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大切にする必要ありますか?~人間関係ブラックな職場を振り返って~

今日は、とあるツイートを見かけて自分の過去を振り返りながら、改めて大事だなと感じたことがあったため、お話してみます。

【人間関係を楽にするための方法】

ツイートをご紹介させていただきます。

こちらのツイートを投稿されたPocheさんは、アダルトチルドレン、モラハラ、性の悩み、親子問題など対人関係の悩みを専門とされている心理カウンセラーさんです。

私もTwitterでフォローさせていただいており、特に親子関係のことなど共感できる悩みが多く、”どうすれば楽になるか”のヒントを参考にさせていただいております。

今回ご紹介したツイートでは、”人間関係を楽にするため”に、自分が誰と付き合うべきか、誰を大切にすべきかについて説明してくれています。そして、自分の中に『自分には価値がない』と思っていると、”人間関係を楽にするため”とは真逆の方法を取ってしまうとのこと。

私は、親子関係だけでなく、学校や職場など、多くの人が集まる場所では常に対人関係の悩みを抱えてきました。そしてその多くは、上記の通り、楽になるのとは真逆の方法を取っていたからだと思います。

特に職場。

【人間関係ブラックな職場】

私が初めて正社員として働いたのは、某携帯ショップの接客販売の仕事でした。その後、事務職へ転職するのですが、今回はその2社目でのお話です。

初めて事務職として入社したのは、規模の小さな同族経営の会社(従業員数30人弱)でした。事務員は、営業事務・一般事務合わせて常時10人前後で、会社の規模の割に多く、その他は営業・配達員という構成でした。営業のトップは当時の社長(創業者)のご子息でした。

私は営業事務に配属され、2か月後に退職を控える先輩の仕事を引き継ぐため、マンツーマンで仕事を教わることに。直属の先輩は、年齢が近いことですぐに意気投合し、優しく接してくれました。一、二週間経つ頃には、退社後、一緒に駅まで歩きながら雑談したり、悩みを聞くようにもなりました。

前職では女性が多く、社員同士年齢も近かったことから、いつも和気あいあいとした楽しい雰囲気だったので、新しい職場でもそんな風に皆と打ち解けていけたらいいなと、初めは楽観的に考えていました。

ですが、入社して一週間経つか経たないかくらいで、不穏な空気を感じ始めるようになるのです。

【不穏な空気と違和感】

まず私が感じ取った空気の悪さは、業務中の事務員同士の会話でした。10人前後いる事務員の年齢層は20代前半~40代前半くらい。私は当時20代半ばくらいでした。

20代の方同士は、お互いあだ名で呼び合ったりため口を利くなど、とても仲がよさそうに見えました。一方、30代後半~40代前半くらいの方々は性格が結構バラバラで、20代の方と仲良く会話する方もいれば、一切会話に参加せず俯いて黙々と仕事をされている方もいました。

入社して間もない私から見ても、20代のあだ名で呼び合っている方々が権力を握っている(複数人いますが、以降総称してボスと呼びます)、良くも悪くも場の空気をコントロールしているというのは見て取れました。

例えば、業務中のこんなこと。

ボスに嫌われると、聞こえるような大声で悪口を言われる

ボスに電話を取らせてしまうと、大きな音を立ててガチャ切り後『電話取れや!』と怒りをぶつけられる(なのでボスが対応しなくて済むよう、普段は皆が急いで電話を取る)

トラブルやミスが発生した際、ボスを中心に『犯人捜し』で盛り上がる(建設的な理由ではなく、悪口のネタ探し・標的探しという目的で)

その他にも、内部事情を知れば知るほど違和感が・・・

『忘年会に行きたくない』『〇カ月後に辞めるつもり』『(派遣契約の方)次は更新はしない』というネガティブな内緒話

社内で仲の良い人同士(≠全員)で飲みに行くことは禁止という暗黙のルール(それが発覚すると、営業のトップ・事務のボスの機嫌を損ねるため)

こんな話を聞かされるたび、『ねずみさん(私)は、〇〇さん(ボス)に気に入られてるから大丈夫だよ』と言われ、先が不安で複雑な気持ちになりました。

【2年で50人以上が退職】

私は結局、その会社に営業事務員としてちょうど2年間在籍しました。そしてその間、沢山の退職者を見てきました。営業・ドライバー・事務問わず、一度出社して、次の日から来なくなった人も合わせると、その数は2年間で53人にも及びました。

