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再会の街で

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

2007年のアメリカ映画。仕事にも家庭にも恵まれた歯科医アランは、大学時代にルームメイトだったチャーリーと偶然ニューヨークの街で再会する。しかし彼は 9.11 テロで大切な家族を失くし、深い悲しみと孤独の底に沈んだまま現実逃避を続けていた――。

計り知れない「喪失」と、それぞれの心に向き合ってゆく様子を描いたヒューマンドラマ作品です。原題 "Reign Over Me"。

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出演は、歯科医「アラン」役に『ホテル・ルワンダ』、『オーシャンズ』シリーズ、『天使のくれた時間』のドン・チードル。心に大きな喪失感を抱える「チャーリー」役に『50回目のファースト・キス』のアダム・サンドラー

共演に、『アルマゲドン』のリヴ・タイラー、『プライドと偏見』、『ミニミニ大作戦』のドナルド・サザーランド、ほか。監督は、マイク・バインダー。

きっかけは『ワンダと巨像』

わたしがこの作品を観ようと思ったきっかけは、名作ゲームワンダと巨像』。

最後の一撃は、せつない。

のキャッチコピーで有名ですよね。(少なくとも、わたしのようなゲーム好きの間では)

ゲームデザイナー/アートディレクター上田文人さんの作品で、上田さんは『ワンダと巨像』のほかに『ICO』(イコ)、『人喰いの大鷲トリコ』を手掛けています。

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わたしは、上田さんの作品が織りなす独特の世界観が大好き!♡ 美しくて、壮大で、静謐な世界を体験させてくれます。

グラフィックの美しさ
“しん” と静かな世界への没入感
感動で嗚咽してしまうほどのストーリー。

ゲーム性(遊びとしての楽しさ)も、オリジナリティ溢れるアイディアに富んでいて、素晴らしい!

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それではここで、わたしが各作品をプレイしていた頃の過去ツイートを見てみましょう!

○『ICO』(2001年発売)

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○『ワンダと巨像』(2005年発売)

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○『人喰いの大鷲トリコ』(2016年発売)

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ああ……楽しかったなぁ♩……(回想中)笑

映画の内容と、ちゃんとリンクしていた

どの作品も、プレイ中はもちろん、クリアした後の “余韻” まで、夢中になってどっぷりハマりました。同じゲームをクリアしたほかの人の感想を読み漁ったり、制作話や関連情報をネットでサーフィンしたり――。

そうこうしているうちに、この映画『再会の街で』を見つけたのです。

作中に、『ワンダと巨像をプレイしているシーンが結構がっつり出てくるよ!

との情報。早速、観てみることに――。

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おお、ほんとだ。めっちゃ言及している。(『ワンダと巨像』の英題:Shadow of the Colossus)

実際に作中でプレイしているシーン。

噂どおり、結構、長々と使われていますね~!

・・・

深い悲しみに心を閉ざしたまま、自分だけの世界に引きこもり頑なに心を開こうとしないチャーリー(アダム・サンドラー)。そんな彼に、大学時代の友人アラン(ドン・チードル)は「何かしてあげたい」一心で。

痛々しくて見ていられない。
放っておけない。

と行動するアランは心の優しい “いい人” なのですが、チャーリーの痛手は深く、(少し病的なまでに)殻にこもり続けます。

なんとかしたいアランが「自分にできることは何だろうか?」と試行錯誤する中での、このゲームのシーンなんですよね。

・・・

きょう、この記事を書くにあたって『ワンダと巨像』が懐かしくなり、ゲームのクライマックスからエンディングまでの動画を YouTube で観てみました。

【ネタバレ注意
下記の動画は、重大なネタバレを含みます! 未プレイの方は閲覧注意!
(ゲームをクリア済の方のみ視聴を推奨します)(ほんとうに!先に観ちゃったら超絶もったいないので!)(←実のところ、リンクを貼るかどうかも悩んだ人)

で、思い出したのです。

ああ。このゲームは――

喪失再生

を描いている作品だったんだ。と。

映画の内容と、ちゃんとリンクしていたんだなぁ。

人の心を「開かせる」って

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はじめアランは、深い深い悲しみと孤独の底にいるチャーリーの現状を見るに見かねて、なんとかチャーリーの心に近づこうとします。一緒にゲームしたり。一緒に外出したり。

やがて、寄り添っているだけでは埒が明かないのでは? と、セラピストに会わせてみたり。

でも――

「立ち直らせる」って、なんだろう?
「心を開かせる」って、なんだろう?

英語の "make+(誰々)+(状態)" に似たニュアンス。使役と強制を含んでいる感じ。そこにちょっと違和感。

やり方をひとつ間違えば、本人が求めてもいないのに押しつけ……的な「介入」になってしまう。心の問題は、とてもデリケート。

チャーリーにしてみたら、いまだ癒えていない、傷口の開いたところに、無理やり火箸を突っ込まれている感覚なのでは? ――とも感じました。(うわぁ、痛い!>< )

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終盤、必死にチャーリーを救おうとしていたアラン自身も、実は周囲の身近な人に対して心を「閉じて」いたことに気づきます。チャーリーとは違って、自他共に気づかないレベルで無意識に「閉じて」いた心――。

恵まれた生活を送りながらもアランが息苦しさを感じていたのは、そのせい。

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そこに気づかせてくれたのは、チャーリーだったのですよね。

演技派ふたり。
悲しみの海に呑み込まれ苦しむ人。
淡々と地味だけど、丁寧な作品。

と感想ツイートにも書いた通り、人間の心の機微を丁寧に描いた良作です。


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