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宇宙のなみだ|日記(8/1-8/3)

8月1日(木)
旅行の翌日ということもあって、二人ともぐっすり眠れた。リビングを確認すると、夫は早くも荷物の片付けを終えていた。私は未だかつてないほどの量の洗濯物を30分かけて干す。荷物を片付ける気があまり起きなかったので、夫と一緒に日用品の買い出しに出かけることにした。カルディやドラッグストアを渡り歩く中、暑くて一気に買い物を済ませようと思っていたので無口になってしまった。
ようやくやる気が出たので、家に帰って荷物の片付け。お土産をラッピングしたり、作った置き物を飾りつけるのが楽しい。外食続きだったこともあり、お昼は野菜たっぷりの焼きうどん。

鰹節をたっぷりかけて

午後は夫と二人で近所のベローチェへ。PC作業や読書をして2時間ばかり過ごした。夜ご飯には夫がソースカツ丼を作ってくれた。会津若松の名物だけど今回は食べなかったので、まるで旅行の続きみたいだ。

8月2日(金)
朝から夫は同期と電話。今度行く夏フェスの相談らしい。彼が電話している間に家事をこなす。昼前、少し離れた街にフェスの持ち物を買いに行くとのことだったので同行する。結婚前によくデートした街だったが、お店がいくつか新しくなっていた。どこにするか迷ったが、初めて入るイタリアンで昼食をとることに。私はイカとアスパラのタラコパスタを、夫はボロネーゼを注文。併せて頼んだガーリックトーストは二人で分けることにした。家では再現できないタラコパスタの旨みに驚く。グレーのお皿もおしゃれだ。かなり好みの味で食欲が止まらない。最近はずっと生理前と同じくらいお腹が空いている。

俯瞰した写真を撮ろうとする夫がチラリ

食後はぬいぐるみを物色したくらいで、早めに帰宅。温かいほうじ茶と旅館でもらった温泉饅頭を用意して、ソファで寝転ぶ。畑野智美さんの『消えない月』を読み進める。ストーカーの被害者と加害者の両側を描いた作品で、ハラハラして物語に引き込まれる。逃げても逃げても追いかけてくるストーカーが怖くもあるが、たまに期待して気を許してしまう被害者の弱さもわかる気がした。最後はまさかと思う展開に驚かされる。読了するまで夢中で読んでいたら、夕方になっていた。小学生の頃、山田悠介さんの『キリン』を読んだ時もあまりにも面白くて晩ご飯の時間までずっと読んでいたなと思い出す。
読書を終えた後は、季節外れの鍋作り。メインはたっぷりの白菜と鶏肉。冷蔵庫にあった豆腐も入れたら、盛り沢山になった。夏に鍋のイメージはないけど、冷房や冷たい飲み物で身体も冷えるから、芯から温まる気がして美味しく食べることができた。

8月3日(土)
今日は義実家と食事会。久しぶりに会えることもあって、ずっと楽しみにしていた。丸の内に行くのできちんとした格好をして、夫と電車に乗る。車内では西加奈子さんの『白いしるし』を読む。圧倒的な才能を目にした時の感情は、恋に限りなく近い。決して綺麗なものばかりではないその感情を、西さんはとても上手く表現していた。昨晩、夫に大学時代の男友達について話した。坂元裕二や宇多田ヒカル、笹井宏之の作品を教えてくれた彼は、今の私を形成してくれたと言える。恋愛ではなく最後まで友情だったのになんとなく夫に話せなかったのは、精神的豊かさへの憧れと恋愛の線引きを上手く伝えられるか不安だったからだ。偶然にも今朝読んだ小説が、昨日の会話とリンクする。
数日ぶりの東京駅。駅に着くと少し緊張してきた。夫の案内で新丸ビルに向かう。初めて入った建物だったが、内装が美しく思わず写真を撮った。

陰影がきれい

義父母と義弟とは8ヶ月振りの再会。時間通りに集まり、皆んなでフレンチレストランに入店する。前回は緊張であまり話せなかったので、今回は出来るだけ話すことを目標にしていた。まずはお互いの近況を報告し合いながら、前菜を頂く。と思ったら前菜が3種類くらい出てきて驚いた。フレンチなのに和風のお吸い物のようなものもあった。中でも美味しかったのは魚料理。グレー地のお皿に散りばめられたオリーブオイルが宇宙の涙みたいで感動した。話題は義母の抱えている悩みに移る。仕事の人間関係や自分の両親の介護など、とてもストレスが溜まっているようだった。義父が「自分を悪者にしていいから、夫がこう言っていると職場で話していいから」と義母に言ったらしく、夫に似ているなと思った。とにかくストレスが少しでも軽減されることを願う。義弟は寡黙であると知っていたが、可能な範囲で仲良くなりたかったのでたまに話しかけてみると目を合わせて会話をしてくれた。小説の登場人物のような彼とお近付きになれて、内心とても嬉しかった。
美味しいご飯を食べながら、旅行先や好きな動物の話など和やかな話もできた。そしてふと気付くと自分が素で話していることがわかった。会話のテンポや空気感が一緒で、同じくらいの人数だったらどんなコミュニティより居心地が良いと思える。それは夫が私が話しやすいように気を回してくれたことも関係しているが、大人になって居心地の良い家族に新しく出会えることってあるんだ、と思った。

義父にごちそうになった

食後はすぐ解散して(こういうあっさりしているところが良いなと思うポイント)、夫の仕事で使うシャツを見に行く。たまたま今日その店の服を私が着ていたのを店員さんが気付いてくれた。ネットで買う下見だったが、夫にぴったりのサイズやデザインが見つかって良かった。
その後はオアゾの丸善へ。どこに行っても本屋に行く二人。特に何も買わなかったが沢山の人が居るのを見て、本好きの人ってこんなにいたんだ…と驚いた。帰り際にスタバを買って、電車に揺られながらゆっくりと帰宅。家に帰った後、夫が「弟は昔は人気者キャラだったけど、今は変わった」と話していて、私が「でも今の方が素敵だと思うな」と返したら「それは弟もとっても喜ぶと思う」と嬉しそうに言ってくれた。自分の周縁が広がった夏休みを締めくくるいい一日だった。

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