”毎月、誰かしら退職あるいは来なくなるのが”普通”になっていました。『今度の人はひと月持つかな?』なんて噂が立つほどでした。今考えれば異常です。

とにかく社内では、いつも誰かがイラついていて緊張したムードが流れいました。ミスがあれば『犯人捜し』、もしもそれが自分達であれば『上司へ報告・相談』より、『どうにか丸く収められないか』『あわよくば隠蔽できないか』を優先して考えるなど、自分の常識では信じられないことが沢山ありました。

受発注や伝票入力など、どんなに気を付けていてもミスを0にすることは困難です。メーカーの発注締め時間1分前にFAXされてきた注文書を、読み上げる人・入力する人・チェックする人に別れて大急ぎで処理!なんて場面も珍しくありませんでした。

それでも、”どうにもならなくて担当の営業社員へ報告”する際には、毎回『なんで?』『どうすんの?』とふんぞり返りながら詰問され、チェック担当者と受発注担当者が並んで泣きながら謝罪。みんなそれが嫌で怖くて、『自分じゃない』という証明のために『犯人捜し』をしていたのです。

事務の中だけでなく営業さんはもっと、見ていて辛くなる場面がありました。

・朝礼の際、緊張で上手く話せない人がいると、営業のトップが目を見開いてキョロキョロするなど大げさなリアクションを周囲に見せ、笑いを取る

・ミスの報告をした際、全員の前で罵声を浴びせられる

若手社員は営業のトップのパシリにされる。(会社すぐ目の前の自販機に”いろはす(水)”を自腹で買いに行かされた人も。社内には給湯室もあり、水・コーヒーなど自由に飲める環境でした)

・所帯持ちの方が”家族の病気を理由に社内行事を欠席”しただけで、人格否定を含む陰口(「アイツは学習障害だ」など)を吹聴される(私も聞かされました)

・営業に向かう直前、会社の廊下でパニック障害の発作を起こして倒れ、救急車で運ばれる(その後まもなく退職)

社内行事は暗黙の了解で強制参加(営業トップが発案した行事が、参加者が少なく流れたことがあり、その後一週間以上機嫌が戻らず、会社に姿を現しませんでした。結局、部下が気を遣って企画し直し開催…)

中堅の営業さんが、ある日午前中に突然退職の挨拶し、昼休み中に退社。直後、営業トップが部下を引き連れてデスクの引き出しを漁り『うわーきたねー!w』等と全員の前で笑い者に。(辞めた営業さんは優しくユーモアのある方でしたが、退職直前はストレスと過労で白髪だらけになっていました。)

他にも、挙げればキリがないほど信じられないことの連続で、自分の感覚までマヒしてくるようでした。そんな職場だったので、ある程度続けば『すごい』『えらい』『頑張っている』と評価される一方、『(出来る人なのに)もったいない』とも言われる環境でした。

辞める人の数をカウントするようになった頃には、私も辞めることを本気で考え始めていました。

【私は心の綺麗な人間?】

そんな職場でうまくやっていくためには、とにかく、

・標的にならないこと

・権力ある人に好かれること

・必要とされる人間であること

が重要だと考えました。

かと言って、私は人の悪口は決して言いたくありませんでした。それは『自分の正義感が許さない!』という綺麗ごとばかりではなく、周りの様子を観察するうちに、『悪口・陰口で深まった絆はすごく脆い』というのを学習したからです。

実際、簡単に仲良くなるには”共通の敵”を作って、一緒になって悪口を言うのが一番手っ取り早い方法でした、特に個人的な付き合いがタブーとされるその職場では…

だから、大体盛り上がっている会話の殆どは、誰かを”馬鹿にする”、”悪口を言う”、”告げ口する”という内容でした。

私は自分からはそれを口にしなかったものの、中立の立場でいた分、人から聞かされることは多かったです。だけど『その話に乗ってしまったら最後』と思っていたので、本気で同意する内容でない限り、はっきりと肯定することは避けました。特に事務員同士の話題には注意が必要でした。

