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春華モモ 本の虫になる#2 好きなものを好きなように食べることは実は幸福度が高い『ひとりで食べたい』

「好きなものを好きなように食べるということは、実はかなり幸福度が高いのではないだろうか」

『ひとりで食べたい』(野村 麻里 / 平凡社)


家(京都自宅)では、わたしひとりで暮らしている。家が大好きなわたしは、ひとりで食事をする。それは、ほとんど毎日だ。
基本的に何事においても「作ること」が好きなので、料理、というか食べるものを作るのは、上手か下手かはさておき、嫌いではない。もちろん、作るのが面倒な時もある。そんな時は、近所のスーパーや大丸でその時に食べたいものを、そしてすぐに食べられるものを調達する。外食もするが、それはひとりであることも多い。でも、基本的には家でひとり食べることが多い。

近頃思うのが、あと何年、健康に生きられるのだろうか、ということだ。そう思うと、食べ物の好みや量、ペースが合わないひとと共に食の場を持つという満たされない時間はいかがなものか、と考えてしまう。わたし自身が美味しい、楽しい、満たされる、と実感できる、「好きなものを好きなように食べる」という「幸福度が高い」時間を持ちたい。
だから、ひとりで食べることは必然だ。

なにも、特別に、とか、わざわざ食材を買い込むばかりではなく、冷蔵庫のありもので、何か、どんなものが作れるか、と考えるのも楽しい。このような感じで作ったものは、結構おいしい。そして、二度と同じものを作れた試しがないことも、また面白い。

『ひとりで食べたい』のなかで特に好きなのは、書下ろしの第三章全篇。そして、タイトルにもなっている「ひとりで食べたい」。
「ひとりで食べたい」から、さらに好きな文章を引用する。

ひとりでの食事は孤食などといわれ、一般的にイメージが良くない。ひとりで食事をするのが嫌な人もきっとたくさんいると思う。
でも、好きなものを好きなように食べるということは、実はかなり幸福度が高いのではないだろうか。そんな風に感じるように最近なってきた。
もちろんひとりの食事の弊害というのもある。それは私の場合、いつもひとりで食事をしていると食べる速度が速くなってしまう、ということだ。

『ひとりで食べたい』p.17



■『ひとりで食べたい』(野村麻里/平凡社)
2023年6月21日 初版
「ウェブ平凡」2022年4月~12月の同名連載を、加筆、修正したエッセイ。
書下ろし8編を含む。

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