャルイヤーブックも買ったり、ライブにもできるだけ行ったりして、自分なりに大好きでいるつもりだ。そんな、ただのいちファンながら、恋人や家族や大切な友人のように、いつも心のどこかで彼の幸せを願わずにはいられない、私にとって源さんはそんな人だ。

彼の魅力を知るには、その作品を聴いたり見てもらったりすれば一番手っ取り早いとは思うけれど、少しでも文章で伝わるよう、書いていきます。第1章~5章まで続き、おわりにもひと言あります。ここから約7000文字というボリュームですが、よかったらお付き合いください。

【第1章:星野源、概要】

何しろ活躍の場が多岐にわたる方なので、まず「そもそも全部ひっくるめてどんな人なのか?」というのをまとめてみる。

1981年、埼玉県生まれ。音楽家・俳優・文筆家。

星野源の公式プロフィールでは始めにさらりとこう紹介されており、その肩書きどおり、彼はすべての分野で目覚ましい活躍を見せている。それが並大抵の努力では成し遂げられないということは確かだけれど、あまりにもすごすぎて、私にはその大変さを想像することすら難しい。

音楽、俳優、文筆。やりたいことが複数あった時に、無理にどれか1つにしぼらなかったのは、周りの意見に流されずに自分を信じているからこそできることだと思う。源さんを「いいな」と思う理由の1つが、そこにある。全部できたらかっこいいからやる、という強さ。できない理由を探すのではなく、できるようにするために動いてきた彼を、私は心から尊敬する。自分の気持ちに素直に欲張って、そのすべてにおいて努力をし続け、時間をかけてモノにしている。その結果が今の星野源なのだと思うと、本当に頭が下がるし、自分も頑張ろうと思うのだ。

そんな源さんは2017年に伊丹十三賞を受賞した。受賞式でのスピーチ全文がほぼ日の記事になっているので、こちらも合わせてぜひ読んでいただきたい。以下に一部だけ抜粋する。

自分は中学1年生の頃から演劇と音楽をはじめて、高校3年生の時から、文章を書ける人間になりたい、と思い、それぞれ勝手に活動をはじめました。音楽と演技は学校の中ではじめて、それがだんだんと仕事になり、そして文章はおとなになってから、それも、だんだん仕事になりました。

(中略)

もちろん、二足のわらじを、適当にやってたんではダメだと思うんですが、どの仕事もほんとうに大好きで、もうこれしかできないなと思っていたら段々と仕事になっていった、そういう感覚がありまして

(中略)

そして20代後半から、どこかに属する、というよりも、とにかく好きなことをやろうと、やりたい、一人前になりたい、そういう気持ちでどの仕事もやっていたら、こんなすばらしい賞をいただくことができました。

これだけでも、彼の仕事に対するスタンスが伝わってくる。型にはまらない、自由な信念の持ち主である源さんを、ひたすらかっこいいと思うのだ。

【第2章:音楽家、星野源】

源さんの音楽との出会いは、確か2014年はじめごろ。地上波で放送されていた映画『モテキ』でほぼフルコーラス流れた『ばらばら』だった。セリフのないシーンでゆったりと流れていて、その声、歌詞、メロディ、すべてに心を奪われた。映画自体もすごく面白くてのめり込んで観ていたはずなのに、歌が流れ始めると映像よりもその音楽に心を奪われ、すっかり聴き入ってしまった。

その時は知る由もなかったけれど、とても穏やかな曲なのに「クソみたいな女にクソみたいな振られ方をして作った」というエピソードを聞いた時は驚いて笑ってしまった。負のエネルギーをおくびにも出さず、ここまで見事に楽曲として昇華できるのがプロなのかと、本当に感心したのだ。

『ばらばら』を聴いてすぐに源さんのことを調べて、まず公式ホームページにアップされている動画の楽曲を全部聴いた。その全部をいいと思った。源さんの音楽は一人一人の隣に寄り添ってくれるような音楽だ。音作りへのこだわりは相当なものだと推察されるけれど、素人なので細かいことは言えず…とにかく聴いていて心地いいということだけは確かだ。歌詞の紡ぎ方も、独特で魅力的だと思う。皆まで言わなくとも大切なことが伝わってくる、詩のような表現。言葉の選び方。

世界は ひとつじゃない ああ もとより ばらばらのまま ぼくらは ひとつになれない そのまま どこかにいこう

(星野源『ばらばら』より)