昨日まで互いの陰口を裏で言い合っていた二人が、翌日には別の誰かの陰口で盛り上がって急に親密になっている。そして別のときにはまた、敵同士に戻っている。それを何度も見ました。だから、目的が何であれ、敵を作るのは怖かったんです。立派な人間、綺麗な心の持ち主というのではなく、ただ臆病なだけだったんです。

【”ツンデレな人が好き”という勘違い】

そんなビクビクしてばかりの日々で、私はものすごい勘違いをしていました。『私は”冷たそうに見えるけど優しい人”とか”一見怖いけど可愛げのある人”が好きなんだ』という錯覚です。

陰口を言って盛り上がりたくはない。けれども、辞めずに働き続けるには、嫌われない人間である必要がある。

まず”必要とされる人間である”ために。

振られた仕事は断らず、人の残業も積極的に手伝いました。(当然残業代は発生しない)また、退職者の穴埋めのために(私に何の相談もなく)翌日から丸っきり別の業務を任されるという場面でも不満を言わず従いました。理不尽に思える待遇も『期待されている』『スキルが身につく』『転職したときに役立つ』と前向きに捉え、なんでもこなせるようにしました。人間関係の衝突も少なかった分、上司にとっては使いやすい駒だったと思います。

そして、”権力ある人に好かれる”ために。

いつもイライラしていて近づきにくいし、私も裏で何か言われているかもしれないし・・・と、本当に怖かったです。が、あえて積極的に話しかけるようにしました。相手をほめたり、お菓子を配ったり、冗談を言っていじってみたり。内心は恐怖でどうにかなりそうで、手足も震えて脂汗を浮かべていても、表情は笑顔で声も明るく。

それに対して、喜んでくれたり自分に好意を示してもらえると、安心するあまり涙が出るほど嬉しくなりました。

だから、『私はこういう、ツンデレっぽい人が好きなのかな』なんて思うようになっていったんです。(相手は女性ですが)

【苦手な人にすがった結果】

ようやく本題に戻ります。

ここまで話してきて、私がいかに”人間関係を楽にするための方法”と真逆な方法を取っていたかがお分かりいただけたかと思います。

1. 自分を大切にしてくれない人(職場)にしがみついていました。

『せっかく念願の事務職に異業種から転職できたんだから』『辞めても次が見つかる保証もない』と、明らかに自分が摩耗する環境に固執していました。

2. 大切な人を大切にできませんでした。

仕事の愚痴を聞かせたり、車での送り迎えやどこかに連れていってもらうこと、全てに感謝を伝えられていませんでした。八つ当たりも沢山しました。大切にしてくれる人をストレスのはけ口して、いつも傷つけていました。

3. 嫌いな人に気に入られようと必死でした。

苦手な相手に対しても、”私が努力すれば”と信じて向き合っていました。『その人が好きなんだ』と自分を洗脳しているほどでした。そのおかげで2年間は標的にならずに働けました。けれど、最終的には私も敵に回されました。表立って悪口を言われることさえなかったものの、居心地の悪さを感じて退職するに至りました。

【大切にしてくれる人に目を向けて】

改めて、これが何より大事なことだと気づきました。

どんなときも傍にいてくれる夫。否定的な言葉や態度はほとんどなく、『いいね』『やってみたら?』と一緒に楽しんでくれる彼のおかげで、これまでに思いつかなかったアイディアがぽんぽん浮かんでくるようになりました。

いつ会っても『昨日の続き』みたいな空気に引き戻してくれる親友。車で3時間強の距離に住んでいて、互いに家庭もあり頻繁に会うことはできない今ですが、会えば空白などなかったような安心感をくれる大好きな友達です。

励まし共感し合える仲間や教えを授けてくださる諸先輩方。私の場合はネットを通じて知り合った方ばかりで、お会いしたことはありませんが、こんなに『応援されている』『認められている』と感じたことは、今までの人生でありませんでした。

『誰にでもいい顔をしなければ』『人によって態度を変えるなんて悪だ』と、一番自分を苦しめていたのは私でした。

”誰かを傷つけることを望まない”からこそ、大切にしてくれない人、嫌いな人にあえて関わって自分の心を消耗させることから離れるべきなんですね。

”人間関係を楽にするため”に、大切にしてくれる人達を大切にしていきたいと思いました。

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