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第十幕:冬の本公演3 ミュージカル研究会の頃-汗と涙の青春ストーリー-
彼の場合は、経験もない中で入ったから仕方なかったのだが、本公演をいちど経験して、すぐにやめてしまった。そんな彼のことも、松田さんは結構かわいがっていたように記憶している。
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このように友人たちもそれぞれ、本公演にむけて練習をしていたのだが、僕はどうだっただろうか。記憶にあるのは、1か月前にもなると、ものすごく殺伐した空気が流れる時間があったということである。ものすごい緊張感なのだ。春公演のわきあいあいとした時間が多かった頃と比べると、全く雰囲気が変わっていた。
僕のいた猫組はやる気を失いかけた時期がある一方、さすがに中人は舞台を投げるようなことはしなかった。それぞれ、思うところもあるが、できる範囲で一生懸命、舞台を仕上げようとつとめていた。
やる気を失った僕はといえば、なるべく練習時間に遅れて行くなんてことも、何回かやった記憶がある。きわめつけは、週末の本番さながらの緊張感漂う通し稽古で、あろうことかあくびをしてしまったのだ。
主人公の回想シーンで会社の場面がある。そこで、最初はみんな後ろを向いているのだが、そのシーンで僕は思わずあくびをしてしまったのだ。ポジション的には一番後ろで、後ろを向くと僕の前には誰もいないし、メンバーは気づくはずはないとたかをくくっていたのだ。
しかし、あろうことか、最も見つかるとまずい時子さんに目撃されてしまった。
つづく…(続きを見たい方は、ハルカナル屋根裏部屋へ!)
第一幕:未知なる舞台へ!
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/第一幕:未知なる舞台へ!
第二幕:衝撃! 初役はみんなが大嫌いなあれ!?
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act2
第三幕:最初の公演
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act3
第四幕:夏の発表会
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act4
第五幕:脚本会議、夏の陣
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act5
第六幕:夏休みも大変!? 音響スタッフで出陣!
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act6
第七幕:夏合宿
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act7
第八幕:猫たちが大騒ぎ!?
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act8
第九幕:試練の秋
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act9
第十幕:冬の本公演
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act10
登場人物
-新人-
僕:元帰宅部。歌、ダンス、芝居、3拍子そろわない珍しい新人。しかも、入部したのが2年生の時だったため、振り返るとかなり浮いた存在だった。
岩尾…親友。2浪しているフリーターながら、ミュージカル研究会に入る。
鉄郎:某都内に通う高校時代、伝説となった男。野性的で、繊細で、躍動的で、とても頭がよく、次元の違う存在感を放っていた。どこを行くのも裸足で歩いていた。
冴子…高校時代は声楽をやっており、作曲ができた。才能にあふれており、同期で最初に頭角を現した存在だった。彼女の作る曲は作品にしっかり寄り添いながらも、さらに作品を高めるような、素晴らしい曲が多かった。のちにNHKのみんなの歌に曲を提供した。
優有:歌と芝居が大好きで他の女子大学からミュー研に通っている。穏やかで性格が良く、みんなから好かれており、脚本家の坂上さん、美也子さんらに気に入られ、たびたび彼らの作品に主役で出演することになる。
芽衣…大阪出身でのりやよく、ダンスが好きだった。若くして亡くなってしまい、この作品を書くきっかけになった存在の1人。
-中人(2年目)-
美也子さん:容姿は少しボーイッシュで、性格は物静かで控えめ。宮沢賢治を愛しており、彼女が生み出す脚本は、独特で素晴らしい世界観だった。
江夏さん:新人の時はぺけをつけられていた僕や岩尾とかなり距離があり、あまり話す機会はなかった。坂上さんとおなじ愛知出身で、師匠と弟子のような間柄だった。普段はちゃらんぽらん、三枚目だが、ミュー研への思い入れが人一倍強く、男子では歌、ダンス、芝居が一番うまかった。とても個性があり、 後に百萬男 – フジテレビに出演した。
時子さん: 歌・ダンス・芝居、すべてのレベルがトップクラスの先輩だが、怒ると鬼より怖く、男子全員に恐れられていた。
松田さん:初対面の時に「俺、次の舞台で主役とっちゃうよ!」と言ってのけた自信家。実際は繊細で神経質な一面もある。一方でできの悪い後輩を気にかけ、面倒見の良い一面もあった。
夕実さん:松田さんの彼女。小柄でかわいらしく、親切な先輩。
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