源さんのラジオでは、くだらない話や真面目な話など何でもありで本当に面白いのだけど、何と言っても彼の音楽への造詣の深さがうかがい知れるのがたまらないところだと思っている。音楽の専門的な部分については、私にはとても説明できないので、音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる源さんの最新曲『Family Song』の解説を読んでもらうと非常に分かりやすいので、おすすめしたい。その解説の一部を以下に引用する。

彼が『YELLOW DANCER』のレコーディングを回想して「ブラックミュージックとJ-POP、とにかくその両方の手綱を離さないまま絶対に最後までいってやるんだ」と話していた、その執念の言葉が強烈に印象に残っているのですが、星野さんが意義を見出しているのはブラックミュージックを血肉化して、あくまでそれを「J-POPのなかで説得力のある音として鳴らすこと」なのです。

(中略)

ブラックミュージックを日本人である自分のフィルターを通してイエローミュージック化することは、現在の星野さんの音楽活動の最大のテーマになっていますが、それはもっと噛み砕いて言うならば、本場のソウルミュージック/ブラックミュージックを自分たちの生活圏内に引き寄せること、と考えていいと思います。

『YELLOW DANCER』は2015年12月に発売され大ヒットしたアルバムだ。その発売コメントで次の本人コメントを見た時、完全に舌を巻いた。

2011年にリリースした1stシングルのカップリング曲「湯気」から、コツコツと進めていた「自分の趣味である(ソウルやジャズ、R&Bやジャンプブルースなどの)ブラックミュージックと、己の音楽性の融合」を、全面的に追及したアルバムになりました。ブラックへの憧れと共に、日本情緒あふれるポップスを目指した結果、「イエローミュージック」と呼べそうな楽曲たちが生まれました。体だけでなく、心も躍るようなアルバムができたと思います。

源さんの昔のシングルのカップリング曲は「湯気」をはじめ「レコードノイズ」「ダスト」「もしも」「彼方」なども、ぐっとくる曲ばかりで大好きだったので、そうしたカップリングでずっと「実験」を重ねてきたのだと知って、改めて「何てすごい人なんだ」と思ったのだ。今をしっかり生きながら、未来を見据えて種をまき続けて、何年もかけて開花させるなんて、本物の努力の人だ。圧倒的な音楽センスがあって、その才能を努力で形にする彼の生き方が本当にまぶしいと思う。

源さんはかつて、SAKEROCKという最高に歌心あるインストバンドのリーダーも務めていた。SAKEROCKの楽曲を初めて聴いたとき、「昔からこういう音楽がずっと聴きたかったんだ」と思った。私は小学校~高校時代には周りで流行っている音楽に興味が持てず、今みたいに気軽に音楽を漁ったりできる配信サービスもなく、ほぼ音楽を聴かない暮らしをしていた。そんな当時の自分にその存在を教えてあげたかったなと、強く思う。好きな音楽のある暮らしは、驚くほど日々を彩ってくれることを、昔の私は知らなかった。

SAKEROCKは2015年6月に解散し、私が彼らの曲にハマったのはその後だった。せめて源さんを知ってすぐにSAKEROCKにたどり着いていれば…と、自分のリサーチ力を悔やみたくもなるが、後悔しても時間は戻らないので、彼らの素晴らしいアルバムたちを、これからもずっと大切に聴いていこうと思う。

そして、源さんがこれから生み出す音楽たちを、心から楽しみにしたい。

【第3章:俳優、星野源】

『逃げ恥』で一気に俳優としてブレークした印象が強いけれど、俳優業でも源さんは長い長い経験を積み重ねていて、その出演作の数々は大人計画のプロフィールに詳しく載っている。

正直に言うと、第一期の『コウノドリ』に出演していた時は、主演の綾野剛さんの演技があまりにも素晴らしくて、そちらに気を取られてばかりいたのだけれど、『逃げ恥』の細やかな演技を見て、俳優・星野源も大好きになった。

舞台、ドラマ、映画、コント等で場数を踏んできたからこそ、視線の揺らぎで感情を表現したり、絶妙な「間」を外さなかったり、思わずくすっとしてしまうコミカルな演技もできてしまうのだろう。これからどんな役を演じていくのか、今後がますます楽しみだ。

【第4章:文筆家、星野源】

文筆業に至っては、メールを書くのが壊滅的に下手だったから始めた、という驚きの経緯がある。これだけでも、もうすごい。文章が書ける人はかっこいいという憧れも抱いていて、自分もうまくなりたいから、仕事にしてしまって対価と責任が発生する中で腕を磨いていこうとする発想と覚悟と行動力に恐れ入る。なんと、最初の文筆の仕事は自分で雑誌の編集者さんに営業をかけて小さなコラムの枠をもらい、そこから徐々に枠が大きくなっていったという。そういうところを心から尊敬するし、とにかくもう、その心意気がかっこいい。

