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Photon

実験作であり詩編とは呼べぬものです。
区切り線より下にしまっておきます。
拙い言葉にお付き合い頂けましたら、以下。


手向ける場所は最早どこにも存在しない
わたしが歩く地の上には
探せども 探すほどに
ありはしないと 知っていくだけ

ならば 風に
そして 空へ

仰ぐのではなく 視線を合わせ
手向けよう この想いを この心を

いつからそこにあったのか
何故わたしがそこにいるのか
分からないまま
注ぐ光のように 寄せる波のように
心を揺さぶり 歩く道を示した

そんな訪れる筈もなかった時間を
記憶という容れ物にしまって
わたしは名付けられぬ時を歩く

わたしという人生は華に非ず
わたしという存在は実を結ばない
ならば忘れずにいよう
誰もが忘れ去ってしまう光子のようなできごとを

わたしという砂粒を入れた砂時計
その上が空になるまで忘れはしない
砂粒のように小さく 
見えぬ時間をさらさらと零して
最後のひとつぶが落ちてしまったとき
砂の粒は光の粒子と 
またひととき交わるのだろう


春がゆき夏が訪れる間を縫うように雨が降る
雨粒が宿す陽の光をわたしは見ている

その光の中にあなたがいる

その光の下でわたしは生きている


     ―光は粒であり、光は波である。


拙稿をお心のどこかに置いて頂ければ、これ以上の喜びはありません。ありがとうございます。