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吉本ばななさんのことば

最初に読んだばななさんの本は何だったろう。確か小学校高学年か中学生の頃に初めて読んだ。『TUGUMI』か『キッチン』か『マリカのソファー』あたりだった気がする。

とにかく、ばななさんの文章を読んでいると心が落ち着く。登場人物や設定が過激だったりしても、作品に一貫して流れる癒やしの空気に、ふっと救われるのだ。

大学時代や会社勤めをしていた時、人間関係のストレスでどうしようもなく苦しくなると、ばななさんの小説に手を伸ばしていた。

『虹』『ハゴロモ』『白河夜船』『ハチ公の最後の恋人』『海のふた』…

読むと、すうっと心が落ち着いた。ストレスで知らず知らずに浅くなっていた呼吸が治り、深い呼吸ができた。

そんなばななさんがTwitterをやっているのを見つけたとき、小説ではない「ばななさんのことば」を聞けることに、とても感動した。

ばななさんのツイートの中でも、特に印象的だった一連の投稿がある。

このツイートを見たとき、「ああ、ばななさんだ」と思った。この考え方の源流のようなものを、私はばななさんの小説からすでに教えてもらっていた。

最近は仕事が忙しくて本を読む余裕がなかったのだけれど、先月Twitterで文庫本の発売を知り、久しぶりにばななさんの小説を買った。

『サーカスナイト』だ。(単行本は2015年1月に発売されてたのだけど、当時は本へのアンテナが著しく低くなっていて、発売を知らずにいた…。)内容は、こんなふうに紹介されている。

バリで精霊の存在を感じながら育ち、物の記憶を読み取る能力を持つさやかのもとに、ある日奇妙な手紙が届いた。「庭を掘らせていただけないでしょうか」。それは左手が動かなくなった悲惨な記憶をよみがえらせ……。愛娘の世話や義母との交流、バリ再訪により、さやかの心と体は次第に癒えていく。自然の力とバリの魅力に満ちた心あたたまる物語。

(amazon『サーカスナイト (幻冬舎文庫)』内容紹介より)

今週、仕事が少し落ち着いたら、旅先でゆっくり読もうと思う。心が苦しくて救いを求めている時でも、そうでなくてただリラックスしたい時でも、ばななさんの文章に心を浸すのは、ひたすらに心地いい。今回は、どんなことばに出会えるだろう。

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