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三浦春馬さん『日本製』を辿る 京都・開化堂

僕は伝統工芸を作っている意識はありません
    - 京都・開化堂店主 八木さん

『日本製』の京都のページで紹介されている、老舗手作り茶筒の店・開化堂さん。京都の伝統工芸の後継者6人で結成した、プロジェクトユニット「GO ON」に参加していらっしゃいます。

100年経った茶筒が、いまだに修理に帰ってくると語る店主の八木さんは、「だから100年後も同じことをしていなくてはいけない」という伝統を守る気持ちと、「GO ON」の活動を通して海外へ進出するなど、未来を見据える気持ちの両方を持ち合わせた熱い人だと感じていました。

開化堂の茶筒との出会い

ちょうど『日本製』の京都のページを読んだころ、松屋銀座のイベントスペースで「第12回 銀座・手仕事直売所」が行われることを知りました。このイベントに『日本製』で紹介されていた開化堂さんと金網つじさんが、出店されると聞いたので、会社帰りに足を運んでみたのです。

その時のことは以下リンクに書きました。八木さんと少しだけお話ができたのですが、思っていたよりずっと物腰の柔らかい方でした。茶筒のことを話す姿に、ものづくりに対する熱い思いの欠片を感じたことを、覚えています。

我が家にお迎えした茶筒

今、このイベントで購入した開化堂さんのブリキの茶筒を、使っています。イベントスペースに展示してあった、20年もの、40年もののブリキ缶。その経年変化に惚れ惚れした私が、思わず買ってしまった逸品で、ずっと大事にするつもりでいるものです。

八木さんが『日本製』で、「開けた瞬間の気持ちよさ」を大切にしていると語っている通り、外側の蓋を開ける瞬間、手のひらにわずかな抵抗を残して、最後に高めの心地よい音を立てながら蓋が開くのが、何とも気持ち良いのです。

気密性の高い外の蓋は、継ぎ目を合わせると手を放しても勝手にスーッと下がっていきます。買った当初は、テンションが上がってしまって何度も試してしまいました。動画に録ったこともあります。

経年美化

「経年美化」は、NHKの「世界は欲しいものにあふれてる」(せかほし)の中で、三浦春馬さんが使った印象的な言葉です。ご自身が普段使っていた漆器に対して語るときに出た言葉ですが、年を経るごとに、その品物が醸し出す美しい変化のことを、そう表していたと記憶しています。

普段から、ものに対する「経年美化」を感じておられたのでしょう。

開化堂さんの茶筒は、その「せかほし」の中でJUJUさんが、春馬さんからのプレゼントとして紹介していました。可愛いデザインの銅製の茶筒でした。

茶筒の経年美化は、春馬さん自身『日本製』の取材時に、強く感じておられたのではないかと思っています。私が「第12回 銀座・手仕事直売所」で開化堂さんの茶筒の経年変化を、拝見したとき感じたように。

その経年美化していく茶筒を、年上の女性にプレゼントするとは。春馬さんの贈り物のセンスの素晴らしさに脱帽しました。とても20代の男性のチョイスとは思えません。

お若い方に、この感動は伝わるでしょうか。どのように言葉を紡いだら、お若い方にも伝わるか考えましたが、今は言葉が見つかりません。

あえて文字にするとしたら、

「年を経て、若い時とはまた違った魅力を放つあなたは素敵です。これからまた重ねる月日がくれるあなたの魅力を、大切にしてください」

と、メッセージを送られているような気持ちになります(個人的見解です)。

今、手元のブリキの茶筒には紅茶が入っています。開けて淹れるたびにJUJUさんと春馬さんが「せかほし」で笑いあって、楽しそうにしている姿が浮かんでくるようで、心がほっこりします。

ものづくりに携わる者同士の共鳴

『日本製』京都のページの最後には、春馬さんと職人さんが意気投合する様子が書かれています。

取材中お昼を一緒に食べているときに、暑くなった春馬さんがタンクトップになったら「脱ぐと凄い」ことが職人の皆さんにバレてしまいました。ちょうど「キンキーブーツ」の再演後だったようで、ゲネプロの動画を取材先の職人さんたちに見せたら、職人さんたちが唖然。

「ドレスで隠れているけれど、その中の身体をこんなにちゃんと作るものなんだ」ということに感動していらっしゃいました。下地をおろそかにしないという点に、職人さんたちが共鳴するところがあったのかもしれません。

徹底した役作りをする春馬さんと、良いものを作るための準備を怠らない職人さん。職人気質とは、こういう仕事をする人たちのことを言うのだろうな、と感じました。

終わりに

最後に、伝統を未来につなぐ「GO ON」プロジェクトに携わっている皆さんに、感銘を受けた三浦春馬さんは、こんな風に語っていました。

「僕も、受け継いだものをしっかりと伝えていきたい」

春馬さんが受け継ぎ、表現者として見せてくれたものをずっと大切にするのはもちろん、縁あって我が家に来た茶筒の経年美化を、ゆっくり楽しみたいと思います。

開化堂さんのホームページへのリンクを貼っておきます。

この記事は、12/6の「三浦春馬さんがくれたもの」アドベントカレンダー対象記事です。



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