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「神様のカルテ」 夏川草介

  はるなつこの読書感想文第3弾、、。ようやく、大学の授業で取り扱った小説ではなく自分の趣味での読書に取り組む時間が出来ました。


 この本を読むのは2度目、1度中学生ぐらいの頃に読んだのですが、最近出た新刊が読みたいので1巻から読み返すことにしました。


 あらすじとしてはこんな感じ。

地方の年中無休病院に務める主人公、栗原一止。人手が足りない激務の中で一人一人の患者さんと向き合う生活を送るが、大学病院からの推薦を受ける。毎日毎日目の前の人だけで一生懸命な地方病院と、医療の進歩の一端を担い、未来の患者さんのために時間を使う大学病院、どの生き方を選択すべきか。自分の生き方を見つめる一止であるが、その間も患者さんは途切れない。様々な最後を迎える患者さんや個性豊かな仲間と共に過ごす時間が人生を考えるきっかけになるはず。

 作者の夏川草介さんは自身も地方病院に勤めているお医者さんです。そのためか、今の医療のリアルな実情や、お医者さんの内面が垣間見えてすごく考えさせられる作品でした。

  私の心に残ったセリフをふたつ、紹介したいと思います。

学問を行うのに必要なものは、気概であって学歴ではない。熱意であって建て前ではない。
笑うものあらば笑うがいい。貴君は常に前進してきたのだ。我々がその証人だ。

御嶽荘の住人、学士殿に一止が言うセリフです。地方医療の担い手として、内科の医者でも夜の緊急外来では緊急医として内科外科関係なく診断し、必要なのは医者かどうかの違いだけ、そんな環境で働く一止が言うこれは何か妙に説得力があるように感じました。必要なのは肩書きじゃない、中身だ。そんな風に言い聞かせて言い聞かせて医者を続けているのだと思います。毎日目の前で人が亡くなり、自分の無力さを実感する日々でそれでもなお、自分は前進してきたのだ。そういう風にはっきりと言いきる言葉に感動しました。


また、次は患者さんに一止が言われるセリフ。

一に止まると書いて、正しいという意味だなんて、この年になるまで知りませんでした。でもなんだかわかるような気がします。人は生きていると、前へ前へという気持ちばかりが急いて、どんどん大切なものを置き去りにしていくものでしょう。本当に正しいことというのは、1番初めの場所にあるのかもしれませんね。


“止まる”か、“進む”か。その問いはこの本の中のひとつの大きなテーマだと思います。“進む”医療の大学病院と、“止まる”医療の地方病院。“止まる”人々の集まる御嶽荘の仲間たちと、そこから一歩“進む”学士殿。地方に“留まる”一止と世界を股に“進む”ハル。そして、人生の終わりに一旦立ち止まって後ろを振り返る瞬間。そんなことが描かれた本だと思います。“進む”ことだけが、本当に正しいのでしょうか、そんなことを考えてしまいました。


さぁ次は2巻!明日で2巻&3巻を読み終え、DVDに手を出すのが目標です!!本活するぞ!!



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