書籍化された最新作『いのちの車窓から』を読めば分かるのだが、実に読みやすくて、独特の視点を自分の言葉で見事に表現している。初期の『そして生活はつづく』も読み物として十分に面白かったけれど、その時とは違う文体を確立しているのが読み取れるのだ。一文だけ、引用させてもらいたい。

どんなにたわいないことでも、それをうまく文章にできた時、心の中が綺麗に整頓されたように、掃除したての湯船に入り、綺麗に体を洗ったようにすっきりした気持ちになった。

(『いのちの車窓から』「文章」p75より)

彼の「伝える力」は、やはりその文章にも表れている。呼吸するようなリズムで読める彼の文章が、大好きだ。

【第5章:人間、星野源】

ここでは私の思う源さんの人間的な魅力を(たくさんありすぎるので)箇条書きにしつつ、述べていきたい。

◆「お金を払った人に一番得をしてほしい」という考え方

彼は好きなアーティストのCD等を買う時には、それが廃盤等になっておらず世間に流通していれば、正規のお店で正規の値段で買い、作成者本人にきちんとお金がいくようにしている、というすごくヘルシーな感覚を当たり前に持っている人だ。大切なことだし、それをちゃんとファンにも伝えて啓蒙してくれるところも素敵だと思う。YouTubeにアップされる星野源のMVでは楽曲をフルでは聴けず、途中で特典映像に切り替わるのだが、それも「お金を払った人に一番得をしてほしい」からだと、ことあるごとに伝えてくれる。その映像自体もかなりおもしろいので、ファンにとっても嬉しい計らいだったりする。(個人的には『夢の外へ』のMVの特典映像部分が一番好きだ。)CDを買えば楽曲をフルで聴けるだけでなく、かなり力の入った特典映像も付いてくるし、素敵なジャケットも含めて毎度見事な作品になっているので、「喜んでお金を払いたい」という気持ちにさせてくれるのだ。

◆ファンとの距離感

ライブのMCやラジオ等で、ファンを友人のようにさり気なく気遣ってくれたり、ファンを信頼しているからこそフランクに話してくれたりと、その絶妙な距離感も魅力の1つだと思う。そして昔からのファンと新しいファンにまったく差をつけない、大きな包容力があるところもいいなと思う。自身の単独ライブやテレビの歌番組で必ず言う「どうも、星野源で~す!」というあいさつにもそれが表れていて、昔からのファンにも、そのとき初めて自分を知るかもしれない人にも、分け隔てなく常に同じ熱量で接しているのだな、と思う。さらに、ファンを囲い込むようなファンクラブの代わりに、1年かぎりの特典が付くオフィシャルイヤーブックの販売という形を選んだ姿勢ひとつを取っても、とことんいろんなことを考え尽くしている人なのだと思う。

◆あどけない笑顔とのギャップ

子犬のようなあどけない笑顔で大笑いしているかと思えば、楽曲の演奏中にはどこかセクシーな印象も受ける。そして堂々としていて男らしい一面をのぞかせたかと思えば、下品すぎない下ネタを華麗にさらりと言ってのけたりもする。つまり、自然体が何だかかっこよくて、どんなときもどことなく品がある人なのだ。

個人的に親近感が湧くエピソード

これは完全に個人的なポイントだけど、源さんは幼い頃、人好きがすぎて周りにうざがられ、徐々に暗くなっていった…という暗黒時代のエピソードがある。「うざい」と言われたことで自分の性格を歪めていった、という点が、実は幼い日の私も全く同じで、そんな過去を私は誰にも話したことがないので、彼に親近感を覚えずにいられない。暗かったという中学時代にも、彼は演劇や音楽に目覚め、明るい方向を見ていたという点で、当時何も希望を見いだせなかった私とは全然違うのだけれど、似たような苦い経験をしていたことに、時を超えて癒やしのようなものを感じてしまう。

◆人をほめるのが好きなところと、伝える力

源さんは人をほめるのが好きで、人の悪口を言わない。 人を嫌な気分にさせないのだ。そして、ラジオでもライブのMCでも、自分の言葉で相手に伝える力が、すごい。心がまるごと言葉にのっているようで、思いがまっすぐに伝わってくる。彼は、昔は人見知りだと公言していたけれど、ある日それが恥ずかしいことだと気づいたという。次の言葉を目にしたとき、心を見透かされたようでドキッとした。私もコミュニケーションを放棄していた人間だったから。

