桜、そして「春の狐憑き」~『桜の首飾り』より~
桜の頃の京都 桜の頃。京都はとてつもなく大勢のひとでひしめき合う。日本中のひとがみんな京都に来ているのでは、と思うくらいだ。自動車で動けば駐車場はどこも満車で身動きが取れない。タクシー移動だと車が故障しているのでは、と感じるくらい動かない。市バスも乗客が多く、何台も待ち、やっと乗れたと思ったら、ぎゅうぎゅう詰めの車内で足が床に着かない。では、歩いてゆこうと外に出ると、これまた通りの横幅いっぱいに広がるひとの波。これが通りの縦にずっと続く。この人びとをかきわけて進んでいると、サ