それまで、相手に好かれたい、嫌われたくないという想いが強すぎて、コミュニケーションを取ることを放棄していた。コミュニケーションに失敗し、そこで人間関係を学び、成長する努力を怠っていた。

(『いのちの車窓から』「人見知り」p99より)

そうして数年前から、嫌われてもいいから好きな人に好意を伝えるのをためらうのをやめたという源さん。私はまだまだ、心の扉のカギを開きっぱなしにできる相手は限られているので、源さんを見習って、もっと心をオープンにしていきたい。

◆常に「素」な感じがするところ

私は思春期からずっと「本当の自分とは?」という問いにとらわれていて、親しい人以外の前でなかなか素を出せない人間だ。だから、常に無理せず「素」な感じのする源さんが、本当に魅力的だと思う。そんな源さんのインタビューから、エゴについての話を引用したい。

その人個人っていうものが、その人個人たり得る瞬間って、エゴから解き放たれている瞬間だと思うんです。“俺を分かってくれ”っていう痛々しい余計な不純物が取り除かれた時に、本当の意味でその人にしかできないオリジナルな表現が出てくる。それを分かっていても、どうしてもエゴが出ちゃったりしていたのが、倒れる前までの自分でした。でも、倒れて入院していた時に、人は死ぬんだなってことが色濃く実感として分かったんですね。死んだ後って何もないんだなってことが分かったので、死ぬまで楽しく生きないともったいないなって。もっと色んな人に会いたいし、色んな景色を見たい。その時に初めて大人になれたような、エゴっていうものから解き放たれたような感覚があったんです。それがやっぱり楽曲にも出ていると思いますし、文章にも出ているんじゃないかなと思います。“俺を分かってくれ”とかじゃない、普通の自分のままでいられるようになったんです。

(「ダ・ヴィンチ」2017年5月号 インタビュー 「星野源の解体新書」より)

私は源さんがくも膜下出血で病床に伏していた時、源さんのことを認識しておらず、そのニュースさえ知らなかった。その時すでに源さんを好きだった人たちが、そして何より本人が、当時どんな思いをしたのかと思うと、胸が痛くなる。私が初めて参戦した源さんのライブは、彼が病から完全復活したツアーの「星野源の復活アアアア了!」(2014年4月9日NHKホール)で、文字どおりの完全復活を見届ける場面に立ち会うことができた。楽しすぎる演出に、お腹が痛くなるほど笑ったり、最高のパフォーマンスに心ゆくまで聞きほれた。源さんが復活してくれたその奇跡に、何度でも感謝したいと思う。

【おわりに】

源さんを見ていると、とにかく楽しんでいるのが伝わってくる。もちろん見えないところで生みの苦しみなどにもたくさんぶつかっているのだと思うけれど、自分も楽しんで、周りも楽しませて、プロの仕事をし続けている姿を見せてくれる。だから、ただ彼の楽曲が好きというだけでなく、こんなにも応援したくなるのだろう。目の前の「今」に全力投球しながら、彼は一体、何年先まで見据えているのだろう?

目覚ましい活躍を続けながら、昔から今に至るまでずっと変わらない、お客さんを思う誠実な仕事ぶりと、生み出される作品の圧倒的な素晴らしさに、ただただ息をのみ目を見張ってしまう。だけどそれと同時に、遠くにいる彼を想うと、笑顔で大きく手を振りたいような気持ちに駆られる。これまでに多くを与えてもらったことへの感謝の気持ちと、これからも変わらない応援の気持ちと、私も今を、未来を楽しむぞという気持ちを込めて。

彼は決して交わることのない道にいる人なのに、それでも確かにこの世界を併走しているような気分にさせてくれる、不思議な人だ。この先もずっと彼の活躍を1日でも長く見届けて、しっかりお金を払って応援しながら、楽しませてもらいたいと思う。

もしも、生きているうちに町なかで彼とすれ違うようなことがあれば、たぶん私は声をかけることなく、しばらくその後ろ姿をただ見送るだろう。そして、その背中に向かって心の中で大きく手を振り、また前を向いて、彼の音楽を聴きながら自分の行く道を歩き始めるのだ。

…去年の8月から少しずつ書きためてはいたものの、なかなか形にできなかったこのnoteを、『Live Tour “Continues”』Blu-ray/DVD発売を前にやっと公開できることを、うれしく思う。

星野源『Live Tour “Continues”』、2018年1月10日(水)発売!


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